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7 権利関係


〈事例7)〉

 被災直後の法律相談では、 借地借家関係の問題が圧倒的に多かった(大阪弁護士会館での相談(1995/1/26〜3/31)では、 約7割)。 一般的な市街地、 特にインナーエリアでは、 権利関係が複雑である。 例えば、 灘区味泥地区の場合、 持地持家(AAA)が約36%、 借地持家(ABB)が約22%、 借家(AAC)が27%、 借地上の借家(ABC)が約12%であった。 比較的、 持地持家が多いといわれている被災地東部の市街地でも、 古い市街地では借地の割合が低くはない。

 持地持家の場合は、 所有者の資金力や再建意欲に応じて、 自力再建が可能であるが、 借地借家の場合は、 建物が滅失している状況での、 借地権・借家権の継承が生活再建に大きく影響する。 建物の滅失を期に賃借関係を解消しようとする地主・家主もある。

 これに対し、 罹災都市借地借家臨時処理法の準用(3年)により、 借家人・借地人の権利を守る処置がとられた。 これによると、 (1)敷地の賃借権の優先的取得、 (2)敷地の借地権の優先的譲受け、 (3)新しい建物の賃借権の優先的取得が、 可能とされた。 しかし実際には、 借家人が、 住んでいたところに借地権設定ができるとしても、 複数の借家人から申し出がある場合、 どこにどのようが条件で借地権設定が可能となるのか。 また、 借地権者が譲渡を申し入れる場合、 譲渡条件として底地と借地の権利配分をどうするか、 土地に抵当権が設定されていたらどうなるのか。 また、 従前借家人が優先入居できるとして賃料が大きく上がる場合や、 従前より全体の戸数が減ったらどうなるのか、 等、 様々な問題があり、 短期間に権利調整を行うことは難しい。

 復旧を早める目的で、 この法を適用したのであるが、 優先権が残る間、 従前の権利が整理しにくくなり、 結果的に土地の利用が逆に停滞してともいわれている。

 また、 借地権では担保力がなく、 再建資金が借り入れできない。 RC建築を建てようとすると、 地主の同意や借地権の更新、 借地料の交渉などが問題になって、 借地での共同化再建は困難である。

 いずれにしても、 建物の再建は、 資金力や敷地の空間的条件だけでなく、 複雑な権利関係の調整も、 再建における阻害要因となっている。 権利関係については、 民事の調整でしかなく、 借地借家法の範囲内で自力での解決がせまられる。

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