いま考えていること 20(1999年03月)
―― 時にはこういうことも――

しばらくホームページの改訂ができませんでした。Windows98をセーフモードでしか使えず、CD-ROM・プリンター・インターネットなどすべて使えなかったのです。

お正月に長男の一家が来て泊まったのですが、エアコンが故障して一向に部屋が暖まらないというのです。これが故障の始まりで、次はテレビ画面がポンと装置を叩かないと映らなくなり、風呂の湯沸かしの能力低下、電子レンジの発振器のダウン、石油ストーブの制御不能、最後はコンピューターの設定の混乱と相次ぎました。大散財!コンピューターの不調は新しく買ったコードレスマウスの受信装置をシリアルコネクターにつないだのがきっかけで起こりました。わたしの機械はPC9821Xv20なのですが、CPUをAMD製のHK6-MD366-N2に変えていたのにPC9821用の装置を組み込んだのが誤りでした。(受信装置をはずし、REGEDITでregistryを 元に戻して復活しました。)
それだけではありません。家内が突然発熱し、胆道炎の疑いありとのことで緊急入院。私も日頃の疲れもあってか風邪を引き、元気が出ませんでした。どうもこれはどうしようもなく、少々運命論的ですがそういう巡り合わせが来たとしか考えようがありません。こういうときは私のこれまでの経験からは、じたばたしてもどんどん泥沼に入り込むばかりでうまくいきません。対策はこういう時期が過ぎるのを静かに待つのみです。このことはものの考え方のところにも世阿弥の言葉と一緒に書いたのですが、今度も時たまこういう時期はあるものだと改めて考えています。久しぶりに経験しました。今どうやら一陽来復を迎えられたようです。

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いま考えていること 21(1999年03月;4月;11月;2000年2月;6月増補;2001年4月)
――選挙も近い、信用保証枠!――

11年度予算の成立と共に、小渕首相は昨年10月に創設した「中小企業金融安定化特別保証制度」の保証枠20兆円に追加して必要かつ十分な枠を追加する」といち早く述べ、さらに10兆円の保証枠を設定しました。借り出す企業が多く、九月には枠が底をつくというのが大義名分ですが、見方を変えると地方選挙を控えて、公費による自民党の選挙対策と言えないこともないと思います。この枠は政府が返済を保証するので金融機関の貸し出し審査も甘く、早くも暴力団関連の“舎弟企業”で借り出してから計画倒産するものも出ているようです。また今日(1999年4月12日)のNHKニュースでは借りた金を銀行からの借り入れの返済に充てさせられている会社も多く、或いは借りた金の何倍もの利息を取って高利貸しに狂奔する連中の存在も報道されました。こういう例はまったく許せない例ですが、多くの中小企業が助かっていることは間違いなく、政府自民党は選挙を控えて党のお金を使わずに人気を挙げる良い方法と見ているのでしょう。

30兆円といっても枠なのですから、仮に10%焦げ付いても3兆円の出費ですみます。見せ金30兆円というのは宣伝効果のよいものです。恐らく甘い審査ですから、かなりの焦げ付きが出ましょう。すべて国民の負担になる金ですからいい気なものです。これからの産業という立場からは、革新の出来ない、いわば、もうついていけない構造と頭脳を持った古い体質の中小企業の、一時的な延命に手を貸すだけという例も相当出るでしょうから、回収は容易ではないと思います。銀行の延命策と同じ根の、市場からの「退散手当」ともいえるものかも知れません。それにしても気前のいいことです。

わたしの住むところは京都西陣の片隅ですが、いくら伝統産業を守れと言い、市長や知事が和服を着ても、一般の人々は普段、和服は着ませんし、自分で着付けの出来ない人がどんどん増えています。そういう状況からはもはや和服は普段着ではあり得ません。演歌歌手か伝統芸能・文化に携わっている人の服装です。需要と供給のギャップからみると生産が減少し、転業していくのも当然でしょう。長い西陣の伝統と名声を活かして、世界を相手にする、主として現代の洋服の素材としての織物産業が新しく興されるとき、始めて西陣は再生するでしょう。古いままのお店を潰さないために融資をしても一時の延命にはなっても、結果的には融資は不良資産化して当然だと思います。「能」の衣装などはやはり西陣で織られていますし、西陣でなければ出来ないのです。需要と供給がマッチしているものは、ちゃんと存続しています。「中小企業金融安定化特別保証制度」は潰れるべきものを温存して、真の新しい時代への構造改革ステップを遅らせているのかも知れません。

