この埋立地の新都心計画の中で、 30ヘクタールが将来のセントラルパークとして位置づけられています。 全体の都市計画については、 都市開発局がコーディネートし、 コンサルタントにも依頼し、 全体プランを作成しました。
都市のインフラを建設する前に緑のベースを創っておくことについてですが、 将来は非常に高密なビジネス街になるところですから、 それにバランスするオープンスペースが必要になるだろうとシンガポール政府は考えたわけです。 しかし、 人工の埋立地に植物を育てるのは並大抵のことではありません。 そこで、 最初に土を育てる大地の緑化を実施することで、 最終的にビルが出来たときには樹木が生長し、 公園が完成しているという都市建設の環境基盤づくり、 緑の育成プログラムを組み込んでいる訳です。 建設の時間そのものを樹木の成長期間にあてるわけで、 時を資源に変える「タイムイズマネー」の環境デザインにおける実践です。
こういう次第ですから、 道路が出来上がった段階ですでに公園は完成しています。 今では緑豊かな公園になっていて、 建物が完成していなくても、 そこで市民が凧揚げをしたり散策をしています。 新都市ができ上る前に社会資本としての緑のオープンスペースが創造されます。 環境ばやりの昨今ですが、 日本では環境はあまり“お金”にならないということで、 どうも、 言葉は先行しますが、 実際の環境整備は進まないようです。 シンガポールでの経験では、 環境を重視しない新都市計画は結局、 良質の社会資本の実現にならないと言えるようです。
右端に見える建物は、 新都心完成までの暫定利用施設としている建物です。 インテリム・ユース・プラン(Interim Use Plan)と言いまして、 全体のマスタープランと同時に作成されます。 マスタープランの中に暫定利用計画を含むことで経済動向にも対応できる計画手法で、 非常にフレキシブルな都市計画建設を可能にします。
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