ふしぎふりこ ぱんだくんT、U 


(H10ウチダ全国教職員発明考案コンクール審査員特別賞受賞作品)

 子どもが指定したキョロちゃんだけを動かすことができる「キョロちゃん」は、実験教室で大人気です。(詳しくは「キョロちゃん」のページをご覧下さい。) キョロちゃんを演示すると、子ども達の「欲しい!欲しい!」の大合唱です。でも、キョロちゃんはあまり数多く作ることはできません。そこで簡単工作用に考えたのが「ふしぎふりこ ぱんだくん」です。

ブルーバックス「ふしぎ体感,科学実験」掲載,「ガリレオ通信」掲載,「京都市青少年科学センター報告」掲載,「こども未来 2000年6月号」掲載

ふしぎふりこ ぱんだくんT
板の長さが異なるタイプ
ふしぎふりこ ぱんだくんU
おもりの重さが異なるタイプ
ぱんだくんの裏側
おもりが見えます
 左の写真のような装置を、実験教室で子ども達に作ってもらっています。ちょっと豪華な透明アクリル仕様になっていますが、別に木の板でも紙の箱でも構いません。実験までの準備は割と簡単で、

 ・アクリル切り

 ・エッジ焼き加工

 ・塩ビ板切り

 ・おもり切り

 ・シール作り

 ・両面テープ貼り

 くらいです。

【材料】

・薄いプラスチックか塩ビの板(長さの違う物2つ)・・・板の長さは、材質や硬さにもよりますが、幅2〜3cmで、長さは10cmと15cmくらいでまず試してみましょう。

・台・・・上の板2枚が貼り付けられて、机の上で動かせる物なら何でも良いです。

・両面テープ

・おもり2つ・・・板の材質にもよりますが重すぎて板が曲がったりしない物を選びます。1円玉のように薄くて軽く、貼りやすい物が最適ですが、お金は使わないようにしましょう。

・シール2枚(図柄の違う物)・・・板を区別するために貼りますが、シールがないときは絵を描いた紙を貼っても良いでしょう。私はこれにオリジナルの「色違いのパンダシール」を使っていますので「ふしぎふりこぱんだくん」と命名しています。

【道具】

・はさみ

【作り方】

台に板を両面テープで貼ります。

シールを貼ります。板の端でケガをしないようにはさみで丸めておきます。

       

シールの裏におもりを両面テープで貼ります。最適なおもりの重さは板の長さや柔らかさなどによって違ってきますので、いろいろ試してみて下さい。

ぱんだくんTではどちらも同じ重さにしておきます。

台を前後に動かすことによって板を動かします。

ぱんだくんUでは板の長さは同じで、片方のおもりを3〜4倍の重さにして下さい。

【実験】・・・使い方

 空中で持っても、机の上に置いても使えます。どちらのシールが好きかを聞いて、そちらだけを動かすことができます。

 長い板を動かすときはゆっくりめの、短い板を動かすときは速めの振動を与えます。振動は台を前後に動かすことで与えます。

 小学校低学年でもちょっと練習すれば使いこなせます。

【うまく動かないとき】

 板の材質(硬さ)や長さ、おもりの重さなどの組み合わせをいろいろ変えて何度も試してみましょう。硬い板なら長めに、おもりを重くします。反対に薄い板なら短めに、おもりを軽くするとうまくいきます。

【どうして動くの?】

 この装置は「共振する板」です。わかりにくいので「ふしぎふりこ」と名付けましたが「逆さふりこ」と呼ぶ人もいるようです。ふりこは長さにより「振れ方」が決まっています。共振板も同じで、長さが変わると振れ方が違ってきます。そこで、その板の振れ方に合わせた振動を与えてやる(共振させると言います)と片方だけが動くのです。

【発展実験 ふしぎふりこU】

 先ほどは板の長さを変えて実験しましたが、今度は板の長さは同じで、おもりの重さを片方だけ3〜4倍にしてみましょう。板の長さは短い方に合わせます。これも片方の板だけ思い通りに動かすことができます。

 以上の実験から、「板の長さを変える」「おもりの重さを変える」ことにより、振れ方が違うことがわかります。

 この考えを発展させてみましょう。例えば地震で地面が大きく揺れたとき、大きく揺れるビルとほとんど揺れないビルがあります。揺れにくいビルを造るのに、先ほど実験したことが活きてくるようです。地面の揺れ方を調べて、それと共振しにくいビルを造れば良いわけです。そのためにはビルの構造を考えたり(板の硬さ)、高さを考えたり(板の長さ)、揺れやすい高さのビルでも屋上に貯水タンクを置いたり(おもりを重くする)などの工夫が考えられます。 「ふしぎふりこ ぱんだくん」は、とても簡単な装置ですが、重要な「物理の原理」が隠れていますね。ぜひいろいろ試してみて下さい。

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海老崎 功 ebisan@mbox.kyoto-inet.or.jp