住宅時事往来No.10
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来日7年目
事業も軌道にのってきた
「N企画」

Cさん・Rさん夫妻

プロフィール:韓国出身、 34歳、 男性。
1990年来日。

日本語学校で勉強後、 独力で事業に挑戦。
現在、 リサイクルショップ、 韓国生活情報誌を経営。
Rさんと1995年に結婚、 8ヶ月の長男がいる。

―来日の理由と来日後の経緯を聞かせてください

 出身はソウルで、 建設関係の内装素材販売代理店を親族と経営していたが経営不振となり、 事業開拓のため日本にきた。

 まず、 新宿御苑近くのマンションのワンルームに住んで日本語学校に1年半通いながら、 従業員 1人を使って新中野で韓国関係のビデオショップを 3年間経営した。

このとき、 送金・仲介など頼まれればなんでもやった経験が、 現在の仕事に生かされている。

 つぎに元学生寮に使われていたビルを借りて、 2年間大塚で民宿を経営した。

観光客が対象だったが、 食堂をつくって短期滞在も受け入れた。

日本にきてみて、 外国人が部屋を借りるときの苦労が身にしみてわかったからだ。

 また、 1年間の準備ののち、 1995年 1月から、 韓国に本部のある生活情報誌「交叉路」の東京経営責任者となり、 現在も続いている。

―どういう情報誌ですか?

 この情報誌は「美しい社会建設」をモットーとしており、 支部が韓国に93ヵ所、 世界に現在 9ヵ所あるが、 今年中には20ヵ所にふえる予定だ。

内容は、 求人・求職・不動産・韓国住宅情報・売買・交換等のあらゆる生活情報が掲載されている。

はじめは営業・取材・編集・印刷いっさいを自分でやっていたが、 現在は本部で仕上げて送ってくる。

毎月 2回の発行(10・25日)で、 食堂・食品店などに無料で配布するが、 インターネットで閲覧もできる。

―現在の仕事はどのように始めたのですか?

 このリサイクルショップは、 情報誌との関係もあり、 韓国人の知人が経営していた店の権利を譲り受けて、 1996年 1月から始めた。

倉庫を含め 1・2フロア全部が店舗になっている。

扱い品はテレビ・冷蔵庫・ビデオ・エアコンなど主として家電製品。

引っ越し時の不用品の買い取り・引き取りをして、 修理・洗浄してから販売する。

そのとき情報誌をおおいに活用する。

 いまは軌道にのってきたが、 なかなかたいへんな仕事で、 韓国人で始める人はいるが長続きせず、 本格的なところはここだけだ。

開店当時の利用者の90%は韓国人だったが、 いまでは70%くらいで、 あとの30%は日本・中国・マレーシア人などが利用してくれている。

それだけ店が知られてきて、 利用者がふえてきたということだろう。

ショップ写真
Cさんが経営するリサイクルショップ。
店内には中古のテレビやエアコンがぎっしり並べられている

―いまの生活についてお聞きしたいのですが

 いまの住まいは、 もとは会社の店舗部分だったところを、 韓国で知り合って結婚した妻が来日して出産するにあたり、 マンションのオーナーがその一部を住居に改築するよう提案してくれた。

妻も会社を手伝うので、 経済的にも時間的にもたすかるが、 間取りが変形だし、 いまは子供がまだ小さいからよいけれど、 いずれ手狭になると思う。

 妻は、 韓国で日本語を専門に勉強していたが、 来日してから日本人と話をする機会があまりない。

韓国での住まいのほうが広いし、 日本の生活にまだ慣れていない。

男性は仕事に専念すればよいが、 妻は生活のうえで不安だったり、 不自由もしているようだ。

 毎日の食事は、 近所の店で材料を求めて、 韓国式・日本式どちらもつくる。

ただ、 キムチだけは韓国からまとめて 7.5キロずつ注文して取り寄せる。

 ここは住む場所としては、 騒音その他、 不安な環境なので、 子供のためには好ましくないと思っているが、 いまのところ経済上やむをえない。

―お子さんの教育はどのように考えていますか?

 子供の教育のことは、 とても気がかりだ。

1歳ぐらいになったら保育園に預けるつもりで、 区の広報などの情報に目を通している。

先輩たちの話もいろいろ聞いて、 小学校にいったとき、 いじめなどにあわないように日本語はちゃんと覚えさせたい。

が、 自分たちの親たちと会ったときに、 孫と話ができないようではいけないので、 英語を教えるように、 韓国語を教えていきたい。

自分としては、 耳の訓練にもなるから、 家庭では韓国語だけで話すつもりだ。

ともかく、 子供の教育のことがいちばんむずかしい。

―今後の方針について聞かせてください

 1990年に、 1人の知人もいない日本にやってきてからまったく独力でがんばってきて、 なんとか基盤ができたところだが、 それだけに経費もかかった。

これからは少し資金もプールして力をたくわえ、 自分がいなくても仕事が回転するようにしたい。

けっして大儲けをしようとは思わないので、 会社と生活が成り立っていけば、 それで十分だ。

(インタビュー:太田多圭子・稲葉佳子 文責:太田多圭子)

プラン
平面図
RC造民間賃貸マンション1階、 ワンルーム(22m2)、 バストイレ付き
家賃11万円。新宿区新宿。

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