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10 街区再建


〈事例12)〉

 街区再建の考え方は、 個々の敷地単位では、 現行の建築基準法に基づいて建物が再建できなかったり、 再建できても生活環境の安全性や快適性に問題が残るような市街地において、 街区単位で住宅再建と環境改善を図ろうというものである。

 被害の大きかったインナーシティでは、 道路などの基盤整備が十分行われていないところや、 耕地整理による街区形成のため、 街区規模が大きく、 街区内が狭い道路(路地)で複雑に分割されて高密度な土地利用になっているところが多い。 このようなところでは、 接道不良の敷地や、 狭小宅地が多いため、 個々の敷地単位では再建が困難なケースが発生している。 また、 共同化以外に生活再建ができない狭小宅地も街区内に混在している。

 このような状況に対し、 街区単位や路地に面する複数の敷地のまとまりで、 接道条件や敷地条件を整備し、 住宅再建を進めることが検討された。 街区形成が行われている市街地では、 街区内で完結した敷地の交換分合が、 共同化や戸建て敷地の条件整備に有効であると考えられた。


街区再建型への試み

 神戸市では、 街区再建型の試みへの支援策として、 狭隘道路の拡幅・付け替えと合わせて沿道の敷地条件を整備し、 自力再建を進めるために道路整備型グループ再建制度を創設している。 また、 現道が形成する街区を基本に、 路地や私道の整理・敷地の交換分合により、 街区単位で4m道路を整備し、 共同化のための敷地と戸建て敷地の整備を目指す、 小規模な区画整理事業(ミニ区画整理)も試みられている。 0.5haから適用が可能な安全市街地形成土地区画整理事業も制度化された。 通常、 敷地条件を改善しようにも、 民民の土地の交換分合には、 土地の所有の変更のたびに税金がかかるが、 これらの制度を適用することにより、 税金が不要となる。 いずれも、 小規模単位での土地の整理を支援するものである。


湊川1・2丁目地区

 このような街区再建型の事例に、 湊川1・2丁目震災復興土地区画整理事業がある。 地区面積1.5ha、 権利者145名の事業であるが、 震災後の時間経過とともに、 自力再建できる敷地での再建が進み、 自力再建できない敷地条件の人と、 自力で戸建て再建できる敷地条件の地権者との間での合意形成が難しくなった。 その中で、 ようやく2つの街区で、 自力再建が可能な敷地所有者の理解を得て、 宅地の交換分合により敷地整理し、 共同化住宅用地を生みだす換地計画に合意が得られた。 居住環境を改善しつつ、 住み続けたい人が住み続けられるまちづくりの1つの方向を示している。

 1つの街区にも、 様々な敷地条件が混在している。 表通りに面している敷地や路地沿いでも敷地規模が大きい場合は、 そのままで再建可能である。 しかしこのような人々の参加がなくては、 街区再建は困難となる。 白地地区では、 自力再建できる人から再建が進み、 次第に再建が困難な敷地が街区内に点在するように残され始めている。 既成市街地では、 大きな改造型のまちづくりだけではなく、 街区単位の居住環境の改善を積み重ねていくまちづくりが重要であるが、 湊川地区の事例はその難しさも示している。

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