真似の限界?! 


 ここに上げる内容は,すでに大きな実験イベントや教育関係テレビ,論文や著書など,全国規模の活動をやっている方や,これからやりたいと思っている方に,ぜひ見て欲しいものです。

 科学教育活動のはじめは「先人の真似」から入るのは仕方ないことですが,どんどん活躍していくにつれて「真似の限界」というものを感じることになります。それがちゃんと先人に断って行っていたり,演示の度に「○○さんに教えてもらった」と付け加えていれば良いのですが,中にはそうでない方も多数います。もっとひどくなると,ずっと先人の真似をしていると,それが以前から自分のネタであるかのように自分自身で錯覚してしまい,他人のネタを勝手に著書にしてしまった例も世間にはあります。

 このページには「真似」によって実際に起こったさまざまな事例を載せています。それも伝え聞きなどではなく,すべて私が直接体験したことです。一部実名のものもありますが,実際の科学教育の現場でこのようなことがあるということを知っていると,今後の活動にとって必ずプラスになると考えます。このページを読まれた方は,今後,演示されるモノだけでなく,展開方法や見せ方にまでオリジナリティを感じ取って,それを尊重して欲しいと願います。そうすることであなたの将来のオリジナリティあふれるであろう活動も尊重されるはずです。


 たとえばこんなことはありませんか? 

・他人のネタばかりを集めて,それを自分のネタのように振る舞って研修会の講師などをやっている。
・他人のネタや見せ方をそっくり真似して無断でTVや科学の祭典全国大会など大きなイベントで演示している。
・他人の開発実験・器具などを参考文献の記載もなく,その人に無断で製作したり他の人に紹介している。
・他人の開発実験・器具や展開例を無断でメディアや本などに発表・出版してしまった。
・「誰々さんのネタだから取り扱いは注意して」と断ってから教えたのに,それを無視して無断で演示しまくる。(同時に二人に迷惑を掛ける例)
・オリジナルを尊重し,開発の努力や苦労などに思いを巡らせたり気にとめたりする気持ちを持たない。

 具体的に言えば,このページは「開発のオリジナル」「見せ方のオリジナル」「展開方法のオリジナル」「話術のオリジナル」に関わる内容です。「科学の祭典」などの催しで,私が考案して演示したものも含まれます。

 今でこそ全国各地に広まっているものでも,私や私の大規模実験ショーの相棒である村田直之さん(全日本科学漫才研究会初代会長)が始めたことが結構あります。最近,実験ネタだけでなく,この見せ方までをそのままコピーし,他で「自分のネタ」のように振る舞う例が見られ出しました。さらには,私が独自の見せ方でずっとやっていることを「○○さんのやり方の真似だ」などと言う人まで現れました。(実は○○さんの方が真似している) そこで,それらを明らかにするためもあって,ここに順次まとめていくことにしました。私のように「ショー的」な見せ方が多いと,ネタの内容はもちろん,その「見せ方・話術・展開」も重要な要素なのです。授業や小さな実験教室などで真似するのはもちろん構わないのですが,テレビや全国規模の催しなどでこれを「無断」で真似することは避けてほしいのです。 


※以下,名前がない部分はすべて私の考案です。また,私の見せ方等のすべてをここに書き上げることはできませんが,同じような見せ方をする人が現れたものから順に,ちょっとずつでも載せていきたいと思います。

※今後掲載する予定のもの・・・ホロスペックス系,科学マジック系,大気圧実験の面白い見せ方,コピアート関係,ふしぎふりこ(さかさふりこ)関係,エレキギター関係,フーとハーの温度の違い,マスコット除電器を用いた静電気実験,透明パタパタ,アウトコインパズルの4つの取り出し方,・・・等々 「えーっ! それって○○さんのネタ・見せ方だと思っていた!」というものが結構ありますよ。

