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商店街をよみがえらせる消費者パワーの胎動

グリーンコンシューマ地域実験プロジェクトに参加して

都市設計工房

成瀬惠宏、 佐藤博子

1 社会実験の概要と成果

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「グリーンコンシューマー」運動の社会実験
 今年(2000年)5月から6月にかけて約1ヶ月間にわたり、 多摩ニュータウンの諏訪・永山近隣センターを会場に、 買物や消費を通じて循環型社会に変えていこうとする「グリーンコンシューマー」運動の社会実験がおこなわれた。 これは、 多摩市消費者団体連絡会が核となり、 商店会・市民・行政の連携によって進められたもので、 私たちもこれに参加する機会を得た。

 ここでは、 既存店舗におけるエコ商品の取り扱いや簡易包装・ゴミ減量を商店主に働きかける一方、 空き店舗(10店舗)をアンテナショップやギャラリー、 各種ワークショップやイベント等の会場として活用し、 環境にやさしい買物や消費を呼びかける社会実験をおこなった。

 多摩市での社会実験は、 こうしたわずか1ヶ月間のとりくみを通じて、 買物客に消費行動(すなわち普段の生活習慣)を変えることを呼びかけたものであり、 十分な成果があったとは言い難いものがあるが、 一方で、 副次的な成果として、 多様なまちづくりに発展しそうな数多くの人材が発掘された。


2 市民(消費者)が運営する「まちづくり」ショップ

 今回のとりくみでは、 従来から各地でおこなわれているフリーマーケットの発展形として、 各種の出店形態((1)委託販売 (2)一坪ショップ (3)チャレンジショップ (4)その他展示等)でグリーンコンシューマー運動に共感する参加者を募集した。 すると、 立地条件に対して冷ややかだった商業者からは応募がなかった一方、 消費者団体、 福祉団体のほか、 多数の市民(個人・グループ)の参加があった。 これらの店舗では、 エコ商品、 リサイクル品や手づくり作品等の販売をおこなうだけでなく、 市民交流・まちづくり活動の場としても機能し、 会期中には大いに商店街を活気づけた。

 さらに、 これらの参加者は、 今回の実験期間にとどまらず、 引き続いて出店することにも意欲を持つようになり、 来年3月までの暫定利用として店舗を継続している。 また、 「チャレンジショップ」として参加した。 福祉団体のように、 その後正式な出店者となっている参加者もある。

 多摩ニュータウンには、 今回の社会実験にも「エコマネー実験」をテーマに参加していた「多摩ニュータウン学会」や、 ゴミ問題に取り組む「東京・多摩リサイクル市民連邦」、 既にNPO法人としては全国的に知られている「FUSION長池(富永一夫理事長)」のような市民活動が花開いている。 今回の試みは、 これらの比較的成熟した組織だけでなく、 組織的な活動には至らない数多くの個人やグループが、 商業者には見捨てられつつある商店街という場をよみがえらせる意欲も実力もあり、 広い意味でのまちづくりの担い手になりつつあることを示している。


3 市民が商店主となって進めるまちづくり運動

 都市の中心部を構成する重要な要素である商店街が遊休化し、 ロードサイドの店舗が隆盛を極め、 都市そのものの存在意義が問われる中でその再構築を迫られている。 今や商店主自身の意欲も減退している商店街を活性化する担い手は、 新しいチャレンジ精神に富んだ市民であることを予感させる。

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