このビルを所有している人たちはここの商店街の人たちなのですが、所有権と使用権を分離しているのがここの大きな特徴です。所有者で会社をつくり、お店を出している人は、たとえこのビルの所有者の一人であっても、会社から借りるという手続きを踏んでいます。 商店主たちは、別に組合をつくっています。
最近はここに新しいマネージメントの会社も出来ました。商店街に空き店舗が出たら新しいお店を探してきて入居させることをビジネスにしている会社です。
ですから、ここには土地・建物を所有している会社、そこから店舗を借りている商業者の組合、店舗をマネージメントする会社という3つの組織があります。この事例は、わたくしが自由空間の研究をはじめたころのゼミの学生が教えてくれたもので、なかなか面白い再開発の事例だと思います。 商業空間のなかの自由空間
■新天町
新天町(福岡市)
これは普通の商店街に見えますが、再開発ビルです。通路が普通の再開発ビルと違って、アーケード街に見えるでしょう? 他の再開発ビルの事例と比べて中の構造が複雑じゃなくて、簡単なアーケード街に見えるのですが、とても生き生きしています。
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高松の商店街は、アーケードの総延長がとても長いので知られています。商店街の一角を利用して、定期借地権で壱番館を作ったことで、みなさんもよくご存知の事例だろうと思います。ここでも建物を経営する会社と、そこを利用する商業グループを分けています。やはり、所有権と使用権を分離していかないと、うまい経営はできないのかなと思わせる事例です。
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私はある建築賞の審査のためにここに行き、けっこうよく出来ていると感心して、ここを推薦しました。
普通なら大きなビルが建ってしまいそうな土地ですが、歩いて外部空間を利用するというコンセプトを重視し、歩行者の居心地を優先した空間作りがされました。容積率はあまり消化されていなくて、これも事業主が地主さんだからできたことかもしれません。こういう空間作りもオーナーの意向によってはできるんだなと感じた次第です。
今時は商業空間といえば大きなビルの内部が普通になっているので、自由空間が何もないという体験が多くなっているせいか、この事例を見てなんだか救われたような気がします。
■星が丘テラス
星が丘テラス(名古屋市)
名古屋の東の方にある星が丘テラスという商業施設です。名古屋の東部丘陵地域を昔から開発してきた大きな地主さん一族が、「この地域の核になる商業施設を作りたい」ということで出来上がった施設です。
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