「三月書房販売情報(仮題) 抄録版倉庫03」   ▲三月書房homeへ

 現物は、ワープロ打ちの縮小コピーで、B4判の紙を半分にたたんだ、B5判4頁のものでした。
 ワープロ打ち以外の記事や写真や図表を、のりとはさみで張り合わせて版下を製作していたため、
 今回はコンバートできなくて省略した記事もあります。

●目次 

第0巻(1992年〜1993年) 01 02 03 04 05 06 07 08 09

三月書房販売情報(仮題)003号[第0巻第3号]                           

1993/03/15 [00-03-03]  SISIDO,Tatuo 無断複写/配布を歓迎します (非売品)

    [三月書房 販売情報(仮題) 準備000号]

 [FAX専用回線のお知らせ]

 FAXは安物を数年前にバッタ屋で買って以来、 電話と1本の回線で切り替えて使用していた。
 こちらから発信するときは問題ないが、受信がうまくできないことが多かった。主な使用は、取
 次や出版社に注文を送信することだから、不便は少なかったのだが、お客がFAX注文をくれる
 ことがぼちぼち増えて来たので、確実に受けられる専用回線を引くことにした。それに、出版社
 もFAX注文の返事を、折り返しFAXでくれるときがあり、一発で受信できないと迷惑がかか
 る。確実に自動受信するには、FAX機器そのものを上級機種に変えるよりも、電話回線を一本
 余分に引いてFAX専用にする方が、費用が安い上に効果的である。器械が安物で通信時間が多
 少余計にかかっても、市内は10円だし、市外の遠距離でも、NTTのファクシミリ網に加入し
 ていれば、時間に関係なくB4判1枚数十円ですむ。普通に取次へ短冊を流すと、1月近くかか
 る小出版社でも、うちが直接FAXすれば1週間から十日程度で入荷する。うちの場合、鈴木扱
 い分はもともと早いので、わざわざ出版社にFAXしなくてもよいが、日販扱いの中小出版社の
 ほとんども、直接FAXすれば、以前の3分の1程度のスピードで入荷するようになっている。
 時間がかかるのは、ごく一部の大出版社の売れ筋商品や、コミック、文庫類だけである。いまだ
 にFAX注文を受け付けない、小学館と集英社だけはどうしようもないが、日販の「'93版取引出
 版社名簿」を見ると、前の「'91版」に比べてFAXを受ける出版社が大幅に増えている。しかし、
 いまだにFAXがなかったり、一本の回線で電話と共用にしたままのところは、早いとこFAX
 専用回線を引いてほしい。現在、うちの店の売上に占める、客注品の割合はかなり多く、感じと
 しては増加傾向が続いているようだ。客注品は1冊でもFAXするようにしているので、早くて
 1日、遅くても十日から二週間程度で、ほとんどが入荷する。あとは、品切の返事がもう少し早
 くて確実になれば、うちの店に関する限り客注問題はほぼ解決する。FAXがなくて、電話や速
 達郵便で注文していた頃のことを思えば、たいした進歩である。

 [最近良く売れた本]

 不況と言われているわりに、いまのところ、本の売れ行きはまずまず順調のようだ。うちのお客
 は、教員や公務員などが多いのかもしれないが、そうでない人でも、ファッションやクルマなど
 には関心がなく、小遣いの大部分を本につぎ込むという〈立派〉な心掛けの方が多いように思え
 る。たとえばメタローグ発売の「吉本隆明講義」のCDを、CDプレイヤーを持ってないから、
 という理由でパスなさった方が数人もおられたことでも分かるだろう。CDってどんなもんです
 かと聞かれた先生もいた。あるいは、もはや本などは、少々不景気でも、節約の対象にならない
 ほど安い買い物になっているのかもしれない。あるいは、今回の不況でもっとも影響を受けてい
 るらしい、広告依存の強い雑誌類の売上が、うちの場合はもともと極めて低いから響いて来ない
 のかもしれない。

          ◆1〜2月によく売れた本(順不同)

イ)追悼私記 吉本隆明 宝島社
ロ)古武術の発見  養老孟司/甲野喜紀 光文社
ハ)世紀末『時代』を読む 滝村隆一/芹沢俊介 春秋社
ニ)海・呼吸・古代形象 三木成夫 うぶすな書院
ホ)きもの 幸田文 新潮社
ヘ)滞欧日記 澁澤龍彦 河出書房
ト)特別講義《CD》 吉本隆明 メタローグ

