狭小宅地の再建困難性
このような狭小な宅地に建てられていた住宅は、 建てられた年代が古い木造住宅が多く、 被災前の建物は、 敷地いっぱい(建ぺい率90%程度)に建てられていた。 このため、 もう一度再建しようとしても、 被災前と同じ建物を建てることができない。
例えば50m2の敷地に2階建てが建っていたとすると、 50m2×0.9×2=90m2の住宅だった。 これまで建ぺい率が実質90%であったのが、 60%になるとすると、 2階建てを3階建てにすれば(50m2×0.6×3=90m2)、 同じだけの住宅の面積が確保できるとはいうものの、 1階の面積が45m2から30m2になり、 住宅として計画することは、 かなり困難となる。
特に密集市街地に多い長屋建ての場合、 路地に面して間口がだいたい3〜4m程度で奥行きが10〜12m程度の細長い敷地に建っている住宅が多く、 敷地単位の個別の再建が困難な場合が多い。 狭小な宅地での住宅再建の計画がいろいろ検討されているが、 敷地面積がだいたい〓m2より小さくなると、 住宅としての建築計画が困難と考えられる。 このため、 狭小宅地での再建には、 共同化や協調化による再建、 地区計画と合わせた「神戸市インナー長屋街区改善誘導制度」(インナー長屋制度)の適用等が試みられている(長田区の野田北部地区での検討では、 地区計画とインナー長屋制度の適用により建ぺい率を70%に緩和することを前提に、 約40m2での再建案の検討がある)。