都市の水循環再生(大人編)
頭をデザインする(神奈川県横浜市)
アトリエ福
地福由紀
まちづくりはひとづくり −都市デザインは頭のデザインから− |
昭和30年代から始まった高度経済成長に供なって行政主導で都市化が急ピッチに進み、 社会資本の整備は飛躍的に充実した。 しかし、 その一方で住民不在の都市構造や都市デザインによる様々なひずみが表面化し、 また、 都市のヒートアイランド現象等の環境問題も深刻化してきている。 21世紀は地球規模で環境問題に取組まなければいけない状況である。 したがって、 市民一人一人が日常のレベルで環境に配慮した環境共生型の生活を心掛けることが不可欠になる。 都市のつくり手は行政や専門家だけでなく都市の構成員である市民もその役割を担う事が重要となり、 まちづくりには三者の「パートナーシップ型」の取り組みが求められ始めている。 その為には環境に対する市民への意識啓発を図る環境教育が第一歩である。 つまり、 まちづくりは、 まず、 ひとづくりから始まるのではないだろうか。
一般に、 環境教育は子供や学生が対象と思われているが、 市民全体を対象とすべきである。 現在の豊かさ、 快適さ、 便利さの裏側に様々な環境負荷の問題を抱えていることを全ての都市住民が改めて考え、 その問題の当事者であることを自覚する必要がある。 環境共生型の都市デザインは、 この都市住民の自覚の上に成り立つものであり、 今後、 このような環境教育が増々重要となる。 という事で、 環境というキーワードで頭の中をまず、 しっかりデザインする事が、 いきいきとした環境共生型都市デザインを育む大きな原動力になるのだと思う。
「乳出神さまをさがそう」ワークショップのようす1 |
「乳出神さまをさがそう」ワークショップのようす2 |
「乳出神さまをさがそう」ワークショップのようす3 |
東野モデル地区は和泉川流域の中で源流域に位置し、 昭和40年代から森や谷戸を伐採して宅地開発された一戸建てが中心の新興住宅街である。 地区の水循環の歴史や課題を理解し、 また、 抽象的になりがちな水循環の話しに具体性を持たせる為に、 宅地造成で埋め立てられてしまった地区のかつての歴史資源である「乳出神さま」と呼ばれた泉(湧水)を題材として水循環再生の意識啓発を図るワークショップを実施した。 地区の参加者は、 歴史資料や専門家の話をもとに、 その泉の位置を推理し、 特定していく協働作業の中で、 都市のあるべき姿や水循環再生の大切さを学んだ。