簡易ハミルトンはずみ車 


(H13年度 第50回全日本教職員発明展入選作品)

 物理実験で使用される「ハミルトンのはずみ車」の簡易装置です。はずみ車を帯電させると,その先端部からコロナ放電が起こり,それが周囲の空気を同極に帯電させることにより反発力が生まれ,回転を続けます。市販の装置(図2)などと異なり,バンデグラフのような高価な高電圧起電機が要らず,塩ビ管とアクリル毛布で起こした静電気で簡単・安全に実験できるように様々な工夫をしました。なお,本体は絶縁体のアクリル製です。

(図1)装置全景
図2 市販されている装置 図3 装置の仕組み

(1)工夫点,装置の特徴など             

@回転抵抗を極端に小さくするために回転子とその支えの接点に「方位磁針の針」と「画鋲」を用いた。

A視認性を確保しつつ回転子を軽くするために,モールを使用し,十字形でなく直線形とした(図4)。

B回転子は端の向きを変えた,時計回りと反時計回りするものの2種を用意し,コロナ放電による反発力のために回転していることが確認できるようにした。

C回転子が軽く摩擦も少ないため,負に帯電した塩ビ管を直接本体の「−極」部分に近づけるだけでも回転するが,塩ビ管を本体に近づけることで回転子に直接影響を与えることがある。そこで京都市青少年科学センター物理領域で過去に製作したハンド起電器1)を利用して,静電気を導線で伝えるようにした。そのため起こった静電気は他に影響を与えることなく少ないロスで回転子に供給される。また,プラスは本体を机に置くことでアースされ,回転への影響や感電もない。

図4 回転子

(2)実験方法など

@図5のように接続してハンド起電器を擦り,静電気を本体に送り込む(図6)。

A送った静電気のうちマイナスは装置の縦柱壁面に貼り付けた導電性アルミテープおよび画鋲を通り回転子に送られる。同様にプラスはアルミテープを通って机にアースされる。これにより安定して回転子が回る。                

図5 接続方法 図6 実験の様子

3.備考文献 1)海老崎ほか,京都市青少年科学センター報告VOL.32「あなたもフランクリン」,京都市教育委員会,2001

(※ハンド起電器は全国的にも有名な矢野先生や三門先生の起電器(棒起電器)を参考に改良を加え製作しました。部品や細部の加工にまで気を使い,1年間5000名以上の実験に耐えた確実性と耐久性を備えています。)

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海老崎 功 ebisan@mbox.kyoto-inet.or.jp