11月11日経済新生対策が決まりました。この中に“金融経済環境の激変への適応円滑化を図るため、中小企業金融安定化特別保証を平成13年3月末まで1年間延長し、保証枠を10兆円追加すると共に、雇用の増大等建設的努力の計画を有することを対象要件に加える。(中略)また、中小企業者・農林漁業者等に対する政府系金融機関等による金融環境に対応した融資制度及び金利減免措置の延長等を行う。”と書かれており、中小企業等金融対策ととして事業費7.4兆円程度が措置されています。世間でもこの措置を私と同じように受け取りむしろ改革を遅らせてしまうと危惧する声も聞こえます。
11月15日の報道では帝国データバンクの予想としてこれから、先の 「中小企業金融安定化特別保証制度」による借入金の返済が始まるので次第に倒産は増加するとのことです。これも焦げ付きの付けは国民に回ります。2000.10.17の状況

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帝国データバンクの資料に依りますと、年度としては昨年は不動産業を除き倒産件数は減少しました。しかし11月からまた倒産件数は増えてきていま す。  

[全国企業倒産件数]
1999年8月 1999年9月 1999年10月  1999年11月  1999年12月   2000年1月
 1402       1372       1395        1372        1547        1441
[同上前年同期比増減(%)]
-8.605    -9.618     -18.278      +0.882       +32.335      +43.7
        


[全国企業倒産件数]
2000年3月  2000年5月 
 1770        1528
[同上前年同期比増減(%)]
+39.5        +12.4     

経済産業省・中小企業庁は2001年4月19日、「中小企業金融安定化特別保証制度」の実績をまとめた。融資総額は約29兆円で、最終保証承諾件数は172万件、中小企業の約3割が利用した計算といいます。返済不能になり各地の保証協会が代位弁済した額は6000億円(融資額の2.2%)に上り、今後も増える見込みです。政府が20兆円の保証枠を設けて98年10月に実施。その後政治的な要請が強く働いて、保証枠が10兆円追加されたうえで延長、今年3月にうち切られました。現在の焦げ付き額は融資総額の2.2%にとどまっているが、政府は最大で10%が返済不能になることも想定。各地の信用保証協会が出資して債権回収(サービサー)会社をつくり4月から業務をはじめていますが、はじめからこの結果は予想されたことです。

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いま考えていること 22(1999年03月)
――語るに落ちる――

今朝(1999年3月27日)のサンデー・プロジェクトには堺屋太一長官と加藤寛氏がでていました。経済は底を打って明るいというお二人でした。まず、堺屋長官の話では大蔵省や厚生省の役人が財政改革法案や年金改革法案を通すために、過度な悲観論を流したので経済が落ち込んだというのです。そういう側面も否定はしません。しかしその役人が政府の役人であり、それを利用した政府があったということをこれは認めた発言ですね。堺屋氏は現政府の高官であることを思うと、現在の堺屋楽観論もまた経済の流れを変えるために政府筋の意図した過度な楽観論ということにならないでしょうか。私など物心ついて以来数十年の実績から、常に政府のいうことはそのまま信じたら大変だという考えが焼き付いていますから、堺屋楽観論を信じる気は毛頭ありませんが、上に書いたようなことを人前でシャーシャーと語るようでは「語るに落ちる」の見本です。
また、加藤氏は、年金は日本では大丈夫ですと大見得を切っていましたが、ほんとうに大丈夫ならなぜ65才に支給年限を切り上げたり、支給額を減らすのですか。政府のお先棒担ぎの発言で、これまた「語るに落ちる」発言で、大丈夫発言は現在の年金改革を国会の議案から取り下げてから言ってほしいものです。アメリカは心配ないのですなどと発言していますが、アメリカでもベビーブーマー世代の年金の支給が難問だとグリーンスパン議長はいっているのですがね。知ってか知らずにかこれには触れずじまいでした。お二人のみせかけの暢気さと裏の意図にホトホト感服し、恐ろしいなと感じました。

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いま考えていること 23(1999年04月)
――東京都知事選――

