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追手紺屋町線は、 西舞鶴地区では国道を除いて最も幅員の広い道路である。 周辺が城下町に由来する狭小な道路が多いことから、 両路肩が駐車場化し、 交帳安全上や良好な景観上からも問題になっており、 沿道住民からの苦情も発生していた。 これらの課題を解決するため、 舞鶴市では初の、 市民参画型ワークショップ方式による整備案の作成が行われた。
ワークショップ方式の意義については様々な論点があると思うが、 環境との関わりの視点からいえば、
環境共生(棲)へのしかけ
くらしのみちづくりワークショップによる、 西舞鶴追手紺屋町線美装化事業を通して
GK設計大阪事務所
光安正太
周辺環境を大事にした夜間景観の創出
市民生活イメージを反映した新しい環境の創出
拡幅された歩道を利用した停車帯と、 沿道住民の管理による花壇
1。 市民が道路環境づくりに関わったこと。
の3点が挙げられる。 具体的には、
2。 地域の環境資源を含めた住環境に対する意識が高まった(芽生えた)こと。
3。 市民に愛着のある道路として新しい環境が整備されたこと。
・違法駐車車両を排除するため、 道路の幅員構成を見直し、 市民の生活イメージに基づいた新しい道路環境を創出した。
本事業において西舞鶴の歴史的な環境の上に、 市民自らの手による新しい環境が生まれた。 市民参画という手法は、 共生(棲)できるような環境づくりとしくみづくりへの第一歩となったのではないかと考えている。
・歴史的環境が残る地域に配慮した施設のあり方を検討し、 周辺環境に調和した魅力的な施設を整備した。
・沿道住民からの要望による花壇の設置や街路樹の選定を行ったことで、 整備後の維持管理に関する新しいルールづくりや地域コミュニティが自発的に生まれた。 (自治会内での話し合いにより2〜3軒が1箇所の花壇を担当することで、 末永く道路環境を維持するようなルールづくりが行われている。 )
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本稿では『環境共生』を広い意味で捉えている。 都市環境デザインの分野における環境共生を考えた場合、 その手法よりむしろ、 事業ブロセス段階におけるその仕組みづくりが重要であろう。 本事業におけるプロセスは、 市民が自らの環境を知り、 見つめ直す、 いわば『環境教育』の場であった。 もちろん完成した新しい環境に対して100%の賛同を得ているわけではないし、 私自身ワークショップ方式という手法がベストだとも考えていない。 しかし息の長い環境共生を考えた場合、 市民が末永く大事にしたいと思えるような環境づくりを行えたことは、 一つの成果だと考えている。
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