沈む船 


(「ガリレオ通信」掲載、「毎日中学生新聞」掲載、「ガリレオ工房の身近な道具で大実験2」掲載)
 
 以前、「バミューダトライアングルで船が沈むメカニズム」を解明しようとするTV番組がありました。その番組中で海底からメタンガスなどの気体が噴出すると船が沈むという説があり、実際にかなり大がかりな装置を用いて実証しようとしていました。その考え方や実験が大変面白かったので、何とかこれを子ども向けに簡単にすることはできないかと考えて、試作を重ね、この『沈む船』を製作しました。
 
私が最初に見たのはNHKの番組(メタンハイドレートによるブローアウト現象を研究している外国の研究室の紹介)だったように記憶していますが,定かではないのです・・・「沈む船」の元アイデアはすべてここから頂きました!(^^) 
 
そして,国内にも同様の現象を本格的に再現できる素晴らしい研究室があります。横浜国立大学・工学部・建設学科 船舶海洋工学教室・浮体運動学研究室(高山武彦先生)です。テレビの「特命リサーチ」や「万物創世記」などでこの現象を演示されたのはもちろんこの研究室です。この研究室は今までに、TVでは「巨大波」として「NHKスペシャル」と「特命」で、「北前船」で「目がテン」の実験をされたそうですので、みなさんもご覧になっているかも知れません。研究室で主に使用している設備は大変大きく、長さ100m、幅8m水深3.5mの水槽だそうです。得意技?は海と同じ波を造れるところだとお聞きしました。
◇原理
 水上に浮かぶ船は浮力を受けていますが、水の密度が小さくなると浮力も小さくなるので沈みます。この現象は連続して下から小さな気泡を送り続けることにより実現できます。
 
◇準備物
・台所用スポンジ、500mlペットボトル(くびれがある非炭酸系がよい)
・ストロー(曲げることができるもの)・接着剤・はさみ・カッターナイフ・ドリル
・船の模型(あまり軽すぎたり、気泡がつきやすい物は避ける)、  等
 
◇作り方
・ペットボトルの底を切り取ります。カッターナイフで切った後、はさみで口を切り揃えます。
・スポンジをボトルの直径より大きめに丸く切ります。(カッターナイフよりはさみの方が切りやすい)
・蓋に穴を開け、ストローを差し込みボンドで止めます。(試作品はホットボンド利用)
・船の模型を作ります。(試作品はホットボンドのスティックを削って作った。発泡スチロールなどは沈みにくい)
・ボトルのくびれの部分にスポンジを押し込み、水を入れて船を浮かべます。スポンジ下に水が漏れることはあまりありませんが、念のためストローの口を指で押さえておきます。
 
◇実験方法および考察
 ゆっくりと軽く息を吹き込むと船が沈みます。強く吹きすぎると泡が大きくなり、水が対流を起こし、沈んだ状態を保つことが難しくなります。当初、小さくて大きさの揃った気泡を出すのにいろいろな素材を試しましたが、結局、入手しやすい台所用スポンジを採用しました。これでも水底のほとんどの部分から同じような泡を出し続けることができます。(パスカルの原理によるものか?)
 
 実験成功の秘訣は、スポンジとストローの間に適度な空間を作ることと、船の素材を選ぶことでした。木の船でも良いですが、演示効果が高かったのはホットボンドのスティックでした。

 

(左)
丸く切った台所用スポンジ
(右)
ホットボンド(樹脂)を削っ
て作った船の模型
装置全景

実験しているところ

 
細かい泡を連続
して出すと、船が
沈みます。
 
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海老崎 功 ebisan@mbox.kyoto-inet.or.jp