路地から見たまちづくりの作法
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ

タイポロジーを詳しく見る

不整形/明快な境界/路上占用なし

画像uenl009 改行マークこれまで8つのタイポロジーの16の事例を見ていただきましたが、 その中からいくつかのタイプを選んで、 詳しく見ていきたいと思います。

改行マーク右はミコノス島で、 平面形が不整形であって、 公私の領域のエッジがはっきりしていて、 路上占用がないというタイプです。

改行マーク左は芝浦工大の畑先生のスタディをそのまま拝借しておりますが、 塗ってある色がそれぞれ建物用途を示しています。 平面形を見ていただきますと、 実に複雑な形をしているのがわかります。

画像uenr009
画像uenl010 改行マークこれも同じくミコノス島です。 平面的にも、 三次元的にも非常に複雑な形を取っています。 ここで大事なことは、 道の空間がまずあるのではなくて、 建物や階段のあり方によってこういった空間ができあがっていて、 それが変わってしまえば、 道のあり方が変わってしまうことです。 道が道として一つの完結した空間となっておらず、 私的な領域の作られ方によって共用部分、 公共部分が形成されてくるということです。

画像uenr010


不整形/曖昧な境界/路上占用なし

画像uenl011 改行マーク次は、 墨田区の京島3丁目というところです。 これは、 空間形態が不整形、 公私の領域が曖昧であって、 路上占用がないというタイプです。

改行マーク左はその平面形です。 もともと水田だったところがスプロールエリアとして市街化して今日に至っているところですが、 もとの農道や水路がそのまま道になってきています。 建物の向きもてんでんばらばらですし、 宅地の大きさもまちまちです。 現在ここでは、 ご多分にもれず再開発の話がありまして、 左上の方の公営住宅のように、 こういった空間が持っている文脈と全く関係のない形に置き変わろうとしています。 まわりの太い道は計画街路として造られているわけですが、 その中の路地は農道がそのまま道になったのだろうと思います。

改行マーク右のスライドで見ていただきたいのは、 物干し竿をかける柱が道路の中に入っていることです。 道路の縁石なんてものは最近入ったものでしょうが、 もともとどこからが通路でどこからが私の領域かはっきりしないところで、 適当にこういったものが出てきているのだろうと思います。 側溝がなくて、 砂利敷きか何かで、 曖昧な領域があって、 そこに曖昧に私的な土地利用が発生してきていた例です。

画像uenr011
画像uenl012 改行マーク次も同じく京島3丁目です。 尾道あたりの路地に比べますとかなりゆったりとした幅員をもっていますが、 使われ方は同じように物干しなどが道に出てきています。 おそらく道というよりも、 右のように「空き」あるいは「すきま」みたいなところがあって、 ここに建物が張り付いていったということをうかがい知ることができます。

画像uenr012


不整形/曖昧な境界/路上占用あり

画像uenl013 改行マーク次は、 空間形態が複雑であって、 公私の領域が曖昧で、 そこに路上占用があるというタイプです。

改行マーク左はネパールのカトマンドゥです。 スライドの左の方に、 非常に複雑な形の路地があって、 しかもそこに面している建物は中庭を持った囲み型になっています。 その中は一種の小さな広場で、 人が自由に出入りできるようになっていて、 全体として複雑な空間を作りだしています。

改行マーク右のスライドの右の方には物売りが出ていますし、 1階部分の開口が道に面しているという形で、 そこが商店になっています。

画像uenr013
画像uenl014 改行マーク同じく、 カトマンドゥです。 左は、 アサントーレというメインストリートです。 空間的にも複雑で、 三次元的にも非常にガチャガチャした形です。

改行マーク右は、 そういった足下の特徴的なあり方として、 一種の中間領域が作られている様子です。 ここではオレンジが売られていますが、 常設的ではなく、 売り尽くしたら帰ってしまって、 そうするとまた違う人がここへきて店を広げます。 1日に3回か4回業者が変わります。 こういった、 曖昧な空間が公私の領域の間に作られることによって、 ますます複雑な空間、 あるいは複雑な使われ方となっています。

画像uenr014

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見は前田裕資

(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai

JUDIホームページへ

学芸出版社ホームページへ