〈写真31〉
例えば土にしても、 左側のような作り方をしてしまうわけです。 本来、 土木の“土”ですから、 アースワークとしてきっちり作りたいものです。 しかし現実には、 なかなかそうはいきません。 根本的には、 右側のように、 なだらかに、 丸みを帯びてアンジュレーションがあってというのが土の基本だろうと思います。
左側のようなものが作られるのは、 土木を作るシステムの中に原因があります。 悪い土木は、 土木的な体制が世の中にあって、 それによって土木づくりがなされているから悪くなるということがあります。
左の写真の例は、 一つの問題は、 設計をするときに定規を使ってぱっぱっと設計してしまうということです。 そうして、 施工は施工で、 きっちりそれを施工するわけです。 そうすることができる技術があるので、 法面を鏡のように仕上げてしまいます。
施工をきっちりやってしまうのはなぜかといえば、 例えば会計検査ということがあるわけです。 「図面どおりにできていなければおかしい」という検査の仕方をしますから、 定規でぱっぱっと引いてしまった設計の通りに作らないと、 おかしい、 お金を無駄遣いしているということになるわけです。
さっきの千里ニュータウンのような30年ぐらい前の土木では、 もっと違う土の作り方をしていたと思います。
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