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9 協調化


〈事例11)〉

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神戸市長田区・野田北部地区の協調化例
 協調化は共同化と異なり、 宅地の共有化を前提とするものではない。 各々の宅地を敷地として、 各々が個別に建物を建てることになるが、 隣接する敷地間で相互に話し合って、 調整することにより、 隣棟の壁を接して建てたり、 建物の高さやファサードの構成などのデザインをあわせて建てていくことが基本になる。

 被災地での協調建替えには、 隣棟間に全く隙間をあけないゼロロット協調化がみられる。 この場合、 土地・建物の所有関係は、 これまで通り個別に所有し、 登記されるが、 建築基準法上は、 協調建替えに参加した複数の宅地を1つの敷地として計画し、 建築確認申請を行い、 1つの建物として建てる。 例えば、 持地持家の5件長屋が、 現代風にそのまま5件長屋として1棟の建物が再建されている状況を考えてみるといい。

 協調化の場合は、 隣接する敷地間で話しあって、 同時に建て替えることで宅地の有効利用、 町なみの形成を進めていくことに特徴があり、 土地・建物の所有関係は、 従前の状態を維持することができる。

 狭小宅地では、 隣棟間距離をとらないことで、 間口が確保され、 宅地の利用効率が上がり、 再建がしやすくなる。 隣棟間距離については、 建築基準法上は特に規定はないが、 民法上は、 建物壁面を隣地境界線から50cm以上離すことが規定されている。 狭小宅地の多い地区では、 協調化による再建促進が進められているが、 なかなか難しい。

 一方、 開発規制により敷地分割規制(110m2以下の分割禁止)のある芦屋では、 大規模な宅地や、 複数の宅地をまとめたミニ開発事業で、 ゼロロット協調型の住宅が建てられ、 分譲されている。 建築基準法上は、 1敷地であるため、 開発協議では、 宅地分割にならないが、 分譲後は各戸個別に登記されているとみられるものもあり、 実質的な宅地の細分化につながっている。

 都市に集まって住むことは、 協調して暮らすことでもあるが、 震災後の再建においても、 共同化とともに協調化についても合意形成は難しい。

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