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時間と共生するデザイン

環境の再生と成熟(京都市伏見区観月橋団地)

ランドデザイン

中村伸之

 観月橋団地(1962年入居開始)屋外空間リニューアルの計画、 設計、 監理に83年から数年間たずさわった。 15年近くたった今、 環境の再生と成熟の意味を考えてみたい。


立ちふさがる緑

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写真上:国道から見た団地の入口とケヤキ並木 写真中:中央の集会所前広場。 フェンスで囲まれていた庭園(左側)を開放してつくった 写真下:月と水面をモチーフにした「観月石」この土地は伏見桃山時代から交通の要所として栄え、 国道の向こう側は小堀遠州のいた伏見奉行所だった。
 

 団地は交通量の多い国道24号に面している。 舗装類が黒ずんでいるのは、 排気ガスのせいであろう。

 写真上のケヤキ並木は、 リニューアル時に植えたものだが、 立派に成長して、 国道に対して立ち上がった緑のバリアーになっている(以前は見通しが良すぎて、 部外者の路上駐車やUターンのための侵入が多かったが、 心理的なバリアーにもなったのではないか)。

 そして、 並木の中は昼でも暗いほどになったが、 夏には涼しい緑のトンネルである(写真中)。


朽ちてゆく人工物

 ケヤキの成長が思わぬ事態も招いた。

 根が一部で使用したレンガの舗装を押し上げて、 歩道がガタガタになったことである。

 少しでも水分のある所に、 ケヤキは“根気よく”根を伸ばしてくるのである。

 このような自然の力を見越して、 それとともに成長するようなデザインを発想しなければならないが、 風景の成熟するタイムスケールで考えると、 一般的に人工物の寿命は短い。

 最初のうちは“にぎやかし”のつもりで作った人工物が朽ちてゆき、 成長した緑がそれにとって代わる。


生き残る環境

 このようなケヤキ並木さえも、 団地建替えの際には伐採されてしまうこともありうる。

 しかし、 百年単位の時間で考えるならば、 都市の中で生き残る不変的な要素は“自然”か“文化”であろう。

 環境の再生が、 ゼロからの繰り返しではなく、 “時間の足し算”によって成熟に向かうようなあり方を追求しなければ、 本質的な都市のストックは形成されない。

 たとえ小さな団地であっても・・・・・・

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