若者のための都市環境デザイン入門(土木編)
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具体例−環境破壊に等しい土木デザイン

画像skl028 〈写真28〉

改行マーク今までは、 どちらかというとよい土木の話をしてきたのですが、 実は、 そうではないものがたくさんあります。

改行マークこの左右の写真は、 全く同じ場所です。

右側を見ると、 非常にいい田園風景のように見えるのですが、 ちょっとひいて広角にしてみてみると(左)、 タワーがあり、 切り土がありといった具合です。

先ほど天声人語にあったように環境破壊に等しいことを、 たくさんやっているという状況があるわけです。

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画像skl029 〈写真29〉

改行マークこれは、 緑でかくされたらどうなるか、 ということを示しているだけなのですが、 それだけでもずいぶん違います。

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画像skl030 〈写真30〉

改行マーク左側は一見川のように見えるのですが、 実は川ではなくて、 千里ニュータウンの中にあるただの排水溝です。

右側は、 れっきとした、 1級河川の寝屋川です。

寝屋川よりもただの排水溝の方がよっぽど川らしいという状況があります。

改行マーク川は、 オープンスペースが広がっていて、 視界も広がっている、 そして、 水もあります。

それに加えて、 自然がないと川にならないと思うのですが、 現実には、 どうしようもない、 右の写真のような土木が世の中にはたくさんあるわけです。

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画像skl031 〈写真31〉

改行マーク例えば土にしても、 左側のような作り方をしてしまうわけです。

本来、 土木の“土”ですから、 アースワークとしてきっちり作りたいものです。

しかし現実には、 なかなかそうはいきません。

根本的には、 右側のように、 なだらかに、 丸みを帯びてアンジュレーションがあってというのが土の基本だろうと思います。

改行マーク左側のようなものが作られるのは、 土木を作るシステムの中に原因があります。

悪い土木は、 土木的な体制が世の中にあって、 それによって土木づくりがなされているから悪くなるということがあります。

改行マーク左の写真の例は、 一つの問題は、 設計をするときに定規を使ってぱっぱっと設計してしまうということです。

そうして、 施工は施工で、 きっちりそれを施工するわけです。

そうすることができる技術があるので、 法面を鏡のように仕上げてしまいます。

改行マーク施工をきっちりやってしまうのはなぜかといえば、 例えば会計検査ということがあるわけです。

「図面どおりにできていなければおかしい」という検査の仕方をしますから、 定規でぱっぱっと引いてしまった設計の通りに作らないと、 おかしい、 お金を無駄遣いしているということになるわけです。

改行マークさっきの千里ニュータウンのような30年ぐらい前の土木では、 もっと違う土の作り方をしていたと思います。

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画像skl032 〈写真32〉

改行マークこれは岡山とスイスです。

色々な土のデザイン、 大地のデザイン、 アースワークというようなことがあり得るということです。

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画像skl036 〈写真33〉

改行マーク左側は宇治川です。

宇治の平等院の前のあたりです。

このような仕上げを、 護岸にしてしまうわけです。

一見きれいなんですが、 こういった仕上げはそれこそディズニーランドにある池みたいな感じです。

非常におかしい。

これが川だとはおもえないデザインです。

改行マーク右側も同じ宇治川ですが、 非常にお金をかけて改修をしているのですが、 まっ平らな石積みにしてしまっています。

鴨川あたりの護岸とはずいぶん違います。

これを設計したコンサルタントの人に、 「なんでこんなことをやったんや。

もう少しカーブをつけて、 丸みを持たせてやったらどうや」と聞いたら、 「計画の段階ではそういうことを考えていんだが、 いざ、 施工する段階で、 時間もないからということで、 現場が、 えい、 やっと、 やってしまった」ということを言っていました。

そういう、 土木作りの体制自体に、 大きな問題があるということです。

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画像skl037 〈写真34〉

改行マーク左側の写真では、 手前の方とちょっと先では全然違う仕上げをしています。

こういう作り方を平気でします。

これも年度毎に予算が決まっているとか、 2年もたつと事務所の所長さんがかわってしまいデザインもかわる、 ということがあるわけです。

改行マーク右側は、 自然の川の中で日本庭園の真似をしていて、 非常に変な感じになってしまっています。

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画像skl038 〈写真35〉

改行マーク右側の仕上げの素材を見ていただきたいのですが、 最近は化粧型枠といって石みたいな模様がつく材料があります。

一見石積みふうですが、 同じ模様が延々と続きます。

石積みだとしたらこんなことは絶対にあり得ません。

こういう気持ちの悪いことを平気でやってしまっています。

やはり、 左側の大垣の水門川のように、 自然石でつくるのにはかないません。

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