エアポール
◆歴史

・大型空気ロケット「エアポール」は,それまでにあった「大きくて長いポリ袋に一瞬で空気を入れる実験」を,楽しく,かつ個別・全員実験を可能にし,おみやげにもできるようにしたものです。それまでの実験用大型ポリ袋と比べて安価であり,また,あまりかさばらないため大量に持ち運びができます。私の実験ショー(とくに実験ショーアイディアコンテスト受賞作「爆発ステージ!」)に無くてはならないアイテムで,実験教室のおみやげとしても重宝する画期的な商品でした。風船業者「業屋(なりわいや)」の國見さんから村田直之さんに商品紹介があったのが,私がエアポールを知るきっかけであり,その後の科学の祭典などで爆発的に広まったきっかけです。

 各地の実験教室や実験ショーなどでは私も村田さんも,また,それ以外の方も当然行っていたと思いますが,全国的な大きな科学関係の催しで後述するする「漫才のように掛け合いながら面白く紹介する手法」を取り入れたのはH11.8に私がタレントの越前屋俵太さんと組んで行った大規模実験ショー「俵太のサイエンスパフォーマンス・爆発ステージ!」が初めてだと思います。下に挙げるコミカルかつ科学的な見せ方を考案して紹介しました。このステージは下の展開を見てもわかる通り,俵太さんの発案で伝説のテレビ番組「モーレツ!科学教室」をイメージしながらいろいろ実験を紹介するものでした。その趣旨に沿って,実験部分の一切の進行,台本を私が作ったものです。俵太さんを「ポンチ君」のような役にして,私がいろいろ指示したり,実験台になってもらったりして,俵太さんはそれに応じる形でアドリブを連発されるという感じのステージでした。

・その後,私が単独でH11.11の「科学の祭典京都大会」などで会場の子どもや補助の方を相手にこのコミカルな見せ方を行っていました。私と村田さんがコンビとして初めてこの見せ方を人前でやったのはH12.3の「科学の祭典大阪大会」のステージ「爆発ステージ!」が最初です。その後,科学の祭典全国大会(これは間違いなく最初)をはじめ,各地の実験教室で私や村田さんなどが紹介・配布しまくったために全国に一気に広まりました。私個人ではすでに5000枚以上使用しています(H16.1現在)。H15になるとケニス(株)のカタログにも載る人気商品になりました。


◆見せ方等

・まず袋の一端をわざと結ばずに,俵太さんに膨らませる。(相棒がいないときは会場の子どもにやらせる)

・一生懸命膨らまそうとするが,当然無理。途中で「ごめんごめん,こっちも結ばなければならなかった・・・。」(笑)

・次に結んで,俵太さんに口を付けて膨らまさせるがその方法では無理。(同情)

・「実はこの風船には空気が20リットルも入る。深呼吸でも10回は掛かるので一瞬では無理。」

・海老崎が代わって,口を離して「フーッ!」という息で周囲の空気を巻き込んで一瞬で膨らませる。(拍手)

 ※この部分は米村傳治郎先生などの「大きなビニル袋などを膨らませる演示」を参考にしています。

・そのまま会場に放り込む。(会場はパニック。その後,解説と全員におみやげ。)

・「ハー」と「フー」の息の暖かさの違いなどをエアポールの空気巻き込み現象を使って説明。


◆事例

・エアポールは私のステージ(実験ショーアイディアコンテスト受賞作「爆発ステージ!」)の重要なアイテムであり,またおみやげグッズとして定番のものになっていました。ところが,私がそのステージをイベントのメインとして頼まれた会場で,そのままズバリ「エアポール」というブースが存在した例がありました。出展は地元の理科の先生でしたが,当然,その先生には何の問題も責任もありません。これはそのイベントの企画会社が各出展の内容を十分に理解していないことから起こったことでした。その時はブースに配慮してステージでの実演やお客全員への配布をカットしました。(よくある事例です)

