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8 共同化


〈事例8910)〉

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神戸市長田区・野田北部地区の共同化例
 宅地が狭小であったり、 接道条件を満たしていないため、 単独敷地では再建が困難である場合に、 共同化による再建の支援が行われている。

 「共同化」とは、 複数の宅地を1つの宅地(敷地)にまとめて、 1棟の集合住宅を建設し、 区分所有することである。 新たに建てられた集合住宅の敷地になった宅地は、 住戸の所有権をもつ権利者で共有することになる。 共同化は、 等価交換方式という方法をとることが多い。 これは、 従前の土地建物に関する権利(所有権、 借地権など)の持分を評価し、 その持分に応じて、 再建された建物の住戸の持分を決めるというものである。

 被災地での再建の場合、 建物は減失しているので、 建物の評価はない。 例えば、 3人の権利者の土地の割合が1: 1: 2の場合、 再建後の住宅の延べ床を1: 1: 2で分けるとすると、 住宅の建設費は、 各権利者がそれぞれの持分割合に応じて負担することになる。

 また、 共同化によって、 再建前よりも住宅の延べ床面積を増やすことができる場合は、 この増えた分をデベロッパー等に売却することにより建設費を生み出し、 権利者の建設費の負担を軽くすることができる。 これは言い換えれば、 床の持ち分割合が相対的に減ることであり、 それに応じてもともとの権利者の土地の共有持ち分が減ることである。 実質的には土地の一部を売却して建設費に当てることと同じである。

 実際の共同化事業は、 全ての権利者が一度土地の所有権をデベロッパーに移転し、 デベロッパーが共同住宅を再建後、 元の所有権が持分に相当する住戸を取得することで精算することが多い(全部譲渡方式)。 持ち分を増やしたい場合は、 その分を買い増すことになる。

 しかし、 実際には、 共同化が必要な密集市街地では、 借地人、 借家人も多く、 これまで住んでいた人々が住み続けていくためには再建計画の内容を検討する中で、 借地権の整理や、 借家人が家主の持分の中で再び賃貸できるような支援の仕組みの検討も必要になる。

 狭小宅地に無理をして3階建て住宅を建てると、 住宅の中の多くの面積を階段スペースに使わなくてはならないのに対して、 共同化すれば、 住宅の床面積が同じでも平面的に有効に利用できるのであるが、 土地が共有になることへの抵抗が大きく、 なかなか共同化が進まないのが実態である。

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