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撤去・移動を前提とし、 残材を極力減少させた歩行者デッキ

和泉中央駅北側仮設歩行者用デッキ(大阪府和泉市)

GK設計大阪事務所

森重和久

 大規模住宅開発地でよく見かけられる光景であるが、 駅周辺の事業地は造成地のままで、 周辺住宅地は住宅が先行開発され、 帳勤帳学などで駅と住宅地を結ぶ動線の問題が残される場合が多い。

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駅前保留地内の仮設歩行者用デッキ
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重厚な橋脚にかかる、 軽快な橋脚と高欄
 都市公団(旧住都公団)が事業を行っているトリヴェール和泉も同様であり、 担当者との雑談の中から、 歩行者用デッキを造りたいがこの時世だから予算も少ないし将来計画も決まっていない。 10年程度の暫定施設で、 土地利用変更に伴いルート等の変更が可能であること。 そして仮設的な印象を与えずデザイン的に優れているものがあればいいねと言われ、 延長約100m・幅4m・総予算5000万円の歩行者用デッキを提案する発端となった。

 まず条件の整理を行うと、

 当初、 予算から地区内残土を利用した土盛り案やボックスカルバート(管形状のもの)を並べ上部を板状で渡す案を考えたが、 周辺に建築物が計画された際に可変移動ではないとの結論になり、 再度提案した。

 しかも新たな条件として、 将来建築物が建設された時の再利用を考慮することが付加された。

 空刈の中に土を入れ、 その上に板を渡す一番原始的ではあるが移動に簡単で、 撤去時に環境に及ぼす影響が少ない工法であるとの結論に達した。

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コルゲートを用いた橋脚
 具体案は、 土を詰めた市場品のコルゲートパイプ(直径2m)を約10m毎に並べ、 その間を軽裏化を図ったパイプトラスでつなぎ、 歩蔓に木製(厚さ10cm)の角材を敷き並べる構造とした。 コルゲートパイプ柱を並べ変えることにより可変性も可能であり、 再利用はもとより撤去時は軽微な重機による解体も可能である。

 結果、 安価で市場で再生可能な材料を用い、 デザイン的にも優れたものが実現した。 さらに築造時および解体時の環境に及ぼす影響を最小限に抑える事ができる。

 このようなことも環境共生都市デザインのひとつであろう。

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