回転ピストン型気体採取器と爆鳴気実験セット 


(H11年度 第48回全国教職員発明展入選作品)

 中学・高校での「爆鳴気の爆発実験」を安全,確実,ダイナミックに,しかも最小限の酸素ガス,水素ガスの使用で行えるようにした実験セットです。過去に見られる実験のように危険なガラス器具や大きな袋に気体を採取したりせずに済むので,爆鳴気がごく少量で,高い教育効果をあげることができます

 チューブへの差し込み口をギザギザにして摩擦を小さくし,着脱を容易にするなど,ホントに細かな部分まで手を加えるなど,私の開発教具のうち,一番の出来と自負する物です。(が,一部の方以外からの評価は低い・・・)

◆オリジナルおよび工夫点など

@市販のプラスチック注射器のシリンジとピストンに改造を施すことにより,1本の注射器で2種類の気体を同時に安全,確実,簡単に採取できるようにしました。

A使い捨てライターの圧電素子を用いた「簡単点火プラグ」を作製しました。

B採取する気体の量やチューブの径,種類などは長期間の試行錯誤の結果決定しました。  

◆装置の特徴

@ピストンに制御棒を,シリンジにストッパーを取り付けただけの簡単設計で,規定量の気体が簡単,確実に採取できます。(ボンベの気体の無駄遣いがなくなります。)

Aさらにピストンを90度回転させることで,1本の注射器で2種類の気体を連続してそれぞれの規定量採取できるように工夫しました。

Bその規定量を「1種類目の気体(酸素)10ml,2種類目の気体(水素)20ml」とすることにより,爆鳴気を確実な混合比で30ml採取できるようにしました。

C爆鳴チューブにはビニール管よりも丈夫な外径φ10mm内径φ6mmの透明トアロンチューブを用いました。これにより爆発音は大きく迫力はありますが,安全に爆発の威力を体験でき,水(水滴)の発生も明瞭に視認できます。チューブはヨーヨー風船用のミニ空気入れですぐに乾燥できますので連続実験が可能です。

D開発後10カ所以上の実験教室や科学の祭典,教員研修会等で紹介しましたが,どれも安全・確実に実験することができました。

回転ピストン型気体採取器の部品。部品の加工がほんの少し必要。

ストッパー。丸いプラスチックを切る。硬くて割れにくい素材なら何でも良い。

ピストンの一部を切る。この部分で回転。(実はもう1カ所切るともっと使いやすい。)

ストッパーに引っ掛かる2種類の制御棒。アクリル棒を削ったが素材は何でも良い。

制御棒をピストンに装着したところ。両面テープで貼る。

注射器先端部の加工。2段階で径を変える。ボンベ用とチューブ用の口。

気体の量を示すシール。酸素10mlと水素20mlで十分実験できる。

使用するボンベ。ごく一般的な市販品。確か4.5リットル入り。

気体注入。押しつけて噴射する。ストッパーで止まると口が圧で外れる。

まず「1」に合わせて酸素を採取。 ピストンは引かなくても気体の圧で動く。

次にピストンを回して「2」に合わせる。切り込みの部分で回る。

そして水素を採取。要領は酸素の時と同じ。これで爆鳴気混合が完成。

トアロンチューブに移す。注入時,先端の栓は外しておく。

移し終わったら先端をふさぐ。長さ50cmのチューブでは30ml必要十分。

先端はゴム紐のついたウレタン栓。爆発実験のしすぎで破損したら交換。

ライターの圧電素子をフィルムケースでカバー。先端のギザギザは摩擦を小さくしてチューブの着脱を容易にする工夫。

点火している様子。すごい音がします。体育館程度でも十分響く。教室だとうるさいくらいの音。発砲音と間違われないように。 

爆発後,チューブ内壁 に水滴がつく。水素の燃焼で水が出来るという実験が安全に,また簡単・確実にできる。

 

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海老崎 功 ebisan@mbox.kyoto-inet.or.jp