日本でいろんな法制度を使っても難しいという中で、多くの自治体では条例を使っていろいろ工夫しています。その中で芦屋市は、7月から全市で景観地区の運用を始めることにしました。図に示したのは、旧景観条例の大規模な建築物の届け出の場合です。
これは「地」が低層の空間である町の中に、大規模建築物が入ろうとしたときに調整をするのが目的です。今の空間の形態に対してうまく入らないものについては調整したい、だけどほとんど調整できないのが実情です。ある程度設計が固まった段階でいろんな協議が始まりますので、基本の調整はできないんです。そうすると何が調整できるかというと、意匠、材料、色彩、緑化など細かい話しかできないんですね。
まちづくり条例の方で、規模に関わる基準の数値は入れています。芦屋ではまちづくり条例の改正によって街区内部の敷地では大規模な分譲マンションを建てることはかなり難しくなっています。開発協議にかかる敷地規模の場合、隣接する交差点まで道路を拡幅せよという条件があり、それはほとんど無理ですから、実質的に街区内部のマンション建設が抑制されています。
しかしながら、敷地の中の配置、隣接地の関係をコントロールすることは難しいようですね。できるだけ隣接地との間にゆとりがとれるように、窓先空地の指定や、隣接地側の緑地を評価することで、隣接部分の配置を少しでも考えてもらうようにしています。
まあ、いろいろやってはいますが、分譲マンションは難しいですね。賃貸マンションならいけます。分譲マンションはお金の計算しかしませんから、どれだけ売れる床がつくれるかしか関心がないのです。結局、空間の形もお金のあるなしで変わっていく、あるいは基準のぎりぎりの要因で決まっていくわけで、適正化することが難しいんです。基準はクリアしても、それが適正なものになっていかないのが現状だと思います。