プロフィール:韓国出身、 35歳、 男性。1989年に来日し、 日本語学校を経て大学院に。
現在博士課程3年生で都市計画を専攻している。
Kさんと1993年に結婚。
現在は長女のUちゃんも生まれ、 秋には第二子誕生予定。
木造賃貸アパート2階、 2DK(6畳+6畳+DK)バス・トイレ付、
家賃65,000円、 管理費1,000 円。埼玉県朝霞市。
静かに勉強したいと思い茨城県の日本語学校に入ったが、 今から思えば都心の学校の方が情報が豊富だったと思う。
寮は2か月で期限が切れ、 同級生と貸家(一戸建・2K)を借りた。
不動産屋と顔見知りだったので、 入居拒否などの苦労はなかった。
1991年4月に大学院に入学した。
東武東上線沿線の木造アパート(6畳+台所+トイレ、 家賃 4.7万)に入居した。
保証人は先生にお願いし、 多少の入居拒否は経験したが、 比較的簡単に見つけられた。
修士課程を終えた1993年春に韓国で結婚し、 妻の来日と同時に、 沿線の東京よりのRC造のマンション(6畳+台所+バス、 家賃 6.6万円)に入居した。
バブルの時期で家賃が高騰しており、 住宅を探すのに苦労した。
1994年の春に子どもが生まれ、 手狭になり駅徒歩20分の古い木造2階建ての現在のアパートに引っ越した。
広くなったが、 カーテン・レールやエアコン等の設備を自分で取り付けなくてはならず、 結局高くついた。
ただし、 人間関係は少し違う。
戸惑うこともある。
現在のアパートの6世帯は、 高齢・中年世帯が多く、 深夜に及ぶ仕事に就いていたりで、 生活時間も異なり、 生活上の接点が少ない。
挨拶程度しか交流がなく、 その挨拶もこちらから積極的にしないとしてくれない。
以前、 隣りにいた夫婦と親しくなりたくて、 妻がいろいろ努力した。
お互いの家を行き来して「ウチは車があるから、 子どもが急病になったら遠慮なく声を掛けて」とまで言ってくれるような関係になったと喜んでいたのに、 ある日何も言わずに引っ越してしまった。
妻は非常にショックを受けた。
物理的な住環境の問題はお金で何とかなるが、 近所づきあいなどの人間関係は違う。
上手くいかないと残念で悲しくなる。
妻は、 子どもが保育園に入ったのを契機に、 韓国での看護婦の経験を活かして、 新宿の診療所で働いている。
もし日本に残るなら、 子どもは公立小学校に入れたい。
私達夫婦は、 通常は国の言葉で会話しているが、 子どもとは日本語で会話することが多い。
しかし、 国の親にしてみれば孫から日本語で「おばあちゃん」と話しかけられるのではがっかりだろうから、 その程度の韓国語は覚えて欲しいと思って教えている。
来日して7年も経つので、 帰国した際に会う韓国の友人たちとは仕事や社会的な問題で話が合わないこともある。
そういう時は話題を変えようと発言したりするが、 多少戸惑うこともある。
帰国するか日本に残るか、 まだ決めていないが、 せっかく日本で生活する機会を得たので、 韓日の架け橋となるような仕事をしたい。
まち居住研究会/学芸出版社