住宅時事往来NO.8
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公団住宅なら/礼金なし入居差別なし
/これが本来の/賃貸住宅の姿

Uさん、Bさん

プロフィール:マレーシア 出身、 30歳、 男性。

1990年4月に来日。
日本語学校→大学院修士課程→博士課程と進み、 1996
年3月に博士号を取得。

1992年に日本人のBさんと国際結婚。

大学に外国人研究員として1年残り、 その後帰国予定。


公団住宅の3階、 2DK(6畳+6畳+DK)バス・トイレ付
家賃45,000円・管理費 3,000円、 埼玉県三郷市。


来日の経緯と簡単な居住歴を聞かせて下さい

 マレーシアにはネイティブを優先させる政策があり、 英語圏への留学は、 インド系の私は選ばれる可能性が低かった。

日本語の勉強という問題があったが、 文部省の国費留学生になれたので来日した。

   

 来日後半年間は関西にある外国語大学の日本語コースに入り、 1991年4月に大学院に入った。

日本語コース時代は大学の寮に、 大学院修士時代は、 東京都世田谷区にある留学生会館に入居した。

どちらも家賃が安く、 設備も整っていたので非常に快適だった。

   

 1992年の8月に結婚し、 2人で暮らすアパートを探した。

世田谷区が気に入っていたので、 小田急電鉄の沿線の主要駅で探したが、 なかなか決まらなかった。

結局、 和泉多摩川駅からすぐ近くの住宅に入居した。

1、 2階が店舗になっている3階部分で、 2Kで家賃11万円だった。

入居時には知らされてなかったが、 1階奥と地下が貸し音楽スタジオとなっており、 朝9時から深夜2時まで音と振動に悩まされる結果となった。

公団の賃貸住宅のことを知り応募し続け、 何回目かで当選し、 1994年4月に埼玉県の公団賃貸住宅に入居できた。

ここは交通の便が悪いためか、 空き家が多く、 留学生などの外国人入居者もよく見かける。

駅まで遠い上都心へのアクセスがよくないが、 緑も残っていて住棟間も広く、 内装もきれいで快適に過ごせる。

   

住宅探しの苦労談を聞かせて下さい

 民間アパートを探している時、 不動産屋の多くは話も聞いてくれなかった。

外国人は住宅探しが大変と聞いてはいたが実態に驚いた。

一緒に行った妻を指して「日本人のあんたはいいけど、 外国人はダメ」と言われショックを受けた。

途中から面前で断られるのが辛くなり、 電話で外国人OKかどうか確かめてから出向くようにした。

朝から晩まで集中的に2〜3週間探したが、 入居できる物件は2つのみ。

うち1つは都心からかなり離れた駅の、 徒歩15分以上の場所で、 6畳一間で家賃7万円と言われた。

明らかに相場より高かった。

   

日本の賃貸システムについてどう思いますか

 礼金は戦後住宅不足の時に入居のお礼として始まったと聞くが、 非現代的な制度だと思う。

法律的には支払う義務はないが、 実際には払わないと契約できない。

その上、 畳や襖が入居者負担になったり、 退室時に清掃代を請求されることもある。

これらが改善されるべきと思っている日本人も多いはずだが、 現状ではメディアも取り上げず放置されている。

その点、 礼金や外国人への差別がなく、 きちんと家賃を支払って近隣に迷惑を掛けなければ何も言わない公団住宅は、 非常に明快でいい。

これこそ賃貸システム本来の姿だと思う。

   

 ただ、 提案としては、 建物に個性を持たせ、 廊下を広くしてベンチを置くとか、 人と出会って会話が交わせるような空間があるといいと思う。

大規模開発ではなく、 50世帯程度の、 高齢者とファミリー世帯が混住できるような計画も必要ではないかと感じている。

   

(インタビュー:塩路安紀子・小菅寿美子、 文責:小菅寿美子)

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