「三月書房販売情報(仮題) 抄録版倉庫01」   ▲三月書房homeへ

 現物は、ワープロ打ちの縮小コピーで、B4判の紙を半分にたたんだ、B5判4頁のものでした。
 ワープロ打ち以外の記事や写真や図表を、のりとはさみで張り合わせて版下を製作していたため、
 今回はコンバートできなくて省略した記事もあります。

●目次 

第0巻(1992年〜1993年) 01 02 03 04 05 06 07 08 09

 

三月書房販売情報(仮題)001号[第0巻第1号]                           

1992/12/31 [00-01-01]  SISIDO,Tatuo  

  
[三月書房 販売情報 (仮題) 準備0号] より                                

 [はじめに]

 当店が従来売上データを管理していたのは、吉本氏の本と常備出版社のものだけでしたが、来
 年からはもう少し調査の範囲を広げてみることにしました。当分の間は、不定期的に出してみ
 て、ある程度めどが立てばなるべく定期的に出したいと思います。配布方法と範囲は未定です。

 [吉本隆明の今年の新刊本]

 今年は下の5点が出版されたが、この点数はほぼ平年並である。《吉本》本は日付入りでデー
 タを残しているので、1日ごとでも、1週あるいは1月ごとでも総累計でも作成できる。
 
 (1992/12/31 現在)

初入荷日 書名 定価  出版社 売上冊数 初回入荷数
92/01/17 @良寛 2000円 春秋社 56冊 40冊
92/01/17 A甦えるヴェイユ 1400円 JICC出版局 54冊 40冊
92/02/25 B見えだした社会の限界 1380円 コスモの本 84冊 50冊
92/03/13 C 大情況論 2000円 弓立社 67冊 50冊
92/08/25 D新・書物の解体学 2500円 メタローグ 46冊 50冊

 @ACはおなじみの出版社だったから気楽だったが、鈴木書店の担当者氏が苦労なさったかどうか
 は別です。念の為。BDの出版社は初めてのところだったので、著者に担当編集者を教えてもら
 い、その方に「売上データ」を同封してお願いした結果、いずれも初回配本を満数出荷してもら
 うことができた。「売上データ」はこういう時になかなか説得力があるようです。(著者の紹介が絶
 大な威力を発揮したであろうことはべつにして)。
《吉本》本としては、ほかに何点か文庫がでました。
 データを残していないので実数は不明ですが、講談社文芸文庫のがどれもよく売れたほか、
 廣済堂文庫の「吉本隆明歳時記」は、報奨券を数えると41冊とよく売れていました。
 (※)来年の最初の本は、「時代の病理」(1700円)春秋社 。1月刊行予定のもので45冊発注した。

 [三木成夫の本 ]

 三木成夫の現在手に入る本は次の通りだが、何と言ってもEがよく売れた。データがないので推定
 だが、80冊前後の売上。続いて出たFはかなり専門的で定価も高いが、20冊近く売れている
 ようだ。三木成夫の本が売れ出したのは今年の春ぐらいからで、吉本隆明氏が講演で触れたりし
 たのがきっかけだった。講演を聞いた人などから問い合わせが相次いだため、その時点で手に入っ
 た@からDを揃えたのが初夏だった。売れ行きは、たぶんBが100冊近く、Cが50冊、Aが
 30冊、Dが10冊、@が数冊程度でしょう。
 (1992/12/31 現在)

@幻獣(イメージ)の原型と変容:幻獣の進化論 (共著) 1986年刊 1854円 北宋社
ADOLMEN 2号(講演と対談を掲載) 1990年刊 1860円 言叢社
B胎児の世界:人類の生命記憶 1983年刊 580円 中公新書
C内蔵のはたらきと子どものこころ 1982年刊 1009円 築地書館
D生命形態の自然誌 第1巻:「解剖学論集」 1990年刊 6800円 うぶすな書院
E海・呼吸・古代形象:生命記憶と回想 '92/08刊 2500円 うぶすな書院
F生命形態学序説 '92/10刊 3800円 うぶすな書院

 三木氏の本を読むと、そこに引用されている本が次に読みたくなるのが自然である。 そこでと
 りあえず横に並べたのが、L.クラーゲス、村木弘昌、野口三千三などの本でこれらもぼちぼ
 ち動き始めている。とはいうものの野口氏の本「野口体操〜」などは、もともとロングセラー
 として在庫していたもので配置換えである。近ごろは、 吉本ファン以外の古武道や「気」関係
 の読者も読み始めているので、当分売れ続けてくれるだろう。今後も、三木氏の新刊はまだ何
 冊か出るはずだが、 本人がすでにお亡くなりになってしまっているのが、読者としても本屋と
 しても本当に惜しまれる。


 
[最近よく売れた本] 11月〜12月頃 ※順不同 文庫を除く

 「職人歌合」 網野善彦 1600円 岩波書店
 「記憶の肖像」 中井久夫 2575円 みすず書房
 「霧くらげ何処へ」 堀本吟 2500円 深夜叢書社
 「タンゲくん」 片山健 1150円 福音館
 「思想の森 1」: 吉本隆明講演掲載 1500円 森集会(非流通本)
 「世紀末『時代』を読む」滝村隆一/芹沢俊介 2200円 春秋社
 「逆引広辞苑」 3500円 岩波書店
  「リテレール 3」 1500円 メタローグ