・また,違うステージに出演した際には,私の直前の演示者が,見せ方も,話術もすべて私と同じやり方でこれを演示してしまったことがありました。すぐに「今のは展開だけでなく話し方から見せ方もすべて私と同じですよ」と言うと,その方は「いや,これは村田直之さんのネタでしょう?」と言われました。たしかに私の見せ方を村田さんもやっていますが,彼がそれをやるのは上の歴史にもある通りの理由です。たまたま私でなく村田さんの演示を見たとしても,それを他で真似する以上,「○○のイベントでやっても良いですか?」と一言村田さんに確認してくれれば,「いや,そのイベントはその見せ方の考案者がくるのでそちらで確認してください。」となり,ネタかぶりは未然に防げたはずですね。

ピカチュウひっくり返る
◆歴史

・表裏に同じ絵が描いてあり,ある方向に絵を傾けて回すと同じ方向から裏の絵もでてくるのに,逆に傾けて回すとひっくり返った絵が出てくるものです。ネタ自体は古くからあるもので,歴史も調査したがたどりきれませんでした。ただ,このネタをお話マジック風にして広めたのはNHK教育TVの「つくってあそぼう!」ということでした。そのネタを青森の野呂茂樹先生他が実験教室などでやり始め,神戸の北野貴久先生はその絵を当時子どもに大人気だったピカチュウに変えて行いました。その実践を米谷彰さん(ケニス株式会社)から教えてもらって私も始めました。その当時はつかみのための「演示実験」として行われていました。


◆見せ方等

・私は「種明かし」というものがとにかく嫌いだったので,一辺5cmほどの正方形の厚紙にピカチュウの絵を印刷したものを2枚とスティックのりを子どもたちに渡し,「タネを考えて自分で作ってみよう」と言って,子どもたち全員が時間をかけて自分で考え,作り上げるという手法を始めました(H10以降多数実施)。科学マジックショーや実験教室等でつかみだけではなく,種明かしもせずに,子どもたちに考えさせながら作らせる手法は,その当時かなり広範囲で調査しましたが,他ではやられていませんでした。(既にやられていたらその方に一応断らなければと思いましたので・・・)

・この手法が科学サークル「ONSEN」で広まったH12頃,大阪の井上晴貴先生が私の手法の拝借を願い出て,かつ,「ピカチュウひっくり返るでちゅ〜」というタイトルまで付けてくださいました。その後は,各地でこの手法が広まっていきました。

村田直之さんはさらに「タネを見つけて作っただけではダメだ!練習あるのみ!」と言って,その後,子どもたちに練習させ,見せ方までマスターさせてしまうという,「マジシャン養成講座もどき」まで行いはじめました。私も養成講座もどきを真似させてもらっています。


◆事例

 ・H13頃から,絵2枚とのりを配って作らせるという展開方法を,私が同じ内容を含む科学マジックショーを出展しているイベントでやる人が出てきました。幸い私にはそれ以外にもいくつもお客さんへの「おみやげネタ」があったので事なきを得ましたが,用意していなかったら「ネタかぶり」になるところでした。他の人から教えてもらった内容や展開方法を他でやるときは,その元ネタまでたどるのは難しいかも知れませんが,他に同じイベントでそのネタをやる人がいないか程度は確認する必要があると思います。

5or7
◆歴史

・スペードの5と裏向きのカードの計2枚(実は4枚)のトランプを持ち,素早くひっくり返して裏向きのカードがハートの7であることを確認させます。そしてハートの7を後ろに隠して,前に残ったカードは何かとお客にたずねます。当然,「スペードの5」と答えますが,何とそれは後ろから出てきて,前にある方がハートの7であるというトリックです。村田直之さんが大阪の「遊よしむら」というマジックショップで「しょーもないマジックを見つけてきました」と言って私のところに持ってきたのがこのネタが科学教育の場に登場するきっかけになりました。それを見た私が「いや,これは大変すばらしいネタだ。使おう!(何に・・・)」と感嘆して,タネに科学的根拠を考え(こじつけ?),いきなりH11.7「科学の祭典全国大会」での実験ショー「球のレース」の余興として行ったのが科学的な催しでは全国初です。今でもほぼすべての実験教室や科学マジックショーでつかみなどに使っています。


