都市環境デザインを目指す若者集まれ
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新都心計画の進め方

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21世紀のマリーナシティ(URAパンフより)
改行マークこれは「21世紀のマリーナシティ」という新都心の計画です。 大阪にも夢洲や舞洲の計画がありますが、 シンガポールでも高度経済成長時代に埋立地を対象としたこのような計画を立案しました。 ただ、 経済状態が不透明な時代でしたから、 この計画は現在も進行中です。 シンガポールでは決まった計画をそのまま着工することには固執しないで、 その時の社会、 経済の状態にあわせて内容を改善することがよくあります。 限られた資源と貴重な国の財源を使うため、 失敗が許されない真剣勝負であるからなのです。

改行マークこの新都心の計画に、 私は公園レクリエーション局のランドスケープアーキテクトとしてかかわりましたが、 環境基盤作りから進めていこうというガーデンシティ独特のやり方で建設計画を進めました。

改行マーク計画の埋立地は250ヘクタールほどあります。 シンガポールではガーデンシティを国の隅々まで進めようというポリシーがありますので、 新都心もまず緑から創っていこうという政策です。 プランはまず連続する大地として全体を緑色に塗り込んでから、 道路や建物を描き込んでいく計画建設手法です。

改行マークこの手法は国のガーデンシティ化を進めるのに、 とても経済効率がいいということです。 長期間かかる新都心の計画ですが、 最初に緑化を始めることで様々なプラスが得られます。 例えば、 埋立て地盤をそのままにしたまま建設を始めると、 雨水が外に流れないようにいかに努力しても土壌浸食が海洋汚染に繋がったり、 季節風で都心に向けて砂ぼこりが発生したりしますが、 最初に緑化しておくことでそれを防ぐことができます。 ですから、 新都心の都市建設の最初からガーデンシティーづくりに向けて工夫されているのです。

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新都心のセントラルパークの計画模型
改行マークこの埋立地の新都心計画の中で、 30ヘクタールが将来のセントラルパークとして位置づけられています。 全体の都市計画については、 都市開発局がコーディネートし、 コンサルタントにも依頼し、 全体プランを作成しました。

改行マーク都市のインフラを建設する前に緑のベースを創っておくことについてですが、 将来は非常に高密なビジネス街になるところですから、 それにバランスするオープンスペースが必要になるだろうとシンガポール政府は考えたわけです。 しかし、 人工の埋立地に植物を育てるのは並大抵のことではありません。 そこで、 最初に土を育てる大地の緑化を実施することで、 最終的にビルが出来たときには樹木が生長し、 公園が完成しているという都市建設の環境基盤づくり、 緑の育成プログラムを組み込んでいる訳です。 建設の時間そのものを樹木の成長期間にあてるわけで、 時を資源に変える「タイムイズマネー」の環境デザインにおける実践です。

改行マークこういう次第ですから、 道路が出来上がった段階ですでに公園は完成しています。 今では緑豊かな公園になっていて、 建物が完成していなくても、 そこで市民が凧揚げをしたり散策をしています。 新都市ができ上る前に社会資本としての緑のオープンスペースが創造されます。 環境ばやりの昨今ですが、 日本では環境はあまり“お金”にならないということで、 どうも、 言葉は先行しますが、 実際の環境整備は進まないようです。 シンガポールでの経験では、 環境を重視しない新都市計画は結局、 良質の社会資本の実現にならないと言えるようです。

改行マーク右端に見える建物は、 新都心完成までの暫定利用施設としている建物です。 インテリム・ユース・プラン(Interim Use Plan)と言いまして、 全体のマスタープランと同時に作成されます。 マスタープランの中に暫定利用計画を含むことで経済動向にも対応できる計画手法で、 非常にフレキシブルな都市計画建設を可能にします。

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