石原慎太郎氏のこれまでの憲法論議を見ますと、恐らく本質的には天皇制の国家体制の支持者だと思っています。サンデープロジェクトで今だに中国をシナと呼ぶ体質も私の好みではありません。しかし候補者の中では最も人間らしく政党にとらわれないで自由なビジョンを展開していた点では、私の好みです。
これに対して、アチコチと政党を渡り歩いてきたK氏は、出世欲の固まりであり、A氏は国連で活躍した人でしたが、広島の平和問題研究所とか大学の国際問題関係の教授でもするならまだしも、自民党に担がれてホイホイと平和研を放り出して東京都知事に立候補するなどは、一体何をあなたは考えているのと言いたいところでした。H氏も元々自民党的体質があり、私には魅力は感じられません。大体民主党の体質が曖昧です。またM氏は無所属と標榜しますが、彼を支持する共産党の枠から踏み出した彼独自のビジョンは遂に聴かれませんでした。

大阪ではノックさんが再選されましたが、ノックさんにはそれなりの個性的なものがあります。私は今問題になっている新ガイドラインは基本的にはアメリカの為の戦争協力体制を作り上げるものと思いますので、自民党に任せて置いてはまたとんでもない戦争に巻き込まれる怖さがあり、これにストップを掛けるためには自民党が一番いやがる共産党を強化することが必要だと思うので共産党に一票を投じるのですが、共産党の政策をすべて支持するわけではありません。またこの派の人は、よく金太郎飴といわれるように誰も同じことを言っていて、人間としての自由度と個性を感じられることがほとんどないのです。東京都知事選での石原氏の勝利は、やはり人は人の個性を愛することが立証された気持ちがしています。

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いま考えていること 24(1999年04月)
――日米防衛指針関連法案――

今朝(1999年4月29日)の毎日新聞朝刊「記者の目」(北米総局・清宮克良記者)の記事にこういう記述が出ました。少し長くなりますが引用させていただきます。

日本の国内事情を知っていれば、ギルマン氏ら議会側がペリー氏に提言した北朝鮮政策案は突拍子もないものに映る。代表的なものは北朝鮮の弾道ミサイルに対抗する措置として北東アジア防衛機構(NEDO)を設立するという案だ。NEDOはユーゴスラビアを空爆している北大西洋条約機構(NATO)のアジア版といえる軍事同盟だ。この構想は米国から北東アジアに広がる地図上を想定しており、日本の立場を考慮していないことは明白だ。
米国で憲法9条と安保政策の関係を理解しているのはアジア専門家や外交担当者ら、ごくわずかだ。

日本の非武装を掲げた現在の憲法はアメリカの指導で創られましたが、戦後50年を経て日本人の中にも憲法の基本精神の理解は時間的に遠いものとなりつつあります。アメリカ人ではそういう歴史の理解も一層薄れているのは時間の経過のなせる技というものでしょう。なぜアメリカが非武装の日本の安全を保障しなければならないのか、アメリカが日本の安全を守ってやる以上日本にもその見返りとしてアメリカの軍事行動に対して、今までの枠を越えた協力をさせても当然ではないかという考えから、一般的なアメリカの軍事行動への協力を日本に強く要求しているのだろうと、この問題が国会の問題になってきてから私は考えていましたが、この記事を読んでやっぱりそうだったという思いです。小渕首相の訪米に間に合わせようとする審議は、まさにアメリカから突きつけられた宿題の答えを期日までに出さなくてはという動きでした。このガイドライン法案は、日本国憲法の精神も憲法そのものも反故にしてしまう改訂だと思います。これでは自民党はアメリカの言いなりに動く代弁者としかいいようがありません。いくら国政の遂行担当者として現実に対応して行かなくてはならない自民党の立場を考慮しても、私のような戦争を体験し、新憲法に込められた大東亜戦争(第二次世界大戦の日本の担当部分をこう呼んだ)の反省から生まれた永世平和の思想を思い返す人間からは、とんでもないというのが本音の気持ちです。5月3日は憲法記念日です。

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いま考えていること 25(1999年05月)
――芸術家の寿命――

1999年5月4日 NHK「花鳥諷詠いのちを描く 画家上村淳之・白鷹図に取り組む日々」を見ていましたら、御父君の上村松篁画伯の御元気なお顔も見ることが出来ました。足腰はさすがに弱ってはおられますが97歳のお年とは思えない表情で、相変わらずじっくりと対象をご覧になって絵を描いておられます。本当に楽しそうなお顔でした。「食は芸術」を掲げる三田屋の企画広報室長、浜近峻吉さんが最近下さった手紙にこんな一節がありました。

