まちの復興状況をとらえる指標として、 大きく2つの考え方がとられている。
(1)再建率:地区内で減失した建物(建物が撤去され、 一端更地になった状態)の敷地数のうち、 建物が再建された敷地数の割合。
(2)復興率:地区内の震災前に建物があった全敷地数に対して、 震災後建物がある(残存建物+再建建物)敷地の割合。
(1)の再建率をとると、 空地化したところの再建の状況はわかるが、 地区全体の復興の実態が見えにくい。 また、 再建において、 宅地が細分化されたり、 共同化事業や復数の宅地をあわせて戸建てが建つなど、 宅地がまとめられるケースがかなり現れてきている。 このため、 再建された敷地の数と実際に建っている住宅の数が一致しない。 再建率だけでは、 再建後のまちの建物の状況を適切に表現できなくなってきている。
再建率は、 震災前の宅地ベースに、 再建の実態をとらえようとするものである。
(2)の復興率をとると、 地区全体の再建の状況はわかるが、 被害が比較的小さい地区では、 再建が停滞していてもみえにくい。 例えば、 倒壊した敷地のうち、 どれくらいが空地のままであるか等は、 とらえにくい。 しかし、 地区の全体像を他地区と比較する上では有効である。
本来、 再建実態をとらえるためには、 地区の全敷地に対する実態調査が必要であるが、 被災地域の広がりが大きく、 被災地全域の動向をとらえることは困難である。 そのため、 統計的数字により、 例えば、 全半壊戸数に対する住宅着工戸数の割合や、 全半壊棟数に対する確認申請件数の割合などを用い、 全体像をとらえる試みが行われている。
しかし、 地区別の実態調査から、 被災宅地の再建は、 必ずしも被災前と同じ状態に戻ることとは限らないことが明らかである。 地区ごとの実態把握から再建をどのようにとらえ、 評価していくかを検討するためには、 復興地区カルテのような考え方によって、 再建の実態をとらえていく必要がある。