1993/04/25 [00-04-04] SISIDO,Tatuo
禁無断転載 無断複写&配布歓迎 (非売品) 三月書房
販売情報(仮題) 準備0000号
[わりとよく売れてる本@(1月初〜4月中旬)]
※売上数5冊以上/文庫・新書・コミック・ブックレット類などを除く/順不同
重力の虹 1 |
国書刊行会 |
別冊太陽:北大路魯山人 |
平凡社 |
身体の深みへ |
宝島社 |
追悼私記 |
宝島社 |
闘うコラム |
宝島社 |
別冊宝島:裁判ゲーム |
宝島社 |
別冊宝島:ワイセツ大行進 |
宝島社 |
新版
古書店地図帖 |
図書新聞社 |
きもの |
新潮社 |
退屈な迷宮 |
新潮社 |
育児の百科 |
岩波書店 |
意識の形而上学(☆1) |
中央公論社 |
そば猪口(☆2) |
河出書房 |
滞欧日記 |
河出書房 |
マルコムX自伝 |
河出書房 |
赤い盾(上/下) |
集英社 |
フーコーの振り子(上/下) |
文藝春秋 |
女ざかり |
文藝春秋 |
CG STEREOGRAM (1) |
小学館 |
ねじ式・紅い花 |
小学館 |
夜想31:マヌカン |
ペヨトル工房 |
花咲ける孤独 |
青林堂 |
新・書物の解体学 |
メタローグ |
リテレール B/同C |
メタローグ |
別冊:読書の魅惑 |
メタローグ |
CD:吉本隆明講演 |
メタローグ |
音楽の本質と人間の音体験 |
イザラ書房 |
色彩の秘密(☆3) |
イザラ書房 |
すてきな人生(☆4) |
思潮社 |
現代短歌雁25号/26号 |
雁書館 |
世紀末「時代」を読む |
春秋社 |
海・呼吸・古代形象 |
うぶすな書院 |
生命形態学序説 |
うぶすな書院 |
コンプリート・ジャズ・コミック(☆5) |
双葉社 |
サルの正義(☆6) |
双葉社 |
天使の愛(☆7) |
講談社 |
ワイルド・スワン(上/下) |
講談社 |
社会がわかる本(☆8) |
講談社 |
思想としての死の準備(☆9) |
三輪書店 |
京に蠢く懲りない面々(☆10) |
かもがわ出版 |
書評10年(鶴見俊輔) |
潮出版社 |
歌集 鳥獣蟲魚(☆11) |
小沢書店 |
雪月花の近代(☆12) |
京都新聞社 |
内蔵のはたらきと子どものこころ |
築地書館 |
藁の天皇(☆13) |
情況出版 |
磯野家の秘密 |
飛鳥新社 |
[わりとよく売れた本]を5冊以上にしたのに深い理由はない。次は、10冊以上を[かなりよく売
れた本]、20冊以上を[たいへんよく売れた本]にしてみようかと考えている。
また、いろいろな理由でリストからはずしたものも多いし、あまり厳密なものではない。
上のリストにおいては、@文庫・新書・コミック(雑誌コード)・ブックレット以外にも、A書籍
の定期刊行物や、B同一タイトルのまとめ買い(いわゆる採用品)は除いてある。@については、今
のところ枚数を数えるのがせいぜいで、それ以上のことはめんどくさくて調べ切れないためである。
Aについては岩波書店の「新日本古典文学大系」、「講座近代日本と植民地」とか、筑摩書房「年表
日本の歴史」、吉川弘文館「国史大事典」その他いくつかのものが、定期5人以上あるが、これら
は別の機会にまとめてみたい。Bについては、外商と言えるほどのことはしてないが、近所のお役
所と高校に少し納入している関係で、例えば「『栄養と料理』フーズデータ@ABF」各26冊とか、
「Q&A同和問題の基礎知識」50冊というようなものが多種あったが、そんなのをいちいち載せて
も、
あまり面白くないので止めておいた。「外商」以外でも、個人客の注文で例えば「パラノイア
スター」20冊、「筆蝕の構造」20冊、「シュタイナー教育の方法」15冊、あるいは「近代個人主義とは
何か」12冊、などのけっこうな売上が多種あったが、やはり1冊づつ売っている本とのバランスが
崩れそうなので止めておいた。「別冊宝島」と「別冊太陽」は雑誌だが単行本と売れ方が変わらな
いので載せた。ほかにも例えば「ユリーカ」「ジャズ批評」「レコード・コレクターズ」「鳩よ」
「たくさんのふしぎ」その他の雑誌も、バックナンバーを置いているし、売れ方も「別冊宝島」同
様だが、売上カードが入っていないので無視した。「本の雑誌」「IS」などは売上カードは入っ
ているが、細かくなるので止めた。書籍コードのコミックでも安いのは同じく止めておいた。(例
