阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク
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4)白地区域の復興

中井都市研究室 中井 豊、 遊空間工房 野崎隆一、 兵庫県都市住宅部 清水喜代志

「きんもくせい」45号

白地区域の復興まちづくりの取り組み (1997/4/8・第45号)

 白地区域では、 戸建て住宅の再建は進んでいるが、 被災後2年を経て、 建築確認申請数が減少しており、 既に住宅再建はピークを越えたようにみえる。 しかし、 まだまだ多くの解体後の更地が市街地内に虫食い上に残されており、 今後のまちづくりの課題となっている。 また、 マンションの増加やこれまでになかったタイプの住宅の増加など、 再建が進むことによって新たなまちづくりの課題もでてきている。 いずれにしても再建は敷地単位に個別的に進み、 地域のまちづくりという観点から再建を考えることは、 ほとんどおこっていない。 震災後、 100を越えるまちづくり協議会が結成されたが、 白地区域の協議会は、 西宮市安井地区、 神戸市灘中央地区など、 数地区にすぎない。

 復興市民まちづくりネットワークでは、 白地地区での取り組みとして、 (1)共同化適地調査を実施し、 共同化の必要なエリアの抽出と専門家との連携による共同再建の啓発・支援を行うこと、 (2)市街地に点在する空地問題を考える基礎となる空地実態調査の実施、 を検討している。

(中井)


東灘区甲南・魚崎地区 (1997/4/8・第45号)

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魚崎・甲南地区における2年目の状況
 甲南・魚崎地区は、 地区内の約60%が全半壊した。 震災後6ヶ月では、 そのうちの約1割が再建に着手したにすぎなかったが、 再建の動きは急速に進み、 1年後には約5割に達した。 しかし2年後でも64%が再建したに過ぎず、 約3割が更地のまま残る可能性がでてきている。

 共同化プロジェクトは借家権の整理や経済的条件によって難航しており、 支援していた11カ所のうち、 事業化できたのは、 市場の共同再建など3カ所である。 関係権利者(地主・借地/持ち家・借家等)の合意を形成していくのに膨大なエネルギーがかかっている。

 ようやく、 地域の高齢者支援グループや商業者団体との交流が生まれ、 建物再建だけでなく、 地域に密着したまちづくりを考える体制が生まれつつある。 その中でようやく、 まちづくりの主体としてのまちづくり協議会の必要性が見えてくるのではないか。

(野崎)


兵庫県の支援方針(1997/4/8・第45号)

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復興まちづくり支援の事業のしくみ
  震災から3年目に入り、 住宅の戸数など量的には再建が進んできた中で、 特に東部市街地の白地地区では、 残された更地は小規模に散在している。 このため、 敷地が狭い・接道していない等の課題を抱えて再建できない被災者があっても、 (1)既に再建している道路に面した宅地の人に協力してもらうことは困難、 (2)共同化の規模が小規模になり、 優良建築物整備事業等の補助制度の利用が困難、 (3)地区内の困っている人の数が相対的に少なくなると住民サイドからの行政への支援要請に至らなくなる、 といった事態が懸念される。

 これに対し、 (1)行政側から問題箇所を発見してアドバイザーを派遣する、 (2)専門家による現地相談を行う、 (3)阪神淡路復興基金事業による「小規模共同建て替え等支援事業」を設け、 小規模な共同再建を支援することを進め、 まちづくり協議会活動の支援、 更地の活用などへの対応とともに復興まちづくりに取り組む方針である(下図参照)。

(清水)

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