I、 II章では都市計画の見直しの背景と課題が書かれています。
今まで一般的に都市計画の手続きだけはあるんですが、 「まち」をどのようにしていくかという方向性が一般の人にはわかりにくいというご批判がありました。 そのためII章(1)項《都市像》では都市の目指すべき方向を示す都市のマスタープランを新たに制度的に位置づけていこうとうたっています。 平成4年の改正でも市町村の都市計画マスタープランが付け加えられましたが、 今回は都市計画区域ごとに都市計画区域を指定した都道府県が定めることになりました。
線引き制度は、 都市の膨張拡大の傾向があった時代には充分機能してきたと今でも評価されていると思います。 しかし、 都市への人口集中が収まり、 都市化社会から都市型社会という成熟した社会になってきて、 今まで通りの線引き制度でいいのかどうかが課題としてあげられています。
II章(3)項《既成市街地》に続き、 環境保全に対する意識の高まりから、 廃棄物処理の課題なども都市計画の問題としてあげられております(II章(4)項《環境保全》)。
II章(5)項《都市計画区域外》では都市計画区域外の問題を取り上げています。 というのもこれまで都市計画区域内の均衡ある発展を目指して制度が構築されておりましたが、 例えば高速道路のインターチェンジ周辺のような都市計画区域外で開発が起こった場合、 それも都市計画の問題と捉えてその段階から何らかの土地利用規制を行うべきではないかという問題意識です。
III章1節では都市計画マスタープランを取り上げています。
兵庫県の日本海側とか淡路島のような線引きされされてない地域はマスタープランが特に義務づけられていなかったので、 都市計画区域を指定する県が広域的観点からマスタープランをつくるようにします。
市町村の都市マスタープランは平成4年に改正されたときに制度化されていますが、 引き続き充実していこうというものです。
III章2節「線引き制度及び開発許可制度」は新聞でも大きく取り上げられました。 これまで線引きするかどうかは、 三大都市圏を除き建設大臣が指定していましたが、 兵庫県の近郊整備区域と政令指定都市、 神戸を除き、 基本的に都道府県が地域の実情を踏まえて可否を判断するという制度を目指しています。
またIII章2節(2)項《調整区域》については今まで既存宅地という特例措置がありましたが、 それをなくし一定のルールのもとで開発許可を認めていくべきではないか提案しています。
III章2節(3)項《開発許可》は、 地域の実情に応じて開発許可の基準を変更してもいいのではないかという提案です。
例えば地下の道路でしたら、 地下何メートルから何メートルの間で幅はどれだけ、 というかたちで規制をかけることを可能にしました。
III章3節(2)項《特例容積率適用区域》は、 商業地域などで都市基盤が整備されているところでは、 複数の敷地で容積率を共用し土地の高度利用を図るべきだという内容です。 例えば一方で使っていない容積があったら、 同じ道路によっている敷地であれば隣接していなくても容積を移転できます。
III章3節(3)項《地区計画》では、 今までいろいろ規制があった地区計画を、 市街化区域内、 用途地域内についてはどこでも定められるようにしました。
III章4節(3)項《用途地域外の容積建ぺい強化》の狙いは、 今までは線引きしていないところは容積率400%、 建ぺい率が70%と非常にゆるい規制とされていたのですが、 それはおかしいのではないか、 もっと低く抑えてもいいんではないかというものです。
III章4節(4)項《廃棄物処理施設》については、 あちこちで問題になっているので積極的に都市計画決定をしていこうという話と、 処理施設は基本的に市町村の都市計画決定になっていますが、 広域的観点が必要なものは、 都道府県が都市計画決定主体になろうという話です。
さらに今までの都市計画法とかなり考え方が変わっていて、 都市計画区域以外についても開発行為を規制しようとしています(III章5節(2)項《都市計画規制の及ばない地域》)。
これまで都市計画は自治事務ではなく機関委任事務でやってきたこともあって、 国が一律の制度で動かしてきました。 これからは自治事務になるので、 III章6節(2)項《都計基準》では、 特に法的規制をせず、 地方の自主性を損ねない範囲で国の方でガイドライン的な物を示していこうとしています。
また公聴会を開くとか縦覧の期間を長くするなど、 手続きの自由度を高めようという内容です(III章6節(4)項《都計手続の自由度》)。
さらにIII章6節(6)項
以上が2月8日に都市計画審議会から出た今後の都市計画は如何にあるべきかについての第二次答申です。
次の資料は、 それを受けて上程された法律改正についてです。 具体的に講ずべき施策(資料『今後の都市政策は、 いかにあるべきか』III章)は沢山ありますが、 これ自体法改正をともなうもの、 法律ではなく政令で対応できるもの、 それから事実上行政的に進めればいいものがあります。 今回はその中で、 必要で可能な法律改正が国会に上程されております。
「今後の都市政策が如何にあるべきか」
解題
資料目次
都市マスタープランの充実
以下は兵庫県都市計画課の担当で答申を抜粋し、 まとめさせていただいた資料を参照しながらご説明します。
線引き制度及び開発許可制度の
II章(2)項《線引き制度・開発許可制度》では線引き制度を取り上げています。
地域の実情に応じた柔軟性の確保
既成市街地再整備のための新たな制度の導入
III章3節(1)項《立体都計》は、 これまで都市計画決定すると地面から上、 天まで規制がかかるようになっていましたが、 これからは空間として都市計画できるようにするべきではないかという内容です。
自然的環境や景観などの
風致地区につきましても、 県から、 地域の実情に詳しい市町村への権限の委譲がなされます(III章4節(1)項《風致地区》参照)。
都市環境の保全のための制度の充実
都市計画区域外における
これまで都市計画区域は一体的にまちづくりを考える区域ということで、 用途規制とか都市計画施設の決定、 市街地開発事業などをセットで行ってきました。 それに加えて、 整備を行う必要はないけれども建築物のバラ建ちとスプロールを抑えるべきところについては、 市町村が主体となって準都市計画区域を指定して建築の規制をできるようにしました(III章5節(1)項《準都市計画区域》参照)。
開発行為及び建築行為に対する規制の創設
都市計画の決定システムの合理化等
今でも都市計画決定するときに縦覧などの手続きをとっているのですが、 何で都市計画決定をするのか分かりにくいということで、 都市計画決定をする理由を記した書面を同時に縦覧することになります(III章6節(1)項《都計理由》参照)。
引き続き取り組むべき課題
次は、 審議会の中ですぐには制度改正に結びつかないけど、 引き続き取り組むべき課題とされたものです(IV章参照)。
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