 まあ、この調子がいつまで続くかはもちろん不明であるが、本に対する<実需>は景気にかかわり
 なく底堅いと思える。上の「よく売れた本」の表に出ている本は、10冊前後あるいはそれ以上売
 れた本である。ほかにも当然のことながら「磯野家の秘密」とか「清貧の思想」などもその程度
 は売れているし、ローカル物の「京に蠢く懲りない面々(かもがわ出版)」などというものも十数
 冊売れているが、よそでは桁違いに売れているだろうから、わざわざ載せるまでもないだろう。
 (イ)の「追悼私記」は発売2週間で20冊売れたが、0号掲載の表を参照すればお解りのように、
 同氏の本としては「並」の売れ行きである。(ト)のCD「内的コミュニケーションについて」は
 2/27入荷で、3/10現在予約を含めて22枚売れている。たいへん順調だが、音楽や落語のように繰
 り返して聞くものでもないから、本ほど売れるとは思わない。ただし一手扱いらしいので、京都
 の他店ではほとんど売ってないだろうからもう少し伸びるかもしれない。個人的には、吉本氏は
 印刷物で読めればよく、口演もののCDを買うなら、志ん生の方が何回でも聞けて得だと思う。
 (ハ)と(ニ)は新刊ではないが、今年に入ってからもそれぞれ11冊(通算21冊)と10冊(通算約90冊)
 売れている。(ロ)は入荷1週間で20冊も売れた。養老氏はもはやメジャーだが、培風館や筑摩書
 房からしか出ていなかったころから揃えているし、甲野氏の本は、すべてうちのロングセラーだっ
 たから売れて当然だった。内容も最高であり、同じカッパ・サイエンスの「スポーツは体にわる
 い」と併せて読めば、〈体育会系〉の指導者たちがいかにアホかよく分かってうれしい。(ホ)の
 幸田文は亡くなってから評判が上がって、没後出た5点ほどは、どれも文芸書の中では、トップ
 クラスの売れ行きである。なぜ生前に人気がなかったのか不思議であるが、今も昔も読んだこと
 がないのでなんとも言えない。そういえば、山田花子さんも生前はほとんど無視されていたのに、
 自殺後の遺作集「花咲ける孤独」(青林堂)は、なかなかの売れ行きで、現在8冊販売である。(ヘ)
 の澁澤は、近ごろ既刊本の売れ行きが落ちている割りには、よく売れたほうだろう。「太陽 '92/12」
 の特集号も30冊近く売れたが、問題は近刊の河出書房からの全集が売れるかどうかである。
 ところで、0号で予告したように、今年から売上カードを整理することにして、ワープロ付属の
 「カルク」に入力してみたが、容量が少なすぎて、早くも溢れそうになってしまった。やはり、
 パソコンを買わないと、まともなデータ整理はできないようだが、よく分からないので、当分は
 いいかげんな整理しかできそうにない。


 
[徳間書店の本の売上]

 徳間書店から送られてきた平成4年度の「全国販売ランキング」によると、うちの店は下記のよう
 な成績らしかった。京都府に何軒本屋があるのか知らないけど、ひどい成績であることは確かで
 ある。しかし、徳間書店の本はうち向きのものがあまりないので、当然の成績と言えるだろう。

  全国順位 県別順位 実売数
書籍 4,321位 85位 135冊
文庫 7,129位 168位 100冊
雑誌 6,595位 154位 42冊

 参考までに、書籍と文庫の上位3位までを載せてみた。徳間書店は1ケ月に文庫10点程度とノベ
 ルスを含む書籍を多数出しているが、うちが是非とも仕入れたくなるのは、毎月各1点づつ程度
 しかないのがふつうである。

   書 籍 実売数    文 庫 実売数
 魚の目きき 8冊  中島らものたまらん人々 22冊
 スリランカの悪魔祓い 5冊  頭の中がカユいんだ 12冊
 半身棺桶 5冊  東南アジア食紀行 7冊
 新堕落論 5冊      

               ※文庫は100冊1口のため、実売はもう少し多い


 
[次ページの“特別再録記事"について]

 早くも3号目にして、ネタに詰まったというわけでは必ずしもないが、宮脇氏のご厚意 により
 丸1頁分楽することにした。吉本のタレントが、たこ焼き屋か何かをレポートしているような、
 軽い乗りながら、さすがに同業者だけあって、新聞記者や雑誌記者が書いてくれた時よりも、
 よほど正確にうちの店を紹介してくれています。これは、(株)リクルート販売部の「あぐれ」
 という、首都圏の直販書店向けPR誌に宮脇氏が連載されていたシリーズのひとつで、京都で
 はうちの他は、「松香堂書店中西氏」、「河原書房 河原氏」、「MEDIA SHOP田中氏」が
 紹介されたそうです。大阪編ではどちらの書店が登場したのかは聞き漏らしました。宮脇氏は現
 在も「リブロ梅田ロフト店」にお勤めなので、興味がおありの方は直接お問い合わせください。
 
(<特別附録>宮脇清敏氏ご提供「あぐれ」1991年8号より)は、宮脇氏に断って雑誌丸ごと1頁を
 コピーして4頁目に貼りつけただけでしたが、今回は連絡先不明だし、スキャンして貼るのもめ
 んどうなのでやめておきます。 


 
[おまけ]

 あるアジア文学のシリーズの宣伝文に、「翻訳は各言語の権威者である大学の先生方に依頼」と
 あったが、「各言語の権威者」や「大学の先生方」が、必ずしも「優秀な文学翻訳 家」とは限ら
 ず、むしろお粗末な方が多いということは、英米文学あたりでは常識のはずである。この出版
 社が権威主義的なのかもしれないが、日本におけるアジア文学の翻訳の水準は、欧米文学のそれ
 に比べると百年程遅れているのだろう。1冊予約はしてみたが、あまり期待はしていない。

 この「販売情報」について、たまにお問い合わせをいただきますが、 定期予約などを受けつける
 と事務処理がたいへんだし、いろいろ煩わしそうだし、続けづらくなりそうですから、当分の間
 は、 どちら様からもお受けしないつもりですから悪しからず。


 ※註釈及び言い訳(2002/03/13記)
  
  ○この号はわずか9年前だが、FAXが業界にほぼ普及したのがこのころだったようだ。出版
   社では編集系にはもっと前からFAXが導入されていたが、営業系はかなり遅れていた。こ
   れはインターネットの場合も同様だったようだ。
  ○結局パソコンを買うのは6年以上も後のことになった。いまだにデータベースや表計算はほ
   とんど使えない。
  ○徳間の本の売れ行きはその後減少の一途で、ついに毎年売上カードを送るのを止めてしまっ
   たもで、現在の順位はわからない。きっともっと落ちてることでしょう。
  ○宮脇氏はその後九州方面のリブロに転勤されたとこまでは知っているが、その後は連絡がない。
   もしこれをごらんいただいたらメールをください。
                       

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