次にコンサルタントの職能について紹介します。 日本でコンサルタントやシンクタンクという職能が出来てから、 大体30〜40年ほど経ちます。 私はこの仕事を約20年やっていますから、 日本のコンサルタント歴の半分を経験したことになります。
日本でのコンサルタントを分類すると、 図2のようにまず金融系のシンクタンク(○○総研)が挙げられます。 株式会社形式で、 経済予測をしたり電算処理システムの開発をしたりしています。
2つ目にあげられるのが行政の企画や政策立案をする組織で、 国や地方公共団体の外郭団体など(財団法人、 社団法人)があります。 大きいところでは国土庁の系列のNIRA、 地方だと県の財団法人があります。 私たちの分野で例えれば地域の長期計画や振興計画を作るのが主たる仕事です。
3つ目にあげられるのが公共事業の調査設計をしている会社です。 行政からアウトソーシングとして生まれたり、 スピンアウトした組織で、 公共事業の専門別に分かれ、 各分野の調査・設計をしている職能です。 これは職能としてもっとも確立していると言えるでしょう。
4つ目にあげられるのが民間系シンクタンクで、 大学からスピンアウトした組織や、 建築事務所がその職能を広げたもの、 ゼネコン系などにオリジンを持つシンクタンクです。
アルパックは大学からスタートしましたし、 阪神間でまちづくりコンサルタントをしているコー・プランも元は大学を出た人たちが設計事務所を作り、 都市計画へと職能を広げていったところです。 建築系の人は、 大学や建築事務所を経てコンサルタントになった人たちが割合多いようです。
これら民間コンサルタントの仕事は、 地方シンクタンクだと地域振興計画や市町村の長期計画を行い、 まちづくりコンサルタントだと商業振興や居住地環境改善などのソフトな分野が得意で、 都市計画コンサルタントだと市街地整備や土地利用計画をやっています。 このように民間系はソフトな部分から振興計画のプランニング、 そして開発事業計画までを幅広くやっています。
これ以外にも、 区画整理などをするシビルエンジニアと言われる専門職能型のコンサルタントグループがあります。 こちらは大きな組織が多いのが特徴です。 というのも橋や高速道路などのような公共事業の場合、 何をするかがはっきりしていて経営的に読みやすいこと、 また事業の規模も大きく、 大きな組織のほうが対応しやすいことが多いからです。
一方、 まちづくりコンサルタントは小さく細々とやるのが一般的です。 アルパックは百人ぐらいの所員がいるのですが、 これはシンクタンク部門や設計部門を含んでの数字です。 まちづくりを専門にやっているところとなると10人以下がほとんどです。
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