ホロスペックスを48倍楽しむ方法 


「モノづくりハンドブック」(科学技術振興事業団)掲載   「京都市青少年科学センター報告」掲載

「たのしい授業2000-4」(仮説社)に埼玉県の岩瀬直樹先生が紹介して下さいました。

 点光源を見るとハート型などに見える「ホロスペックス」(税別280円)という商品があります。これでKOBEルミナリエを見てみました。
KOBEルミナリエは阪神淡路大震災の鎮魂と復興を祈念してはじめられた光の芸術です。 この芸術の元になるのはこれらの色つき電球です。これをホロスペックスで見てみると・・・ 一つの電球につき2個のハートが現れます。このように点光源を見るとハートが見えるのです。
 
 このように夜景や花火などを見たり、キャンプファイヤーではかなり使える代物だと思いますが、参加者全員にこれを配布しようと思えば、「280円×人数分」 の費用がかかります。そこで考えたのがこの「48倍楽しむ方法」です。ホロスペックスでは、実際にハート型を見るために必要な面積は、ほんの小さな部分で良いことがわかりました。もちろん両眼必要なわけではありません。したがって、以下のような工作で、1つのホロスペックスを同時に48人で使うことができます。これは科学工作教室などでも大人気で、1998年(H10年)5月に私が始めたこの工作方法が、今では全国的にたくさんの実験教室で取り入れられているようです。(この方法はOnsenHPでも紹介。

 ホロスペックスは「フーリエ変換ホログラム」と言われ,30倍程度以上のルーペなどで見ると一見不規則そうな縞模様が見えます。しかし,この模様は点光源を見たとき,光の回折によりハートなどの形になるように計算された模様なのです。作りたい像の形をデータにして変換プログラムに入力して目的の縞模様を作り,それを印刷したものです。作り方は結構単純なので,大量生産さえできればコストは非常に安いものと想像されます。また,フーリエ変換プログラムの性質上,上下左右対称のものが2つ見えるようです。

 最近(といっても1998年・平成10年のことですが)のヒットは「クリスマス実験教室」でこれを使ってみんなで点滅するクリスマスツリー電飾を見たことです。(他には1999年・平成11年に科学教育ボランティア団体・Onsenのある実験教室で,クリスマス電飾を首から掛けたその学校の教頭先生が歩き回り大受け!,ということもありました。)
 
 また、これと同様な方法で、名刺にもホロスペックスを貼り付けています(元祖!)よかったらみなさんもどうですか?

※ちなみにメガネなどに加工される前の四角形の元シートは,この作製法を紹介した1年半後(1999年末,平成11年)に一部地域(の東急ハンズ)で,3年後(2001年,平成13年)に全国的に市販を開始しました。工作には当然そちらの方が便利です。

 
◇作製方法(一例です)
(1)ホロスペックスの両眼部分をすべて6×6mmの小片になるように切り取ります。うまく取ると片目で24個、両眼で48個分切り取ることができます。
(2)厚紙を40mm幅に切って、その半分に幅15mmの両面テープを貼ります。(左図)
(3)剥離テープをはがさずに、縦長になるように2つに折り、3〜4cmずつ切ります。
(4)それを開くと左図@のようになります。これをもう一度きちんと折り、中央部分にパンチ穴(6mm)を開けます。(左図A)
(5)それを開いて、両面テープの剥離紙をはがします。(左図B)
(6)パンチ穴がちょうど塞がるようにホロスペックの小片を貼ります。(左図C)
(7)そのまま折ると両面テープにより紙の裏も貼り付いて小さなホロスペックが完成します。(左図D) これで完成です。
※2003年(平成15年)からは,100円ショップなどで6mmの穴が空いた「綴じ穴シール」が販売されだしたので,それを使って台紙に一穴パンチで穴を開け,そこに貼り込むだけという手法も行っています。1998年(平成10年)当時も,特に名刺を作るときには同様の手法で行っていましたが,その時は丸いシールに一穴パンチで穴を開けていました。綴じ穴シールの登場により手間も(お金も)かからなくなりました。
 
◇使用法
 6mmの穴(ホロスペックスが綴じ込んである)部分をのぞいて、点光源などを見ます。これで280円で約1クラス以上の人数で使えます。簡単工作にも便利ですが、市販品の単なる改造なので営利目的等での使用は避けましょう。  また、太陽は絶対見てはいけません。  
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海老崎 功 ebisan@mbox.kyoto-inet.or.jp