「問題外論A」) 。
(☆1)は井筒俊彦氏の遺著。井筒氏の本で残念なことは、せっかくの「著作集」の編集がお粗末で
しかも定価が高いことである。それでも定期読者が3名おられるが、もう少し安いか、もう少し編
集がよければバラでももっと売れるだろう。(☆2)は料治熊太著の新装版。その道では有名な人の
有名な本だそうである。うちの店のある寺町二条界隈は、古道具、骨董、古美術、アンティーク関
係のお店が多いことで有名である。(「別冊太陽:京の骨董屋さん」参照のこと)。その関係か、うち
でも「INAX BOOKLET」「別冊太陽」
「季刊銀花」のバック・ナンバーなんかが良く売れる。(☆3)
の「色彩の秘密」と前の「音楽の本質〜」は、どちらもシュタイナー著/西川隆範訳。シュタイナー
関係書については「00号」に書いたように、近ごろは西川氏の本ばかり出版される。(☆4)は北村太
郎の遺作集。(☆5)はラズウェル細木「コンプリート・ジャズ・コミック・コレクション」。「ジャ
ズ批評」誌連載のを中心にまとめたジャズ漫画集。うちは「ジャズ批評」を創刊時から扱っている
ので、その手のジャズ・ファンのお客が何人もおられる。(☆6)
は呉智英の最新刊。呉氏の本は
すべてうちの店のロングセラーである。(☆7)は横尾忠則の画集のようなもの。講談社の本の分類
はよく分からないことが多くて、この本はなぜか「コミック」に分類されている。(☆8)橋爪大三
郎の本はどれもロングセラーだが、この本の内容は少し物足りないので、今後はあまり期待できな
いような気がする。(☆9) の出版は3月20日過ぎの読売新聞広告で知った。この本(山折哲雄編で吉
本隆明・河合隼雄ほか)のようなうち向きの本の事前情報でも、入手しそこなう時がたまにはある。
出版社も初耳のところだったが、FAXで注文したらすぐ手配してくれて1週間後に25冊入荷。そ
の後の約20日間で18冊の売れ行きは順調なほうだろう。(☆10)は完全なローカル物。京都が政治経
済的には、ちゃちな田舎町であることがよく分かる本。(☆11)前登志夫歌集。最近この本で何かの
賞を受賞されたようだが、もとからそんなこととは関係なしに売れている(通算12冊販売)。うちの
店の現代短歌関係書の棚は、客観的に見てもかなり充実していると言えるはずである。詳しくはい
ずれ別の機会に特集するかもしれない。(☆12)は加藤一雄著で、副題を「京都日本画の100年」と
いう。書名も出版社名もややローカルぽいが、けっしてそんなことはない。主著「京都畫壇周邊」
(用美社)もロングセラーである。(☆13)は寺山修司の本。彼の本については後述。
[福武書店の本の売上] 1992年1月?〜93年3月
◆文庫以外の部◆
計163冊 |
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◆文庫の部◆ 計314冊 |
|
1.批評空間増刊
ANYONE |
8冊 |
1.ことばの自由をもとめて/田中克彦著 |
26冊 |
2.戦国大名と天皇/今谷
明著 |
7冊 |
2.私版京都図絵/水上勉著 |
9冊 |
3.むずかしい愛/カルヴィーノ著 |
6冊 |
2.古本屋四十年/青木正美著 |
9冊 |
4.南島イデオロギーの発生/谷川健一著 |
5冊 |
4.新版古書街を歩く/紀田順一郎著 |
7冊 |
4.批評空間 8号 |
5冊 |
4.異彩天才伝/荒俣宏編
|
7冊 |
6.龍の住むランドスケープ/中野美代子著 |
4冊 |
4.サラサーテの盤/内田百闥 |
7冊 |
6.批評空間 7号 |
4冊 |
7.香りの手帖/松榮堂広報室編 |
6冊 |
6.お引っ越し/ひこ・田中著 |
4冊 |
7.第三阿房列車/内田百闥 |
6冊 |
福武書店は昨年の春頃から、
ほとんど新刊が出なくなり、夏頃には撤退が噂されたほどだった。ま
あそのわりにはそこそこ売れたと言えるだろう。近ごろはぼちぼち毎月の出版点数も回復しつつあ
るようだが、質の方ははいまいち回復しきれてないようだ。その傾向は、中野美代子氏や澁澤龍彦
氏を担当していた編集者が、89年頃に日本文芸社に移ったり、90年代に入って吉本隆明氏が「海燕」
の連載を中止された頃から現れつつあった。文庫のライナップもひところは魅力的だったが、近ご
ろは平凡である。単行本も文庫もよかったころのものの在庫が品切れがちで、重版の見込みもはっ
