貝スピーカー 


 京都市青少年科学センターで平成11年に開催された「企画展」のために製作した物です。想像以上の高音質が実現できました。高級スピーカーに用いられるハイテク技術を自然の「貝」を用いて実現したスピーカーで,「自然とハイテクの融合」が実現できた一品です。

 企画展担当の杉原和男指導主事が「こんなもの作れないか?」と言いだし,私が製作した(泣く泣く作らされた?)ものです。はじめは冗談半分に作っていましたが,出来が大変に良かったので,「奇想天外アイデアものづくりコンテスト(東海大学主催)」に出品したところ,入選は逃しましたが,最終選考にノミネートされたと通知がきました。そういう経緯もあって,私にとっては思い出深い「自作音響機器」です。

◆材料

・ヤコウガイ(リュウテンサザエ科)

・FOSTEX FE-107 10cmフルレンジスピーカーユニット

・硬質粘土,樹脂系接着剤 等

(写真左)

企画展ではこのように台も自作して配置し,BGMとして海の音やホラ貝の音を出したりしました。

(写真右)

材料のヤコウガイ。大きいです。手前のサザエと比べて下さい。

◆作品のヒントと科学的原理(左図)

 高級スピーカーとして市販されている「ノーチラス」が直接のヒントです。スピーカー後部の邪魔な反響音を消すのに,長い円錐状の箱を用いれば良いことは物理的に説明できます。(音響暗室) ノーチラスはそれを巻き貝のように設計することにより,音質を劣化させることなく省スペース・小型化に成功した画期的な製品です。

 「貝スピーカー」はその「巻き貝にあたる部分」を本物の巻き貝で作ろうと考え,貝の種類やスピーカーとの組み合わせおよび固定方法に工夫をし,製作した物です。

◆ヤコウガイについて

 リュウテンサザエ科のヤコウガイは,殻が分厚いため重くて丈夫で,表面を処理すると真珠のようにきれいです。そのため古くから螺鈿細工に用いられています。その大きさは上の写真で手前のサザエと比較すれば一目瞭然です。また,本作品を製作する上で最も重要な「巻き部分」の構造ですが,これはヤコウガイが高価でかつ非常に硬いため,同じ科のサザエで切断標本作製をしてみました。

(写真左・・・多那瀬学科学センター工場長によるサザエの見事な切断)  

 自然界でこれほど見事な消音効果を持ったものはないのでは,と思われるような構造です。  

 

戻る

ホーム
開発実験・器具 トピックス プロフィール? 活動記録と予定 出動依頼 HANDMADE リンク集

海老崎 功 ebisan@mbox.kyoto-inet.or.jp