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原風景を重ね合わせる街路デザインの試み

荒川区画街路5号線景観設計をとおして(東京都荒川区白鬚西地区)

GK設計

須田武憲

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路地コンセプトプラン 荒川区画街路5号線歩道部 街路へにじみだした路地
 

 白鬚西地区は東京都荒川区の東北部に位置し、 隅田川西岸に広がる再開発地区であり、 荒川区画5号線は地区中央を横断するシンボル空間となる街路である。


原風景としての町並み

 この街路設計を進めるにあたって、 その理念の中心的な位置を占めたのは「原風景」を新しい街路のデザインの中にいかに位置付けるかということであった。 ここでいう原風景とは、 再開発以前にこの地で継続的に構築されてきた下町の町並みや路地といった景観とそこで営まれてきた生活の蓄積を意味している。


原風景の抽出

 私たちはその中で路地のもつ社会的な構造に着目した。 古くからの路地は移動空間であるとともに、 広場であり、 桟敷のように使われていたりもする。 それを成立させ継続させてきたのは住んでいる人々によって永い時間の間に培われた社会的な規範であろう。 新しい街や街路がつくられるということは、 この社会的な構造をはじめから組み直すということである。 新しい街路にはそれを支援するための空間的な構成が必要なのではないかと考えた。


原風景の再構築

 白鬚西地区の新しい街は、 白鬚西地区まちなみ景観整備計画調査委員会で採択された基本テーマ「ヒューマンスケールのまちづくり」という考え方に基づいた配置計画により、 各街区とも高層棟を中庭を中心に分棟配置し、 中庭と周囲の街路は細い通路によって接続されている。 私たちはこの通路を新たな路地空間と見立て、 ここで再構築される路地生活が街路にまでにじみでることを期待した。 路地と街路の接点には休憩スペースを設定し、 ベンチと木漏れ日をもたらすケヤキや、 車道の喧騒を遮る生け垣などを配置し、 舗装は路地が歩道にまで連続したイメージとするために、 路地の延長上に同じ素材と同じ幅の歩道舗装を施した。


街路の自己組織化

 私はこれからの街路デザインには、 街路自身がひとつの自己組織化のシステムとして、 自らを美しく保とうとする必然性を獲得できないかと考えている。 それに必要な社会的エネルギーを誘発させる空間づくりは都市デザインの領域でしかなしえない。 これこそがデザインという行為の本質的な存在意義といえよう。

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