◆見せ方等

・まずマジックなどとは言わないで「記憶力テスト」などと言って「1枚のカードだけでも覚えて」と言ってスペードの5を覚えさせます。そして「2枚目を覚えて」と言ってハートの7を覚えさせる。そして「人間は次のことを覚えたら前のことを忘れてしまうものだ。さっきのカードは何だった?」と聞くと, 「スペードの5!」・・・(全員はずれ)

・種明かしの時に「思いこみの怖さ」「指さされた方を見てしまう」「小さな数字の黒のカードより,注意色で目に入りやすい数字の大きな赤いカードに目が行ってしまう」など,科学的に物事をみる力の大切さを教え,その後の実験ショーの導入として使うようにしました。村田直之さんは,「指さされた・・・」に関連して,「日本の小学生は世界一だまされやすい。それは学校の黒板などで指さされた方を見るように訓練されているからだ云々・・・」という口上を考えました。

・さらに村田直之さんは,100均のダイソーで「大型トランプ」が発売されてから,それを子どもたちに作らせるようにし,さらに「ピカチュウ」と同様に,マジシャン養成講座もどきもはじめました。

・さらに私と村田直之さんは自分でもそれを大量に作り,全国各地でばらまきました。このネタが日本中を席巻するのに5年と掛かりませんでした(笑)。村田さんなどは韓国でもばらまいたので数年後には日本に逆輸入?!・・・されるはずです。


◆事例

・このネタはあちこちで紹介したので,私たちが始めたことを知らない人も多く,私の職場の同僚が偶然参加していた,平成14年度の「某・全国理科教育センター協議会」において,その講演会講師に招かれたある大物の科学教育者が,ネタから見せ方・口上まで私と全く同じ見せ方をして紹介ことが発覚しました。 「ものの見方の重要さ」などを教えるという「科学的こじつけ(笑)」まで同じだったので同僚は笑った,ということでしたが・・・私はその方が「大物」であるが故に複雑な心境でした。ちなみにその人までどのようなルートで知れ渡ったかは,その後,わかりました。私とも村田さんとも友好関係の深い団体の繋がりなのでなるほどと思いました。(逆についにそこまで知れ渡ったかと嬉しくもあり・・・)

・また,科学の祭典全国大会などのステージでも,これをずっと私たちのステージのつかみとしていましたが,ある年の全国大会の後半日程で,「3次元思考」として村田さんがこれを作らせるブースを出展をすることになりました。私は後半日程でステージ(補助に村田さんを予定)だったので,そこで例年通りつかみとして紹介して,ついでにブースも紹介するつもりでした。ところが何と同大会の前半日程で,あるステージ演者が,私が教えたこのネタを,私に教えてもらったと断ることもなしに,また,後半日程でそのブースがあるのを知らずに自分のステージのつかみで何度も演じただけでなく,懇親会その他,あちこちでやり倒してしまったそうです。私は東京に着いた直後に懇親会に出席したあるメンバーから「あんたのつかみ,○○さんがやっていたよ」と聞いて,引きつりました(^^;。 村田さんはブースネタとしてそれを1日500人分作らせるように用意していたのですが,後半日程で朝一番に来た子どもの「あー,それ知っている!昨日やっていた。」というのを聞いて,すべて物品を引きあげ,別のネタ(上述のピカチュウひっくり返る)だけに変えてしまいました。○○さんにはその場で「ネタかぶりが当然ある同じ会場で演じるのはやめて欲しい」とお願いしました。

・こういうこともあり,大きな全国規模のイベントに出展される方は,たとえその人にとってはそれが「単なる小ネタ」程度であっても「安易に真似することで弊害もある」ことを感じて欲しいと願っています。

