「復興市民まちづくり支援ネットワーク」は、 まちづくりプランナーを中心とする連絡網で、 震災後の2月10日にできたものです。 これは組織と言うより、 インターネットのようなもので、 アクセスすればお互いに何をやっているか分かるというものです。 震災後の半年は一週間に1回、 その後は月に1回集まり、 お互いの状況報告をしました。 最近は2ヶ月に1回になっています。 つい先日、 神戸で行った2日間の報告会はこの2年半を振り返ったものです。
◆参考資料:阪神大震災復興市民まちづくり関連ページ
そうした活動の支えになったのは、 まちづくりニュースの発行です。 『きんもくせい』は私たちスタッフと神戸大学早川研究室の児玉さんが共同で発行したもので、 2年半の間に50号まで出しました(図3a)。 『明日の西宮』は、 大阪市立大学、 大阪芸術大学の先生たちと大阪のコンサルタントが中心のネットワークが出したもので、 10号まで出されました(図3b)。
◆参考資料:きんもくせい
『阪神大震災・復興市民まちづくり』は、 様々なまちづくり協議会が出すニュースを合本したもので、 3ヶ月に1回発行しました。 これも2年半の間に8号まで出して、 ひと区切りとしました(図4)。
メディア関連の活動は2年半で終結したのですが、 やめた理由のひとつにはお金がないからということもありますが、 急を争って出す状況ではなくなったというのが最大の理由です。
◆参考資料:阪神大震災復興市民まちづくり
「阪神・淡路ルネッサンス・ファンド」(HAR基金)は、 地元組織の活動とそれに協力する専門家の活動を資金的に支援するものです。
プランナーの仕事の大半は、 市民が集まってまちづくりの話をするための準備をすることです。 そのため、 地区の将来像のタタキ台を作ったり、 まちづくりニュースを作って一般の市民に状況を報告し、 意見を求めたりしますが、 そのためには住民自らが自分たちのメディアを持つ必要があります。 会議打ち合わせ(ミーティング)と広報連絡手段(メディア)を持つことは、 市民まちづくりを進めていく上で最低限必要なことです。
そうなると、 自分たちが活動を続けるための基金をつくっておかないといけないと思ってファンド設立の呼びかけをしたのです。
これは、 震災後かなり早い時に、 危機感を持って思いつきました。 1月の終わり頃だったと思います。 「何か手伝うことはないか」との申し入れがたくさんあったので、 「基金を作って少なくとも5年間は、 地域の組織やそれを支えるコンサルタントの活動を支援して欲しい」とお願いしました。
この基金対象のほとんどは、 被災地の80%を占める面的事業のない白地区域のまちづくり支援基金となっています。 当初は、 年間2億円、 5年で10億円を集めるもくろみでしたが、 話半分以下の1桁少ない基金となりました。 今までに5回の助成をし、 合計3千万〜3千500万円の助成がされました。 今度の6回目の助成は、 97年12月にいつものように公開審査で決められます。
◆参考資料:HAR基金ニュース
第1回目の助成で、 関西建築家ボランティアによる東灘区魚崎地区の復興まちづくり支援、 東京の建築家坂茂さんの計画されたローコストアパートメントの開発と建設、 千葉の映画監督青池憲司さんが製作している野田北部鷹取の震災復興映像記録などが対象となっています。
半年かけて集めたお金は、 公開審査で助成対象を決めて、 助成金額も相手とのやりとりで「これぐらい欲しい」「じゃあ、 これだけ」とその場で決めていきます。 まあ、 助成金額も少ないから、 おおらかにできるのですが。 私たちはそのHAR基金の現地事務局をしています。
以上紹介したことが、 定期的に行ってきた活動ですが、 それ以外に各地区へのコンサルタント派遣について、 まちづくり協議会の相談にのったり、 神戸市のまちづくりセンターの中で協議会が活動できるようなスペースをとりたいと神戸市に交渉したりもしています。
そういった形でのまちづくりネットワークの支援のほか、 各種のプロジェクトにも参加しています。
ひとつは被災地の実態調査です。 ここにおられる学生さんで参加した人もいると思いますが、 建築学会と都市計画学会で震災直後に行った建物被災度調査を一緒に行いました。 その後もそれをフォローする形で、 つい先日、 2回目の被災地実態についての学生発表会をしました。
◆参考資料:これからの安全都市づくり(実態調査を一部収録)
また、 いろんなネットワークの活動を通じて、 協議会や専門家の方々と知り合えたことからいくつかの新しいプロジェクトが生まれたのですが、 そのひとつが「ガレキに花を咲かせましょう」というもので、 その内容を写真で紹介します。
◆参考資料:ガレキに花を咲かせましょう
震災以降に行った活動
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