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5 狭小宅地

 狭小宅地の問題は、 宅地が狭すぎて建ペイ率規制に準拠すると、 生活できる規模の住宅が建てられないところにある。


インナーエリアの密集性

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典型的な長屋の敷地形状(長田区・真野地区の例 S=1/2,500)
 今回の震災ではインナーエリアでの被害が大きかった。 つまり、 狭小な老朽住宅が密集した都心周辺地区、 大きな街区の内側に路地を介して長屋が並んでいた住工商混在地など、 神戸市の西部市街地で、 被害が大きかった。 このような地区では、 狭小宅地が多く、 再建が困難になっている。

 例えば、 灘区味泥地区では、 約7割が100m2未満の小規模敷地であり、 JR六甲道周辺地区では、 100m2未満は約66%、 40m2未満が13.5%に達する。 住居系の用途地域が指定されているところでは、 建ペイ率(敷地面積に対する建築面積の割合)は60%であるから、 50m2の敷地であれば、 一階の面積が50×0.6=30m2の建物しか建てることができない。


狭小宅地の再建困難性

 このような狭小な宅地に建てられていた住宅は、 建てられた年代が古い木造住宅が多く、 被災前の建物は、 敷地いっぱい(建ぺい率90%程度)に建てられていた。 このため、 もう一度再建しようとしても、 被災前と同じ建物を建てることができない。

 例えば50m2の敷地に2階建てが建っていたとすると、 50m2×0.9×2=90m2の住宅だった。 これまで建ぺい率が実質90%であったのが、 60%になるとすると、 2階建てを3階建てにすれば(50m2×0.6×3=90m2)、 同じだけの住宅の面積が確保できるとはいうものの、 1階の面積が45m2から30m2になり、 住宅として計画することは、 かなり困難となる。

 特に密集市街地に多い長屋建ての場合、 路地に面して間口がだいたい3〜4m程度で奥行きが10〜12m程度の細長い敷地に建っている住宅が多く、 敷地単位の個別の再建が困難な場合が多い。 狭小な宅地での住宅再建の計画がいろいろ検討されているが、 敷地面積がだいたい〓m2より小さくなると、 住宅としての建築計画が困難と考えられる。 このため、 狭小宅地での再建には、 共同化や協調化による再建、 地区計画と合わせた「神戸市インナー長屋街区改善誘導制度」(インナー長屋制度)の適用等が試みられている(長田区の野田北部地区での検討では、 地区計画とインナー長屋制度の適用により建ぺい率を70%に緩和することを前提に、 約40m2での再建案の検討がある)。

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