 データがないのですべて推定だが、 これらの本が10冊以上売れたことは確かである。他にも10
 冊以上売れた本があったかもしれないが、急には思い出せない。文庫では、岩波の「被差別部
 落一千年史」と講談社文芸文庫の「青山二郎」が抜群の出足で、どちらも20冊近く売れている。
 来年からはデータを整理するので、もう少しはっきりした数字が出せるでしょうが、単純な売
 上部数による「トップ10」なんかを調べる気はしない。10冊売れても不満な本もあれば、たと
 え1冊でもよく売れたと思える本もあるから。いずれ偏差値か何かを研究して、予想以上の売
 れ行きを示した本を探すようにしたい。

 [来年期待の出版社はワイズ出版]

 あまり賢そうな社名とは思えないが、2年位前からあったらしい。秋口のちらし広告で気がつ
 き、年末までに福間健二「きみたちは美人だ」、中井英夫「定本黒衣の短歌史」、石井隆「名美
 RETURNS」といいものが続いて出たのを仕入れることができた。来春の予定には「つげ
 義春全作品を語る」という超目玉商品がある。
 ところで、この「ワイズ出版」のISBN出版者コードが[948735]という6桁ものであるの
 はちょっとひどいのではないか。こんな数字なら2桁しか余裕がないので、100冊分しか表示
 できない。100冊出したらその後はどうなるのだろう。「コスモの本」の[906380]も同様だ
 が、気をつけていると、「楡出版」「イーストプレス」「青玄社」など6桁出版社はけっこう
 多いみたいである。そこへいくとあの「メタローグ」が[8398]というえらく立派なコードを
 貰えたのが不思議な気がする。スーパー・エディター氏の説明を読んでみたい。それにしても、
 出版社コードは5桁あれば10万社まで間に合うのに、なぜ6桁の出版社が続出するのだろうか。

 [冨山房百科文庫の売上トップ13]

  ※ 百科文庫 既刊41点 全点常備中 総枚数 162枚(期間2年弱?) 

01

自然と象徴 1350円 36冊
02 気違い部落周游紀行 850円 17冊
03 緑雨警語 980円 9冊
04 夷齋筆談 670円 8冊
05 近代の超克 880円 6冊
05 青春の囘想 494円 6冊
07 おらんだ正月 880円 5冊
08 退屈読本 上 880円 5冊
09 詩学入門 979円 5冊
10 ルネサンス 850円 5冊
11 完本茶話 上 880円 4冊
12 美学芸術論集 906円 4冊
13 ロマン派文学論 773円 4冊

 百科文庫のリストを載せてみたのに深い意味はない。 常備だから売上カードが溜めてあった
 ので、ワープロで表を作る練習をしてみただけである。1位はゲーテの自然科学論集で、 人智
 学関係書としてよく読まれている。そう言えば、三木茂夫の本にもゲーテの自然科学論は出てく
 る。岩波文庫の「色彩論」をまた復刊してほしい。2位はきだみのるだが、5年前なら5点ほど
 あった彼の本も、 現在手に入るのはこれだけになってしまった。 どこかの文庫がまとめて5冊
 ほど出してくれるといいのだが。百科文庫はちかごろ年に1〜2冊しかでないけれど、せめて
 6冊づつ位は出してほしい。


 
[おまけ]

  ●うちの「週刊少年ジャンプ」の売上は毎号4冊程度で、これは発行部数のおよそ百万分の
   1である。それに比べて「ガロ」は15冊程度でこれは発行部数のおよそ千分の1である。
  ●あの梅田の紀伊国屋書店がテナント料に耐えかねて縮小するとの噂あり。
  ●三月書房の1992年の売上は、概算ですが意外にも約4%アップでした。何となく不景気な
   気分でしたが、わずかでも上向いてるのは気分のいいものです。

 [《吉本》本最初の2週間売上累計表] ※省略
 [《吉本》本最初の100日売上累計表] ※省略


 ※註釈及び言い訳(2002/03/09記)
  
  ○JICC出版局とは現・宝島社の旧名。懐かしい。
  ○売上偏差値の研究とか立派な予定を述べてましたが、まったく研究はすすんでいなくて、むしろ、
   「売れてるような気がする」というようないいかげんなレベルに後退しています。
  ○ワイズ出版のISBN発行者コードが6桁だとさわいでますが、のちに7桁の発行者もあることがわかった。
  ○梅田の紀伊国屋縮小のうわさはそもそも間違いだったのか、計画はあったが中止になったのかは不明。
    現在も同じ広さで盛業中です。ブックファーストが退いてくれと行って来ても絶対に譲らないと、会長が
   「AERA 2002.1.21」で語っておられました。
  ○
《吉本》本売上累計表はカルク(表計算ソフト)で作成したグラフですが、コンバートできません
   でした。
 
                                           

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