3匹のこぶた(浮沈子) 


「ガリレオ工房の身近な道具で大実験2」 掲載  「こども未来」掲載予定

 みなさんは「浮沈子(ふちんし)」を知っていますか? 水を一杯に入れたペットボトルの中で浮き沈みする不思議な科学おもちゃです。これは醤油差しを使うと簡単にできます。私は「かわり浮沈子」を作るために、100円ショップなどをこまめに回りました。そこで見つけた「3匹のこぶた」は特に子どもに受けています。かわいらしい色つきこぶたが、私の言うとおりに浮き沈みするので、子ども達は歓声を上げ、不思議がります。

 
良く知られた浮沈子
 浮沈子に醤油差しを利用するのは以前からありました。(どなたが最初かご存じの方はお知らせ下さい。)
 
 ただし、醤油差しに図のように「ナット」を取りつけて「超簡単工作」に仕上げたのは、兵庫県立鈴蘭台高等学校の森井清博先生です。(物理実験事典 H10にも掲載されています。)
 森井先生はこれを着色し、一つのペットボトルにいくつも入れて順番に沈める演示を以前からやっておられます。

(※H11 森井先生は兵庫高校に異動されました。)

◇作り方・・・非常に簡単です。
・醤油差しの蓋を取り外します。(蓋は使いません)
・そこに口に合うナット(M6が一番合うようです)を締め込みます。さびないようにステンレス製がお奨めです。
・コップなどにそれを浮かべて、わずかに浮く程度になるように醤油差しの中に水を入れて調整します。
・ペットボトル(無色透明の炭酸系容器がお奨め)に水を一杯に入れ、調整した醤油差しを入れます。
・ボトルの蓋をしっかり締めて出来上がりです。
 
※森井先生は1個1円で金魚の醤油差しを市場から大量入手し、印刷用紙の包装紙(油紙)の上でそれらに文化祭などで余ったペンキをかけて着色しています。最も高価なものが「ステンレス製のナット」であるという「究極の安価お持ち帰り実験教材」に仕上げてしまいました・・・(スゴイ!)
ちなみに海老崎の醤油差しの仕入先は500個で700円です。ステンレス製ナットは科学センターの工作室に転がっているので、それを拾い集めています。(うそです。ちゃんと購入しています。)
◇使い方
・強くボトルを握ると浮沈子は沈み、手をゆるめると再び浮き上がります。
・うまく浮き沈みしないときは、浮沈子を取りだして中の水量を再調整して下さい。
  
ではなぜ、浮き沈みするのでしょうか。

ボトルを横にして見てみます。浮いているときは醤油差しの中にはあまり水は入っていません。

強くボトルを握ると醤油差しの中にたくさん水が入ってきたのが見えます。これにより、浮力を失い沈むのです。

 もう少し詳しく説明しましょう。ボトルを強く握ると、中の水が押されます。しかし水はほとんど縮まずに、醤油差しの中の空気を押します。空気は押されて縮み、その分、水が入り込んできます。これによって

  浮力>重力

が崩れ、

  浮力<重力

となり沈むのです。手をゆるめると再び醤油差しの空気が膨らみ浮力を取り戻し浮きます。

金魚に色を塗っています。森井先生はペンキで色着けをしていました。
3匹のこぶた。はじめから色つきで楽しい演示ができる優れものです。
かわり浮沈子。左からキュウリ、人参、キティちゃん
この先が丸いペットボトルは演示しやすかったですが、現在ほとんど手に入らない貴重品です。
 
それを見越したわけではありませんが、この形の容器を演示用にたくさん保管しています。
こぶたを順番に沈めることが
できます。もちろん一度に全
部沈める「荒技」もあります。
◇演示法
 
手品のように見せるには
・蓋の下に見えない糸があるという。
・それを引っ張るそぶりをする。
・それに合わせて強く握る。
・紐を離すそぶりをする。
・それに合わせて手をゆるめる。

子ども達は無い糸を引っ張ってみたり、磁石を疑ったり、いろいろな「タネ」の予想を言うので面白いですよ!

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海老崎 功 ebisan@mbox.kyoto-inet.or.jp