「安浦の家」 -老夫婦が安心して暮らしを営むことのできるバリアフリー住宅-
家事仕事については調理だけでなく、掃除や洗濯などの動線に対しても使いやすさに配慮してあり、何気ないなかにも将来の車椅子での生活や介助者も受け入れられるだけの「懐の深い」つくりになっています。
実用面だけでなく、各部屋の性格にあわせた光の取り込み方や造作類の工夫により、重心を低く抑えることによる「安心感」と、視線の抜けや風の流れから生まれる「開放感」という、相反する要素を両立させることによって生まれる「理想的な住宅の在りよう」が表現されています。
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① 調理などの家事や食事、くつろぎの場など生活の中心となる「生活室」。右奥には洗面室越しに坪庭があり、視線や風が抜ける。
② 生活室の中心にあるテーブルにはシンクが組み込まれ、コクピットのようにその場にいながら無駄のない動線で調理から配膳、洗い物などの一連の作業をおこなうことができる。
③ 洗面、トイレ、脱衣、洗濯、掃除などの主要な水まわりの機能をワンルームにまとめた「洗面室」より浴室側をみる。浴室はデッキ仕様の物干場につながっており、通風や採光に恵まれている。
脱衣スペースとなる入り口手前にあるのは、オリジナルデザインの鍛鉄製「手すり兼タオル掛け」。
④ 生活室に隣接した寝室。深い軒を介して、床にバウンドしたやわらかい光がスリガラス越しに届く。手前にクローゼットや押入を兼ねた納戸が隣接しているため、8畳の関東間がゆとりの空間となる。
⑤ 庭に面した、土間の縁側のようなたたずまいの玄関。近所の方が立ち寄って気軽に話ができる雰囲気がある。土間には市販の車椅子用リフトを設置することで、完全なバリアフリー住宅となり、将来も安心して生活ができる。
⑥ 道路との間のわずかなスペースに設けられた庭と、テラスのような玄関ポーチ。左手の道路との間には塀を設けず、開放することで地域と庭を共有している。