或る時フッと日本画家に長寿のひとが多いのに気づきました。老若を不問、動物は動く物と神が定められていますので人間は動いていれば長寿を達成できるように思います。動−>頭脳、手、脚、日本画家の長寿の秘密はここにあるのかも知れません。

これを裏付ける次のような表もつけて下さいました。読者のみなさまも、まずじっくりとご覧下さい。

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確かに芸術家の皆さんは長命ですね。浜近さんのいわれるように絵を描く時はかなりの運動を伴っています。これが長寿の原因の一つであることは否定はしません。しかし、私はもう一つこの人達が日常茶飯事に心を煩わせることなく、自然をじっくりと観察され、その間、心を自然の中に遊ばせて解放されていたことにも原因があるように思います。浄土経の教典には極楽ではいつも美しい音楽が奏でられているといいますが、音楽に心を奪われて遊ばせ、つまらないことに心を煩わせない事にも長寿のきっかけを見いだせそうに思います。日常の煩わしいことに悩まないで、いつでも自然の景物や音楽に心を遊ばせたいものです。

これは、昔、平均寿命が短かった時代に禅僧の寿命が比較的長かったこととも通じるのではないでしょうか。

◆秋野不矩さんが上表から洩れていると浜近さんから連絡がありました。90歳 (明治41年7月25日生まれ)

◆東山魁夷さんは1999年5月6日老衰のため逝去。90歳

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いま考えていること 26(1999年05月;6月;9月;11月;2000年2月;4月)
――ちょっと待ってじっくり考えよう――

今年で20世紀が終わりだと思っている人が未だに時たま見受けられます。2001年からが21世紀です。さて、この分では秋には補正予算を組んで景気のテコ入れをすることになると思いますが、消費振興のために現在行われている住宅減税はかなり反響があるようです。しかしこの住宅所有に応えている人もおそらくはローンを組んで長期にわたって返済し、退職金まで勘定に入れてというこれまでの世間の常識に乗って計画しているだろうと思うのです。私はそれを暫く待って様子を見てから動いた方がよいと思っています。

その理由は、ビッグバーンから始まった「過去」の清算は、当然新しい社会の制度を生み出していくのですが、21世紀初頭実施が決定され、もう制度上既定化されているものがかなりあるように思うのです。厚生省の汚職以来官僚の評価は下がりましたが、自民党政府と自民党はやはり別です。政府の提出する法案は官僚が立案したもので、それが現在21世紀展望型の法律としてどんどん作られていると考えています。これらの法律を通すために賛成した与党の議員達の多くも、どういう結果が実際出てきて、場合によっては自分の議員生命の首を絞めてしまうかも知れないとは考えていないでしょう。「食料・農業・農村基本法」がいづれ国会を通過し、現在の農業基本法は廃止されますが、この例です。また、2000年6月からは「大規模小売店舗立地法」が現在の「大規模小売店舗法」(いわゆる大店法)に代わって実施されます。中小企業についても昭和38年に制定された中小企業基本法は遠からず廃止される段階に来ています。というのは1999年5月11日中小企業政策研究会の最終報告がまとまり、来年の国会に新しい法律が提案されるのです(1999年秋の国会で成立。中小企業を保護対象と見ないで、中小企業の自助努力を支援する考えに転換しました。これに伴って中小企業診断士の業務内容も抜本的に変わり、資格取得試験もレベル・アップされました。2000.08.03)これらの制度が実施されると、否応なしにこれまでの常識が潰れ、その新しい制度の中で個人の生活も設計して行かなくてはならないようになるでしょう。私は素人ですから経済のことは分かっていません。しかし、どう考えてもこういう大きい変動の胎動はヒシヒシと感じます。現在国会で決められていく法律には大きくいって、このタイプの21世紀布石型のものと、そのために出てくる現状との間のひずみを緩和するための絆創膏のような型の法律があるような気がするのです。私達はこれからの自分の生活設計は前の方の21世紀型法律の上に立って考えなければなりません。21世紀型かどうかは簡単にいえば欧米先進諸国汎用型および規制緩和型ともいえます。

