このシンポジウムも回を重ねまして三回目です。
一回目は、 震災で残った建物がたくさんある、 何とか都市の思い出になるようなものを残せないかを考えながら会合を持ちました。 「未来の神戸の歴史をつくるために」ということで、 作家の小松左京さん、 映画監督の大森一樹さん、 建築家の有村桂子さん、 武田則明さんを迎え、 御影公会堂で会を持ちました。
二回目は、 この会場で、 「次代に何を引き継ぐのか」というテーマで、 現在生きている我々が、 神戸っ子として、 将来に何を残すべきか、 神戸新聞社の有井基さん、 文学研究家のたつみ都志さん、 都市民俗学研究者の森栗茂一さんにお話をしていただきました。
それを受け、 三回目の今回は「人とまちとが共有するもの」というテーマで話し合いたいと思います。 一回目は、 建築物に関する話。 二回目は、 歴史と文化と言いながらも、 やはり目にとまるもの、 形あるものの話。 三回目は、 もう少しこれを情緒的に、 もう一度神戸のまちのいいところを思い出しながら、 話し合えるような場にできればと思っております。
詩人の玉川ゆかさんをお迎えし、 さきほど、 玉川さんに自作の詩を朗読していただきました。 テレビに映る映像も鮮烈でしたが、 一人の詩人の目から、 語り部のように語っていただき、 何かテレビ以上に伝わるものがある感じがしました。「都市の記憶」第3回シンポジウム
人とまちとが共有するもの
シンポジスト:小泉美喜子氏
:慈 憲一 氏
:玉川ゆか 氏
コーディネーター:押田榮一 氏
○第3回シンポジウム「都市の記憶」概要
押田:
詩 四丁目の「まさ」 玉川ゆか |
詩 もーにんぐ 玉川ゆか |
三人目の慈さんは、 新進気鋭の若手デザイナー。 この慈(うつみ)という字をさっと読めた方は何人いらっしゃるでしょうか。 お名前からおわかりのように、 ご実家はお寺で僧籍を持っておられますが、 東京におられました。 震災を機に神戸へ戻られ、 お住まいのある灘に執着され、 灘のいろいろなことを調べておられます。 慈さんのように一つの区域に限って深めてゆき、 それが神戸全体に拡張していければと思っています。
ご案内のはがきには、 鼎談といたしましたが、 三人の方々からは、 話題提供というか、 きっかけを作っていただき、 その後は、 お集りの皆さん方と意見を交わすようにもっていきたいと思います。
いま玉川さんに、 詩の朗読をしていただいたわけですが、 詩人は詩にすべてをぶつけておられるので、 その詩に解説なんてないとは思いますけれども、 言い足りないこととか、 どういう気持ちであの詩を書かれたのか、 また、 どうして今日はあの二つの詩を選ばれたのか、 その辺をきっかけにお話を伺いたいと思います。