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ニュータウンの中の里山と村

生活環境問題研究所

山本 茂

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By 山本茂
 私の職場は千里ニュータウンのほぼ真ん中にある、 緑に覆われた「健康の森」。 ニュータウンの買収から逃れた面積1haの土地は、 都市や健康に関する研究と地域の人々の交流の場として利用されている。 私の考える環境共生は次の2点においてである。


ニュータウンの中の里山

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By 山本茂
 この敷地はもとは小山であったらしく、 中央部は2段に造成して2階建て木造建築が4棟建てられているが、 周辺部は元の地形のままで、 竹、 クヌギ、 ヤマモモなどの自然が残っている。 林の中に入れば都市の中の里山。 そこでは生き物たちの暮らしの営みが繰り返されており、 春の新芽・筍・梅、 夏の蝉や鳥の声・カブトムシ、 秋のドングリと紅葉、 冬の木枯らしなどが、 「働きバチ」と化した私に季節の変化を伝え、 楽しませ、 私を生態系の輪の中にかろうじて留まらせてくれる。


ニュータウンの中の村

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By 山本茂
 健康の森は、 診療・食事・喫茶・集会等の機能も備えているので、 ニュータウンの住民は勿論、 旧山田村の住民も訪れ、 自然に交流が行われることになる。

 ニュータウンの調査をすると、 新住民と周辺集落住民との交流がテーマになる。 新住事業区域では、 住宅や誘致施設以外の立地は基本的に認められないが、 この敷地は新住区域からはずれたために、 複合機能をもった「不思議な施設」としてつくられ、 利用されている。 健康の森は実は「ニュータウンの中に残った山田村」であり、 地域の交流と共生のためには○○センターのような施設でなく、 こんな施設こそ必要なのだ、 と私は思っている。

 健康の森のような施設をつくるのは、 そう難しいことではない。 裁判に持ち込まれてもここだけは絶対に渡さないという強い意志と、 こんな場所にしたいという強烈なイメージを持ち続けることができれば、 必ずできる。

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