きりとしないので困ったことである。もともとは受験産業で充分儲かっていて、税金をたくさん払
うよりは、文芸書出版で赤字を出した方がいいという、まことけっこうな理由で進出されたと聞い
ていた。以前のように《赤字覚悟本》を景気よく出し続けてほしいが、前年度までは定価の4%と
いう高率だった文庫の褒賞金が、今回からは一律で1枚4円になってしまったことを考えると、あ
んまり気楽に赤字を出してはいられなくなったのかもしれない。
[おまけ]
「寺山修司」がブームと認定されたらしく、
新刊、復刊はもとより雑誌の特集号、増刊号からビデ
オやCDにいたるまで、実に多種のものがすでに出版済み、あるい出版予定されている。しかし、
どうもこんなふうに、大々的に売り出すのは似合わないように思う。「カルト」はもとより、「サ
ブカルチュア」なんていう古い言葉すらなかった頃の、「アングラ」の親方だから、本当は隅っこ
の方で細々売り続けるほうが似つかわしい。よーするに、「マイナー」の中での大物であって、「メ
ジャー」な大物として商売しようとしても、そんなには売れないのではなかろうかと思う。まあそ
れはともかく、こんな機会でなければ出せそうもない、渋くて長持ちのする本が何冊か出てくれれ
ば、ブーム後も扱い続ける予定の、うちの店としては何も言うことはない。
[おことわり]
当「販売情報」は、事務処理能力不足のため(例、うちにコピー機がない)、いまのところ、
どな
た様からも定期予約をお受けできません。悪しからず。
附録[京都書店地図(テスト版)] @寺町二条周辺
<※地図省略> 寺町通りの書店史は、脇村義太郎氏の「東西書肆街考」(岩波新書)に詳しい。現在、うちの近所では
書店は減少したが、古道具屋、書画骨董古美術アンティークの店、画廊ギャラリーなどが増加中。
そのほか、筆墨和紙硯などの書道専門店が五、六軒も集まっているのが目立つ。地下鉄も徒歩3分
のあたりに開通予定だし、各商店の傾向とあいまって、行政用語でいうところの、《高齢化社会》
や《生涯教育》の時代にふさわしく、イチョウ並木の舗道も落ち着いた雰囲気で、京都の商店街の
中では、見通しが明るい方だと言われている。
[☆1]芸艸堂(寺町二条下ル)美術書の出版社の小売部で木版画なども売っている。
[☆2]尚学堂(寺町二条下ル)古書店。
[☆3]三月書房(寺町二条上ル)三月(1950年)に開店したので三月書房としたらしい。東京の同名の
出版社とは何の関係もない。
[☆4]若林春和堂(寺町二条下ル)脇田氏の前掲書に詳しい老舗。現在は教科書を含む新刊書店。
[☆5]檜書店(二条通寺町西入ル2筋目)観世流謡曲本の版元として有名な会社の京都出張所。
小売もしている。
[☆6]藝林荘(寺町夷川上ル)反町茂雄氏の「一古書肆の思い出」に、京都で一番の古典籍商として何
度も登場する。
[☆7]文苑堂書店(寺町夷川上ル)書道関係書の専門店。古書店だが新刊書も扱う。
[☆8]東方書店(寺町夷川上ル)中国書の専門店。よく留学生に道を聞かれる。
[☆9]貝葉書院(二条通河原町東入ル)と
[☆10]芝金聲堂(同)はともにお経の本の専門店。版元と小売を兼ねているようだ。とくに貝葉書院
は鉄眼禅師の一切経版元として有名である。
[☆11]クリスチャン文書伝導団(河原町通丸太町下ル)はキリスト教関係書の小売店。
[☆12]大龍堂書店(新椹木通竹屋町上ル)有名な建築書専門店で出版もしてる。少し分かりにくい場
所なのでよく道を聞かれる。
[☆13]文華堂(河原町通竹屋町上ル)美術書、考古学書専門の古書店で一部新刊も。
[☆14]彙文堂(丸太町通河原町西入ル)内藤湖南揮毫の看板で有名な中国図書専門店。
地上げで50mほど東に新築移転した。
[☆15]永澤金港堂(河原町通夷川上ル)教科書関係の新刊書店。
[☆16]高文社(丸太町通富小路角)京都地方裁判所の東隣で法律書の新刊専門店。
[☆17]金原商店京都店(河原町通丸太町上ル)医学書専門店。
[☆18]文藻堂(新烏丸通竹屋町上ル)古典籍・書画専門の古書店。
[☆19]文祥堂書店丸太町店(河原町通丸太町上ル)河原町三条の本店新築中の仮店舗だったが、
完成後も営業中の新刊書店。
以上1993/04/25現在。
蒙御免。
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