まず、政府そのものが行政機構の改変に踏み切り、大蔵省が財務省になるのもその一つです。厚生労働省も出来るようですね。いろいろ批判はありますが、実施の暁にはかなり大きい影響が現れるでしょう。現在老人医療保険に企業の保険組合は総支出の約三分の一を拠出していて、本来なら黒字になるはずの各保険組合財政が赤字になっている大きい原因になっています。今年度の赤字は3969億円、老人医療費への拠出額は1兆8919億円に上っています。こういう制度も遠からずメスを入れざるを得ないでしょう。老人医療と老人介護が一体化していくとともに大きい変革が予想されます。整合性の立場から老人医療も介護制度と同じく患者の1割負担になると私は予想しています。薬価差益に依存した経営からの脱却は日本医師会も呑む姿勢になってきました。出来高払い制から普通の典型的な病気の定額制への移行も避けられないでしょう。
2000年7月1日には金融庁が発足します。これまでの大蔵省金融企画局と金融監督庁が合体したものです。これによって金融は完全に大蔵省から外れます。金融再生委員会は1月に廃止されました。金融庁は内閣府の直轄です。金融ビッグバンも大詰めに来ます。
銀行の再編は益々進み、1,000万円以上は戻ってこないペイオフも始まります。たとえば信託銀行のビッグは1,000万円までは保証されますが、ヒットや実績配当型金銭信託(例えば三井信託のプラッサ)はまったく保証のない商品になります。企業は、銀行からの借り入れを止め、自分の保有する資産を証券化する等の方法も使って市場から直接の資金調達に乗り出すでしょう。銀行のウエイトは小さくなり、コンピューター化の進展と共に人員整理も行われ、銀行の規模は縮小する運命にあります。
株式公開会社と、資本金5億円以上あるいは負債金額200億円以上という条件付ですが、企業の決算報告も連結財務諸表の公表が必要になります。これはアメリカの真似ではなく先進5か国の会計士組織の合意によるのです。統一した会計処理でないと会社の財務状況の比較ができず、資本の自由な移動や国際的な投資ができないからだといいます。一言でいえば財務内容の透明化、オープン化が意図されています。この結果子会社へ債務を動かして赤字を隠すことも出来なくなります。赤字資産の土地もこれまではグループ内で動かして本社の赤字を隠していましたが、それが出来なくなって本社ビル、社宅、寮などの売却が盛んで、地価の下落に拍車が掛かっています。不動産もいよいよ持って居ればよい時代から、どれだけの利用メリットがあるかで評価される時代に入りました。退職金積み立ての運用資産内容も公表が必要となります。今朝のNHKのニュースでも現在の低金利では企業は退職金引当金の確保が出来ず、現在のような定年時の給与月額に在職年数を掛けて算出する方式の退職金支給は出来なくなってきていると報じています。聞くところによると既にポイント制といって、在職中毎年個々の社員の業績に応じたポイントを与え、退職時に貯まっているポイントに一定金額を乗じたものを退職金として与えるとか、松下電器のように在職中に退職金相当額を支給して、退職時には支払わないという方式のところも出てきています。法人税も赤字企業は納税していませんでしたが、遠からず外形標準課税の時期がきて会社としてのスタイルさえ備わっていれば課税されるようになるでしょう(外形標準課税については政府税調も議論を重ねて導入の意向と見られますが、一向に結論を出さないままに議論ばかりしています。遂に東京都の石原知事は結論を待っていては東京は財政的に行き詰まると、都独自に課税を決意しました。法的には都議会で議決されれば実施できるのです。政府税調への強烈な挑戦とも言えます。(2000.2.16))。こうして会社の経営も会計基準の変更や課税方式の変更で本質的な変革を迫られてきます。会社の合併、倒産が避けられず、韓国並に失業者が8%に上って行くだろうと私は見ています。11月現在男子26歳以下の失業率は12.5%に達しているといいます
年金にしても少子化もあり、運用利回りの低下もあって、今までのような支給が出来ないのは明らかです。 アメリカで行われている401K方式(確定拠出型年金:これについては私の収入のところにも書いています)が実施されるのも時間の問題でしょう。

ここに書いたのは一例に過ぎませんが、国家社会主義的であった今までの戦中から戦後のシステムを、根底から覆さざるを得ない竿灯に立たされた日本の状況は、これから数年間に大変動を受けるにちがいありません。個人の生活設計のありようもこのような条件変動の影響から逃れることは出来ません。今までのやり方や考え方を断ち切る時期が来ているのです。先を読んで設計するか、読めなければ新しいことには慌てて手を出さず、しばらくはゆっくり構えて、具体的な動きが出て或る程度見通しが立つようになってからにしないと取り返しがつきません。