シークレットシール関連実験
◆歴史

・約30℃で黒→透明に変わる感熱シート「シークレットシール」を用いた実験です。このシート,もともとは日本の企業が感熱インクをブレンドして開発したものらしいですが,国内ではあまり使用法を見つけられずに,結局,アメリカのカードマジシャンによってマジックのタネとして広まったらしいです。それを国内マジック某団体から仕入れた村田直之さんが,市販前に「理科教材としての使い道はないか?」と私に聞いてきたのが最初です。なお,当初からそれまでの液晶シートなどに代わり,小学校での「熱の伝わり方」に使えることはわかっていたようです。しかも,それまでの熱湯ではなく,ぬるま湯でOKという優れものです。私はいくつかマジックのタネにこれを使うものを考案しました。TVなどで実演もしましたが,今のところ種明かしはしていません。

・シークレットシールの発売に合わせて,K社でこのシートの新しい使い方を考える実験コンテストが開催されました。私は紙の上に細さを変えたアルミテープを数本貼り,さらにその上ほぼ全面にシークレットシールを貼り付ける装置を考えました。そのアルミテープに乾電池を用いて電流を通すと,ジュール熱によって発熱しますが,線の細いものほど早くシールが透明になることで抵抗の違いを簡単に考える手法を考案し応募しました。(結果,最優秀賞受賞!)

・さらにそれを「科学の祭典全国大会・実験交流会」で全国の先生に披露し,詳しい実験方法が記載されているレジュメとシークレットシール100セット(袋入り)を参加者に無料で配りました。(奪い合い) そのときのとりまとめはガリレオ工房の滝川洋二先生であり,司会は原口先生はじめ,ガリレオ工房のバリバリの若手が務めていました。ガリレオ工房会員も多数参加していました。


◆見せ方等

シークレットシール,アルミテープ,電池のセットで,低温でかつ安全・迅速に抵抗と発熱の関係を調べる実験のオリジナルはすべて私にあります。アルミテープの良いところは実験者が長さ,太さなどを変えて自由にカットでき,試行錯誤しながらいろいろ実験できるところにあります。その部分は当然,研究の中で言及しています。下に挙げるFさんが「私とは違うものだ」などと言う部分(単にアルミテープのカットを変えただけ)もその中に当然含まれます。研究成果はすべてではないですが,K社の公式HPにも簡略化されて掲載されています。しかし,「ガリレオ通信」の関係で,これをF先生のネタだと思ってる人もいるようです。(この件に関係した方々はそれをことある毎に訂正して欲しいです。m(_ _)m)


◆事例

・K社の実験コンテストの審査中に大変なことが起こってしまいました。審査段階で,私の応募ネタを同社のYさんが「コンテスト応募ネタ」と知らずに無断で外部に持ち出し,K社東京支社のHさん(すでに退社)に教えてしまったらしいです。

・Hさんはガリレオ工房の会員でもあり,私の審査段階のその手法を,私の名前など一切挙げずに(知らずに)「ガリレオ工房例会」で発表してしまいました。(許されることではないですね。) また,本社ですでにコンテストがあって,その募集期間も終わっているのに「このシートを有効活用する方法はないですか?」などと言ってしまったものだから,ガリレオ工房のF先生(古田先生ではありません。念のため)が「ガリレオ工房の『実験バトル』に取り上げたら良いのでは」とアドバイスしてしまったそうです。

・しかし,そもそもガリレオ工房の関係者が取り仕切る「実験交流会」で,私が全く同じ内容を発表した直後なのに,ガリレオ工房の誰も気づかなかったのはどういうことでしょう? このことは後になって滝川先生から丁寧な謝罪がありました。交流会当日の忙しさから滝川先生や司会の人などが,しっかり聞かなかったのはよくわかります。でも,出席していた他の会員の方々はどうだったのでしょうか? 交流会はそういう勉強の場ではないのでしょうか? ちなみにF先生もその実験交流会の出席者でしたが,遅刻して私の発表は聞かなかったということでした。

