超簡単ハミルトンのはずみ車 


 「ハミルトンのはずみ車」の実験は,静電気や電磁気などの実験ではかなり定番になっています。バンデグラフ起電機の上に,金属製のはずみ車を乗せ,帯電させると,はずみ車の先端部からコロナ放電が起こり,それが周囲の空気を同極に帯電させることにより反発力が生まれ,その力で回転を続けるというものです。

今回は,バンデグラフなどの起電機が一切要らず,塩ビ管とタオル,下敷きとティッシュなどで簡単に回るはずみ車を作ってみました。安価で特別な準備もほとんど要らず,簡単に実験できます。

 ◆よく知られたはずみ車

バンデグラフの帯電部(数万〜20万ボルト程度)に回転台を載せ,その上に金属製のはずみ車を置く。はずみ車は十字形で先端が同方向に曲げてあり,コロナ放電しやすいように尖らせてある。

◇「超簡単ハミルトンのはずみ車」装置の説明および特徴

1.回転抵抗を極端に少なくするために「方位磁針の針」と「画鋲」を用いている。

2.回転子を軽くするために,十字形でなく直線形を採用。

3.教室のどこからでも視認できるように目立つ色のモールを利用。

4.モールの毛を取り除く方法として,ライターで軽く焼いて,カッターナイフで削ぎ落とした。

◆簡単はずみ車(回転子の部分)

・モール(目立つ色がよい)

・方位磁針の針

部品はこれだけ!

(写真左)装置全景

鉄製スタンド,絶縁台(発泡スチロール等),画鋲,塩ビ管,アクリル毛布,アルミ箔

(写真右)回転子の半分の画像

(写真左)スタンド先端

画鋲をセロハンテープで貼っている

(写真右)

そこに回転子の方位磁針のキャップ部分を載せる

(写真左)

鉄製スタンドは発泡スチロールなどの絶縁台の上に置く

◇注意

きちんと絶縁しないと鉄製スタンド下部から机に静電気が逃げ,回転子の先端からのコロナ放電が極端に減り,回転しなくなります。同様に,鉄製スタンドの各部分に尖ったところがないか,確認しておきます。もし,尖った部分があると,そこからコロナ放電を起こし,やはり回転しにくくなります。

(写真左)スタンド中央

アルミ箔をセロハンテープで貼り付けている

(写真右)

そこに塩ビ管などで静電気をどんどん送る

◇うまく動かないとき・・・原因と対策

1.湿度が高い。 → 換気してもダメなとき,エアコン等がないときは潔くあきらめましょう。湿度60%等になると静電気実験はちょっと厳しいです。

2.湿度は低いがうまく静電気が起こらない。 → 塩ビ管等をエタノールなどで拭きます。汚れや手の脂,汗は静電気の大敵です。また,タオルやティッシュなども新しい物に変えます。

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海老崎 功 ebisan@mbox.kyoto-inet.or.jp