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地域共生を意識した環境配慮型集合住宅「エコビレッジ松戸」

大成建設環境デザインGr

蕪木伸一

 「エコビレッジ松戸」は、 平成10年春のコンペにおいて「21世紀にふさわしい住宅として、 エネルギー資源の節約、 有効利用ならびに地域共生を考慮した環境配慮型集合住宅」を実現するプロジェクトとして当選し、 約一年半の工事の後、 この6月、 千葉県松戸市に竣工した。 主なコンセプトは、 (1)敷地の自然特性を活かした建築及び環境計画による省エネ・省資源の実現(2)逆梁工法を用いたフレキシブルな長寿命建築(3)地域生態系に配慮したランドスケープ(4)電力平準化を主とした設備計画と新しい省エネシステムである氷蓄熱多機能ヒートポンプの採用である。

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サイトプラン:周辺街並みとの調和、 既存樹林の保全、 ビオトープネットワーク、 季節の通風や防風、 居住者動線とコモン、 日照など多様な価値観から評価した配置計画 中庭:全ての動線を集約し、 コミュニティの核となる空間。 芝生の小山や移植樹、 井戸とせせらぎ、 トンボ池、 農園、 コンポストなど多様なしくみを計画している。 保存緑地:既存の常緑主体の樹林を保存するように円弧状の住棟配置とし、 そこは保存樹を組み込んだ遊具など野性味ある遊び場を計画しつつ、 周辺環境に緑を提供する。
 


環境デザインからのアプローチ

 広域からの環境解析を踏まえたエコロジカルプランニング(水・緑・風)を基本として、 地域生態系や風環境の特性をサイトデザインに反映する。 集合住宅のコモンとして保存樹林や中庭を活かしたコミュニティ空間の充実を図り、 一方、 歩道を提供し塀を作らないなど地域に対しオープンでパブリックな環境デザインを目指した。 建物は、 分棟を基本として円弧状に配置し、 日照、 風向きの問題や周辺環境との調和、 既存緑地の保全、 そして居住空間の快適性、 省エネまでトータルな質の高さを目指した。


環境デザインの役割

 環境共生住宅として、 最近注目されている省エネ、 省資源又はビオトープといった基本的な技術要素は、 いろいろな物件で見受けられる。 環境デザインという視点で、 初期段階からプロジェクトに関わり、 要素に捕らわれることなく、 どう地域を作りどのようなコミュニティをイメージするか、 建築設計者や設備技術者と徹底的な議論とワークを重ねることで、 創造すべきトータルな環境の質を初期段階でイメージし、 具体的な建築や技術にまでその思想を反映することができたと考えている。 環境デザインの役割は、 一事業であっても地域に与える影響を判断し、 パブリックな質を高める必要があり、 生態系、 デザイン、 技術すべてがそれに集約する力を持たなければならないと考えている。

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