小浦先生に二つほど質問させていただきます。
まず、お話の中に出た「街区内密集」は関西特有で、関東ではなかなか理解されにくいとおっしゃいましたが、理解されにくい理由は何でしょうか。例えば、街区のスケールの問題なのでしょうか。また、札幌とか名古屋など他の大都市では見られないのでしょうか。
小浦:
まず、「街区内密集」についてですが、東京はもともと田んぼだったところがスプロールしてぐちゃぐちゃと宅地化したケースが多いのですが、関西の場合、田んぼのところもちゃんと整理されていました。耕地整理で宅地化を早くからやってますので、100×100mといった街区の基盤になる大きな枠組みは以前からあったのです。その中が路地でどんどん密集していったというケースが関西では多いのです。
そういう状況は関西にしか見られないようで、東京などでは理解されてないことが多いようです。
札幌などはグリッドで作られた都市ですが、市街地のあり方が他とはまた全然違うのでそうはならないし、名古屋は土地区画整理でやってきたところが多く、また状況が違うと思うのです。市街地の出来方、その時期、どんな経済活動が行われてきたかということで、街区の形状やその中の土地利用が違ってくるということだと思います。
二つ目は、景観ということになると街路からの視点になりがちだと思うのですが、それ以外の視点、例えば街区からの視点などで考えておられることがあるようでしたら、すこしお聞かせください。
小浦:
問の意図がちょっと良く分からなかったのですが、通りからではなくアンコの中から見る? 路地を単位にして見るということでいいのでしょうか。
例えば、京都を例にとると、いろんな路地があって、その中には長屋があり、老朽化しているのに建て替えも進まず、どうしたらいいのでしょうという袋路地の問題が発生しています。景観というよりは生活環境の改善という視点からのまちづくりが求められていて、路地を単位とした再生まちづくりはいろいろと行われているようです。
私は景観も生活環境も、ある意味一緒だと思います。生活環境の状態が景観という形で現れてきていて、それが良かったり悪かったりするわけです。路地は、安全性が低いとか防災上危ないとか言われていますが、でも心地が良く、みんなにとって住みやすい場所であるならば、その形の中での安全を考えたらいいと思います。そういう意味で、生活環境、そこでの生活風景を継続しつつ、一律的な安全性を性能的には実現しつつ今の基準以外で可能かというまちづくりの展開はあるのではないかという気はします。
巡礼街道と朝鮮人街道はインパクトのあるとても面白い名前だなと思いました。ただ、巡礼街道と名付けられながら、肝心のお寺がなくなっているのは残念です。地図で見ると、巡礼街道はキャッスルロードと重なっています。我われは、こうした議論ではつい町なかの話になってしまいがちなのですが、街道それ自体をテーマにしたまちづくりは面白いと思いました。街道、旧市街、田園というつながりについて何か面白いテーマがあればお聞かせください。
深谷:
巡礼街道、朝鮮人街道は今は県道になっていたり商業地域になっていたりして、歴史的な雰囲気はもうなくなっているのが現状です。
ただ中山道に関しては、守山、草津から米原までほぼ滋賀県全域を通っていまして、宿場町などもその形態が残っています。県の広域行政につながっていくとは思いますが、滋賀県と各行政団体が一体となって、中山道を歴史的な景観形成でつないでいく考えはあります。今後は、県の中でもそうしたところを景観形成地区として指定していくという議論は出てくると思います。
路地や街道から考えてみる
■街区内密集は関西だけの問題?
魚谷:
■景観と生活環境改善
魚谷:
■街道をテーマとしたまちづくりは?
西(都市機構):
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