・次に,その「実験バトル」の結果が「ガリレオ通信」に発表されました。Hさんのネタは当然私と全く同じです。もちろん私の名前などありません。また,F先生は私の手法をわずかに変えただけで,私のアイデアが無かったら(Hさんから聞かなかったら)思いつかなかったであろう内容を「F先生のオリジナル」のようにしか取れない文章にして発表してしまいました。

・私はガリレオ工房の購読会員であったために,すぐにその文章を見て,滝川先生および古田先生,F先生に抗議しました。(滝川先生,古田先生とはずっと懇意にしていただいてたし,F先生とは以前に名刺交換程度はしていた間柄) また,事情がわからなかったのでK社にも事情説明を求めました。(その結果以上のようなことがわかったのです。)

・滝川先生はすぐに謝罪してくださり,次号のガリレオ通信でそれに関する謝罪記事を入れて下さいました。しかし,Hさんは(別の私事で)退社する(した?)ということで,結局,私には一言もありませんでした。F先生はメールでのやりとりでは謝罪してくれたものの,次号のガリレオ通信では滝川先生の謝罪記事があるのにも関わらず,「元ネタとは違うものである」という表現の文章をさらに載せました。どう考えても今回のガリレオ工房の「実験バトル」は,私の先行研究なしではあり得ないのに,その文章はないやろ! 事の重大さがわかっているのかな,とも思いましたが,もうこの件は終わりにしようと思いました。(何と言っても滝川先生や古田先生のことは最大限に尊敬しているので。)

・K社からは営業を通して非公式に謝罪がありました。ネタを持ち出したYさんは,審査には関わりがなく,たまたま横から見ていて良いネタだと思って他で紹介したということでした。

爆鳴気爆発
◆歴史

・爆鳴気をチューブに詰めて爆発させる実験は古くからあり,歴史はたどりきれませんでした。(確実なもので約25年前。さらにその当時の方が「(さらに)25年ほど前に見た」と仰っていました。) 最近では東京理科大学の武田一美先生が広められた「爆鳴気をビニルチューブに詰めて手に持たせて爆発させる実験」は,滝川洋二先生率いるガリレオ工房の実践で一気に全国に広まりました。私はそれを参考に,より安全・確実に実験演示する手法,器具などを考案しました。また,爆鳴気をビニル袋やふつうの丸い風船に取って爆発させることの危険性を示し,代わりに細長風船に取ることで比率や分量が把握しやすく,爆音の音量も加減でき,また,導火線に火の這うスピードがコントロールできるフラッシュ糸を使う手法も開発しました。以下の見せ方はH11.3より行っています。


◆見せ方等(見せ方はすべて私と村田直之さんのコンビオリジナル)

・チューブを持たす子どもたちを選ぶとき,高学年の子からまず選ぶ。その理由は「小さい子はまだあまり生きていないから。。。6年生はもう充分生きただろう・・・」などとちょっと恐怖心と緊張感をあおる。

・そして特殊点火装置をつなぎ,いきなりカウントダウン。「3,2,1,0! ・・・で点火します。」と点火せずコケさせる。

・「まだ点火しないよ。最後のご挨拶ができていないから。」「ただいま○年○月○日○時○分。それではお父さんお母さんに最後のご挨拶をしましょう。お父さん,お母さん,これまで育ててもらってどうもありがとう!」(会場笑。子どもひきつる・・・)

・爆鳴気風船爆発では,それまでの小さな爆発からいきなり大きな爆発になるが,「みんな楽しそうな実験と思うだろう。ただ一つだけ問題がある。・・・だれがこの風船に火を付けるか・・・」「これは直接着火させたら間違いなく鼓膜がやられる。・・・どうかせんといかん。」「どうかせんといかん・・・」「・・・導火線!」(笑)

・「点火前に断っておきます。私はこれまで2回,この実験で大事故を起こしたことがある。」「一つは東京でやったとき,不幸なことに大音響で驚いて,抱いていた赤ちゃんを落とされた方がいた・・・とても可哀想でした・・・ですから,もし,この会場で赤ちゃんを抱いている人がいたらはじめから下に落としておいてください。」(笑)

