ニュータウンでは、 年月の経過とともに、 住民の団塊的な高齢化とコミュニティ活力の低下、 住宅の老朽化と建替えなど、 「オールドタウン化」の問題が顕在化し、 対応が必要になってくる。 2000年夏、 千里ニュータウン(NT)では住民によるワークショップを行い、 持続可能な「歩いて暮らせる街」づくりに向けて、 行政・専門家とは異なる意見交換を行った。
公共スペースを活用しようとすると、 住民が利用に責任をもつことが条件になる。 この問題に対し、 知恵を出し合って「All or nothingでない第3の道」を探ろうとしている。 自分たちで街をつくることより、 与えられた街に対して要求することの方が多かった---。 そんな自戒も含めての住民の声であり、 これからのニュータウンのまちづくりすべてに必要なことだと思う。
歩いて暮らせる街づくり
千里ニュータウンのワークショップから
生活環境問題研究所
山本 茂
健康の森玄関、 背後の緑は自然の植生
クヌギ、 マツなどの林を抜ける遊歩道
地域の方々を迎えての春のイベント
若い人が住める街へ
千里NTの高齢化・少子化は深刻である。 「1学年1クラス」の現実と「都会の過疎地のよう」という住民の声が物語っている。 若い人が増えて欲しい―が住民の願いである。 住宅地として人気が高く、 地価・家賃も高い千里NTでは、 若年層が入れる余地などない。 今後具体化する建替えに際し、 千里から出ていった第2世代のUターンを含めて、 若年層の住める住宅と街をいかにつくるかが鍵である。
緑豊かな環境を継承しよう
千里NTの住民が最も高く評価しているのは、 この40年間に育った公園、 緑道、 街路樹などの「みどり環境」である。 「都会的な千里中央と住宅地とのギャップが好き」とは住民の声。 今後建替えが進むが、 容積率の確保など事業化の問題と、 親しまれてきた緑豊かな環境や風景の継承とをいかに調和できるかが鍵になる。
公共スペースを交流の場にいかそう
街が寂しくなっていく現実を前に、 交流を深めて街を元気づけよう、 という住民の思いは強い。 そのために、 新たに施設をつくるのではなく、 学校や公園、 近隣センターなど既存の公共スペースを交流の場に活用しようという現実的な案が採用された。
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