超簡単真空ポンプでペットボトル&空き缶つぶし 


 100円ショップで売られている空気入れをあっという間に改造して超簡単・簡易真空ポンプにしてしまいます。それでペットボトルつぶしや空き缶つぶしなどの大気圧実験をします。1台3役以上にもなる真空ポンプの製法と空き缶つぶしのジョイント部分のアイデアは我ながら優れていると自画自賛していますが,いかがでしょうか? とにかく簡単にできますので大気圧や真空などの実験に利用してみて下さい。今後,これに同じく100円ショップのアクリル容器などを用いた簡易真空槽を組み合わせて,いろいろな実験を提案していく予定です。なお,この手法はh17夏季に数回実験教室などで実施したほか,内容の一部は物理教育学会誌に発表予定(受理済み)です。 

◇真空ポンプの作り方

原理はひじょうに簡単です。もともと「空気入れ」ですから先端からは空気が出ます。その空気(正しくは出る空気の半分)を本体後ろから一方通行で取り入れているので,そこにパイプをつければあっという間に簡易真空ポンプになるわけです。弁も何も必要ありません。(弁はすでに本体内にあります。) これまでの「プラスチックシリンジ+弁2個利用」の簡易真空ポンプより,製作も原理説明も真空引きの操作も格段に簡単だと思います。

(写真左)主な真空ポンプの材料はこれだけです。100円ショップで購入した,押しても引いても空気が入る「バルーンアート用の両方向空気入れ」,「11号ゴム栓」,「実験用ミニボンベなどに付属の外径5mmのポリカーボネートパイプ」です。

(写真右)ゴム栓にはドリルで5mmの穴を開けています。これがこの空気入れの後ろにぴったり嵌るのです。空気入れの後部形状により,この部分のつくりを変えて,とにかく気密してパイプをつければあっという間に真空ポンプに早変わりです。

(写真左)このように嵌め込めば完了です。この空気入れの場合,接着剤など全く不要で完成します。

(写真右)ペットボトルつぶしなどの実験をするためには他に「三ツ矢サイダー500mlペットボトル」,「真空ゴムホース」があればOKです。真空ゴムホースの代わりに気密できればゴム管でも良いです。

◇ジョイント部分の製作と実験

右上写真(下段・中央部分)のように,三ツ矢サイダーの500mlペットボトルの最も直径が大きい部分を,はさみできれいに切り取ります。これが,空き缶つぶしのジョイントになります。ペットボトルのフタは中央に4.8mmの穴をドリルで開け,ポリカーボネートパイプを押し込みながら通すと,接着剤なしで気密ができます。ドリル刃が5mmしかないときは,接着剤を使用した方が良いでしょう。真空ポンプとこのフタのパイプを接続するのには真空ゴムホースがあれば便利ですが,なければやや肉厚のゴム管を利用するか,あるいは直接,真空ポンプ後部に取り付けた11号ゴム栓の穴に差し込めばOKです。

◆注意 ペットボトルは必ず三ツ矢サイダーを利用する。例えば形状がそっくりなCCレモンでは,ほんの1mm程度の外周の差で,差し込むだけでは気密ができない。私が試した数種類のペットボトルでは三ツ矢サイダーのみが,多くのアルミニウム製空き缶に対し被せるだけで気密ができた。CCレモンなどでもセロハンテープなどを用いると気密できるが,つぶれた後にテープを取り外すのがやや危険であり,またかなり面倒くさい。

(写真左)真空ゴムホースを用いて,ペットボトルのフタを取り付けました。

(写真右)そのフタに1リットルのペットボトルを取り付けます。

(写真左)ポンプを数回押し引きするとペットボトルはペシャンコになります。

(写真右)つぶれたペットボトルを1回で捨ててはもったいない。写真のようにゴム栓をつなぎ変えて,もとの空気入れに戻してやります。そして空気を入れるとつぶれたペットボトルが復活します。

(写真左)復活したペットボトル。これで数回は実験可能です。

(写真右)次に空き缶(アルミニウム缶:コーラやビールなどほとんどのものがOK)の口に,三ツ矢サイダーペットボトル利用のジョイントを押し込みます。接着剤やテープなどが無くても気密ができる優れものです。

(写真左)このようにセッティングします。

(写真右)あっという間に空き缶はつぶれます。

そして,究極の簡単真空ポンプ(1台3役)がこれ! 

100円ポンプの後部に,「穴を開けたペットボトルのふた」をホットボンドで貼り付けただけの簡単工作です。

使い方はもうおわかりですね。

◆安全上の注意

・アルミ缶を完璧につぶしすぎると,鋭利な部分ができることがあります。空き缶を取り外す時はケガに注意してください。

・ペットボトル(特に非炭酸系)を何度もつぶすと,壊れて破片が飛ぶことがあるかも知れません。ちなみに私はこれまで同じボトルで20回ほど実験をくり返したのが最高の回数ですが,それでも壊れることはありませんでした。しかし,安全に絶対はありません。繰り返しの実験は数度にとどめ,たとえ1回でもごく間近で人に見せる必要がある時は保護メガネなどを掛けさせましょう。

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海老崎 功 ebisan@mbox.kyoto-inet.or.jp