・「それは冗談。赤ちゃんはしっかり抱いていてくださいね。でも,もう一つは本当の話。大阪でやったとき,実験は大成功だったけど,終了後に楽屋に柄の悪いおっさんが来て『おい!お前らか。さっき大きな音出しやがったのは!この200万の壺,落として割れたやんけ!』と怒鳴り込まれた。お願いですからもしこの会場に高価な壺をお持ちのお客さんがいましたら,今の内に横に置いておいてください・・・。」「・・・誰も持ってないって・・・」(笑)


◆事例

・私がこれを他で紹介したりするときには,常に上の「歴史」部分に注意し,このような見せ方が私のオリジナルだと勘違いされないように留意しています。確かにビニルチューブの素材から気体採取器具,点火装置などのすべてに,以前のものとは違う安全度の高いものを工夫・改良し使っているのですが,チューブを手に持って点火! というスタイルは真似しているからです。私がやっているネタも「先人あってこそ」のものも多いです。

アルコール爆発
◆歴史

・空き缶にアルコールを入れ,紙コップでふたをし,点火・爆発させ紙コップを飛ばすというものです。同様なネタ自体は手を変え品を変え古くからあり,全くの起源はたどることができませんでしたが,いくつかの実験本や解説書で見ることができます。それらの中にはアルコールの量が多すぎるものや,手法として危険なものがあり,さらに実際に事故事例があることが調査の結果わかりましたので,私は封入する最適なアルコール量を研究し,液体を用いず噴霧するなどの安全な手法を完成させ,多くの場所で紹介・演示してきました。(物理教育学会誌発表。) 以下のコミカルな見せ方は私がH11.5,香川県において実験ショー「爆発ステージ!」において行ったのが最初です。 「爆発ステージ!」は村田直之さんとのコンビと思ってる方も多いですが,それは開発から約半年後のことです。このステージは私一人のネタで,補助が一人だけ必要なものです。その補助の中でも,特に大規模大人数の時に必ず力を貸してもらったのが村田さんで,その後,補助から昇格(笑格?),いえいえ三顧の礼でお願いして,すべての大規模実験ショーの相棒・共同演示者なってもらったのです。


◆見せ方等

・アルコールの封入を見られないようにして,子どもたちに「空き缶の中に何を入れたでしょう?」と聞く。

・「空気」(正解) 「ただの空気ではない。○○(会場)の空気だ!」(笑)

 「空気は火であぶるとどうなる」 「膨らむ」(正解)

・「では缶を持ってチャッカマンの火であぶるとどうなる?」

・「空気が膨張して紙コップが飛ぶ!」(不正解) 「まず手をやけどする」(笑)

・「だから机の上に置いてからやる。」 「ではこの火力で何秒で紙コップが飛ぶか?」

・アルコールが仕込んであるのですぐに爆発して飛ぶ。(ビックリ)

・「すごい発見! ○○の空気はすぐに温まる! 夏休みの自由研究にまとめよう!」(ウソ・笑)


◆事例

・「コップが飛ぶ」という結果だけを見て,私の演示を「○○先生のパクリじゃないか」と言っている人がいることを耳にしました。(ちなみにその○○さんもその地方でそのネタをやっているだけの方で,このネタのオリジナル調査では名前すら出てこなかった方でした。)  ちょっと中身や展開を見ればそれがパクリではなく元ネタの「改良」であることは明らかですが,このように根拠のない批判は大変失礼だと思います。 私もその点は重々注意しており,その意味で,このページに上げた内容は,すべて私がきちんと問題を整理した上で,一方的な批判と取られないように考慮してまとめ上げたものです。

 以上の文章には「人づて」などのいい加減なものはありません。オリジナリティなどにご意見等ある方はご連絡ください。

 

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海老崎 功 ebisan@mbox.kyoto-inet.or.jp