生きた公共空間、生き生きとした公共空間
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公的空間

 

OCATのポンテ広場

ポンテ広場の構成
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OCATポンテ広場
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OCATポンテ広場 配置図
 先の二つは公有空間に関する利用事例でしたが、 次は大阪・難波の西側にあるOCATのポンテ広場についてご紹介したいと思います。

 ここは再開発地区計画制度を使って整備された場所で、 大阪市との第3セクターである(株)湊町開発センターが管理しています。

 ポンテ広場は、 OCATの一番北側にあります。 現在、 このすぐ北側にはリバープレイスという大きなホールが建設されています。

 ポンテ広場の底地は大阪市とJR西日本が所有しており、 公有地と民有地が交じっているという状況です。

 広場には地下通路につながる階段が北側の両隅の2ヵ所にありますが、 今は一方が閉鎖されており(西側の部分)、 ナンバ駅からの地下通路に通じる階段だけが使われています。 広場の一部は現在ステージになっています。

 リバープレイスが出来ると、 そちらからは地下通路を通って階段で一旦ポンテ広場へと上がり、 また階段で地下通路へ降りて地下鉄難波駅方面に繋がっていくというアクセスになるように設計されています。

 この関係から、 ポンテ広場の一部(北側の部分)は実は道路になるらしいのですが、 湊町開発センターでは道路認定の申請をしておらず、 このため道路法などの規制を受けない形で運営できるようになっています。

ストリートダンスのメッカ
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鏡の前でダンスをする若者達(写真提供:(株)湊町開発センター)
 ご存知の方も多いと思いますが、 ここはストリートダンスのメッカになっていて、 いつ行っても若者が集まっています。

 話によると、 OCATの店舗のショーウィンドウのガラスや、 壁面の大理石に姿が映るということで、 平成11年頃からダンスの練習をする若者が集まり出したようです。 それを見ていた湊町開発センターの専務理事の発案で、 平成12年4月にポンテ広場にステンレスの鏡が設置され、 若者たちはさらに集まるようになったそうです。 賑わいのきっかけになればよいという考えで、 ここではストリートダンスは管理者の許可を不要としています。

 最近、 都市圏のあちこちで夜に若者がガラスなど姿の映る場所でストリートダンスの練習をしているのをよく見かけますが、 ポンテ広場は誰にも遠慮無くおおっぴらに練習できる唯一の場所ではないかと思います。

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OCAT DANCE CHAMPIONSHIPの様子(写真提供:(株)湊町開発センター)
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OCAT DANCE CHAMPIONSHIPの様子(写真提供:(株)湊町開発センター)
 湊町開発センターの方でもそういった賑わいを活用して、 ここで「OCATダンスチャンピオンシップ」というイベントを開いています。 2000年の開催時には130団体300人が特設ステージに踊りに来ました。

 その他にもコンサートなどの色々なイベントを開催しています。

柔軟な管理体制
 ポンテ広場は、 第3セクターが管理しているためか、 種々のイベントも、 湊町開発センターの広報課が許可すれば、 書面上の手続き無しで利用できるという非常に柔軟な形で運営されています。

 人の賑わいを生み出す企画ならばOKということです。 ただし空間容量上の制限があるのと、 2階の手すりが構造上あまり人が集まり過ぎると危ないということで、 人が集まりすぎる企画は断っているそうです。

 また、 今行きますと、 広場の一部にCDショップなどの仮設店舗がほとんど常設的に出ています。 これはOCATの中に入っているテナントだけに利用料も占有料も無料で認めているそうです。

 ポンテ広場の賑わいを生み出すために、 管理者側が色々な工夫を積極的にしているようです。


京都駅ビルの有効空地

特定街区制度による有効空地
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京都駅ビル有効空地
 同じような事例ですが、 これは京都駅ビルの大階段などの「有効空地」です。

 「有効空地」とは特定街区制度によってつくられた空地のことです。 京都駅ビルが原広司氏の案に決まるまでの過程でいろんな議論があり、 高さ60mに及ぶ構造物を造るかわりに空地をつくりなさいということで生み出されたもので、 この空地はそれなりに非常に重要な意味を持っているものではないかと思います。

 有効空地は京都駅ビルの敷地の約23%を占めているそうです。

 西側に大階段があって、 その下の「室町小路広場」がイベントを開催するステージになっています。 あとは北側にある駅前広場あたりも色々利用されています。

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KaJa!2001(室町小路広場と大階段でのアカペラバンドによるイベント)
 写真は昨年5月くらいのアカペラバンドによるイベント風景ですが、 沢山の人達が大階段を観客席がわりに使っている様子が見えます。 なかなか壮観です。

少なくない制約
 この空間は京都駅ビル開発(株)が管理しており、 イベントをしたい人はそこに申し出て許可と日程調整を受けます。 それとは別に警察や消防、 保健所への届出はそれぞれでやってもらうことになっています。

 また、 ここでは使用料をとっており、 室町小路広場では平日25万円、 休日30万円くらいかかります。 その他に備品使用料、 電気使用料を徴収しています。

 ここは先ほども言ったように特定街区による有効空地ということで、 その強い公共性から営利目的の事業は原則禁止になっているのですが、 それではなかなか賑わいは出せないということで、 京都市との間で「京都駅地区特定街区における有効空地の設置及び維持管理に関する協定書」が結ばれ、 それによって年間数日は営利的なものも入れて良いという取り決めになっています。

 京都駅ビル開発(株)側は、 駅ビル全体の集客を目的とするもので公共的なイベントを許可しているということです。 駅でよくあるパンフレットの配布などは認めておりません。 またスケートボードなども禁止ということで、 比較的厳格に管理されている公共空間と言えると思います。


千里ライフサイエンスセンタービルの公開空地

アトリウム内のコーヒーショップ
 最後に千里ライフサイエンスセンタービルの公開空地をご紹介しようと思います。

 (財)千里ライフサイエンス振興財団が建物を所有し、 (株)千里ライフサイエンスセンターに依頼して管理しています。

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アトリウム内側の方向に店を開くコーヒーショップ
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同上平面図
 アトリウムの中に写真のような公開空地が広がっています。

 今行くと脇にコーヒーショップがありますが、 最初はベンチだけが置かれていて、 たまに人が通るだけという、 あまり人のいない公開空地でした。

 1999年くらいに賑わいを持たせるためにテーブルと椅子を置き、 脇に移動式のコーヒーショップ・ボックスを置きました。 この結果、 本を読む人や弁当を食べる人など、 かなり利用が広がったそうです。

柔軟な運用で対応
 これは建築基準法による総合設計制度の公開空地ですが、 公開空地での営業活動や飲食は禁止されています。

 このコーヒーボックスの場合、 本来は公開空地の横にあるエントランスホールに置くということで契約していますが、 エントランス部分では混雑するため、 結果的にアトリウムの方に移動して、 公開空地の方を向いて営業しているようです。 ただし夏は暑いので、 本来の位置(エントランスホール)に戻って営業しているそうです。

 またこの公開空地は確定申告相談会など市民サービスの会場としても使用されています。

 OCATもそうですが、 民間の会社が管理している所は警備員が時々巡回するなど、 管理はきっちりとされています。

 ここも公開空地なので誰でも入れるというのが原則なのですが、 青少年の不良グループなどは入れないようにしているということでした。

 ただ向かい側にコンビニエンスストアができてからは、 そこで買ったお弁当などを持ちこまれるので、 テーブルや椅子が汚れたり、 壊れたり、 ゴミの量が増えたそうです。

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