アジア太平洋の地域の都市環境デザインの新しい流れ
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4 台北市都市設計制度の適用範囲

改行マークここで審議対象をもう一度まとめてみます。

(1)都市設計審議地区(現在15地区)

改行マーク前出の信義副都心地区を始め、 現在都市デザイン審議地区と指定されているところは15地区までに増えています。

改行マークこういう地区についてはガイドラインが設けられていますが、 その指定方式は、 対象としたい地区に既存の都市計画制度を利用し、 そのなかで都市デザイン審議が義務付られている用途地域を指定するというものです。

改行マークたとえば駅周辺は車站特定専用区(駅周辺特別地域)に指定し、 都市デザインの審議対象としています。

改行マークまた、 マスタープランの下にある細部計画地域については、 五年に一回の細部計画の内容見直しの際に都市デザイン審議を適用させます。

(2)大規模建築物
 台北市内の一定規模以上の建築物は審議対象となりますが、 これらについてはガイドラインがなく、 各敷地ごとに審議会にかけます。

(3)大規模や重要な公共施設/(4)重大な公共工事
 初期では民間の建物だけが審議されるていましたが、 政府の建築や工事、 たとえば高架道路は勝手につくられていました。 これは不公平だということで、 政府の建設物も対象となりました。 建物はもちろんですが、 公園や広場、 駐車場も対象としています。

(5)公共事業や建築の附属物
 今では、 例えば地下街の換気口も都市デザインを考えなければなりませんし、 バス停、 特定地域の看板など細かい物も対象となっています。

(6)特別な開発や建設事業
 たとえば山の傾斜地における大規模開発や史跡、 古跡周辺地域の建設事業などについても審議対象となります。

(7)その他
 建築申請を出すものの中に、 都市デザイン審議が必要と認められるもの、 例えば環境や安全に悪い影響を与えるものや、 特別な広告サインなどがあります。


都市設計審議地区の例

改行マーク以下には、 いくつかの都市デザイン審議地区を紹介します。

画像ti024 改行マーク最初の審議対象となった信義計画地区の模型です。

画像ti026 改行マーク台北駅の特定専用区(周辺特別地域)の図面です。

改行マーク駅のみならず、 その周辺部には鉄道跡地がいっぱいあり、 鉄道職員の宿舎も老朽化しています。 これらを全部あわせて一つの特別地域に指定し、 都市デザインを行ないました。

画像ti027 改行マーク同じく駅周辺特別地域の模型です。 市政府都市発展局がある事務所に都市デザインの研究を委託し、 何回かの専門家ディスカッションや公開討議を通したあと、 デザインガイドラインを決めました。


大規模建築物の例

画像ti028 改行マーク最近の大規模開発の例で、 高層住宅です。 日本の総合設計制度のようなボーナス制度が使われた例です。

画像ti029 改行マーク高層住宅の足元ですが、 ここについては、 外部空間のデザインや歩道と店との関係が都市デザイン審議会において議論されました。

改行マーク審議には模型、 図面はもちろん、 必要な時はコンピュータグラーフの3D(ダイメンション、 dimension)の図面も使って審議します。

画像ti030 改行マーク同じくボーナス制度を利用したホテルの公開空地です。


大規模や重要な公共施設と公共工事の例

画像ti031 改行マーク公共施設の例です。 この公共駐車場の中に高島屋デパートがつくられていますが、 公共駐車場があったので、 審議されました。

画像ti032 改行マーク高架道路ですが、 困った事例です。 これは最初から審議対象ではなかったのですが、 途中で制度が変わり、 審議にかけることになりました。 そのため形ではなく、 色だけしか審議できませんでした。 しかし、 色も都市デザイン審議会の意見が通りませんでした。 その理由は、 塗装の材料をすでに買っていたので、 とても変更出来ないというものです。 結局、 今回はあきらめて、 塗り替えの時、 いまの色ではなく、 新しい色を選択したうえ、 審議会にかけるようにと決議しました。


公共事業附属物

画像ti033 改行マーク今は都市空間も審議されるようとなっています。 この図面は歩道の審議を表わしています。

画像ti034 改行マーク上の歩道の完成部分の写真です。

改行マークこういう事業は数少なくないため、 全て審議会の大会に直接かけるのではなく、 まず小委員会で審議を行なったあと、 大会に持ち込みます。

画像ti035 改行マーク公共事業や建物の附属物の例で、 バス停です。

改行マーク台北市いまはバス専用レーンを導入していますが、 そこにつくったバス停を審議会にかけました。 審議会ではOKでしたが、 色はやや暗いということで、 最初は市民の評判はよくありませんでした。

画像ti036 改行マーク看板改善地域の例です。

改行マーク住民(商店主)参加をもとに、 デザイナーにいくつかの案をつくってもらって、 審議にかけるという方式でした。

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