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いま考えていること 27(1999年06月)
――欠けているものは?――

1999年6月1日毎日新聞朝刊に”「経済企画協会」発行の月刊誌「ESP」6月号に堺屋長官が寄稿し、人口の減少でGDPが減少すると 1.社会資本や生産設備の老朽化 2.外資の投資の減少 3.市場の利権化 4.人材の海外流出を招くと指摘し、結論としては日本はアジアの『田舎』となり、急速に衰退する可能性がある」と断じている”という記事がありました。

私は17歳のときに終戦を迎えました。人々の生活は貧しく苦しかったのですが、反面、当時は明るい希望に満ちた時代でした。新しい憲法ができ、戦争の惨禍の心配は霧のように晴れ、これからは福祉・文化国家として日本は生きるのだというのです。私は私学年金制度のいわば1回生ですが、年金は当時55歳支給開始ということで年を取って仕事から引退しても、まず年金で食べられるという夢をくれました。堺屋さんの1〜4の問題点指摘は、堺屋さんの頭の中に人口の減少した日本の未来の具体的な姿がなければできるはずがないのですが、知りたく思います。私の考えでは今欠けているのは、将来についてのビジョンが政治をはじめ社会全体に欠けていて、そういう遠大なビジョンにしっかり足を下ろした施策が乏しいことだと思っています。

国は「少子化への対応を考える有識者会議」を首相の下で開いたり、厚生省も「少子化対策の推進」をして子育ての援助を計っていますが、その結果、今後出生率の増加が見られるようになるとしても、2000年代の少子化は既に既成事実となっており、来世紀末には日本の人口は現在の半分の6,000万になるのだそうです。「少子化への対応を考える有識者会議」の提言には次の文章が見られます。

“少子化が進めば、労働力人口の減少と高齢者比率の上昇や市場規模の縮小などを通じ、経済成長へのマイナス効果や地域社会の活力低下が懸念されるなど、将来の国民に深刻な影響を及ぼす。安易な楽観論はふさわしくない。
・少子化が続いた場合の社会全体にとっての問題は、日本の人口規模が小さくなること自体ではない。問題は、 人口減少の過程で、労働力人口の減少と高齢者比率の上昇や市場規模の縮小などを通じ、経済成長へのマイナ ス効果や地域社会の活力の低下など、プラスよりもマイナスがはるかに大きく、将来の国民に深刻な影響が及ぶ ことが懸念されることにある。現在の豊かな生活水準を維持したままで人口規模だけが小さくなり、ゆとりが生ま れる、といった都合の良いことにはならない。"


一人の女性が一生の内に生む子供の数の平均(合計特殊出生率)は1975,6年に2を切って以来減少し1998年は1.38ですから、これからの政策はこの人口減少を念頭に置いたものでなければなりません。私は今日まで70年生きてきましたが振り返ると、すべての出来事が昨日のように思われます。この頃では100年を生きる人もかなりあり、決して遠い遠い先のことではないのです。既に一歩一歩その方向に向かって進んでいるのです。今欠けているのはそういう認識であり、ビジョンの建て方です。差し迫って放置できない年金や介護のことを別にすると、相変わらず施策は今のことばかりに目を奪われて、将来への展望が欠けているのです。これから50年後を想像すると現在50歳過ぎのいわゆる“団塊の世代”が膨大な老人生活を過ごした後で、急速に人口が減少している時期ではないでしょうか。年金を支える若い人がいなくなり、消費は落ち、住宅は空き家が見られ、消費が落ち込んで企業の倒産、業務の縮小が避けられなくなっているでしょう。私はこのモデルを過去の世界歴史を調べて国の人口が減っていったときにどういうことが見られたかに求めようともしたのですが、これからわが国が直面していく状況はそれなりに特殊であり、周辺のアジアの国々が今後どう発展し変わっていくかということとも無関係でなく、過去の例は参考にならないと思うのです。私の考えでは現在のバブル崩壊後に直面している事態が、多少モデルになるのではなかろうかと思っています。恐らくこれから5年もすれば、新しい21世紀の枠組みの中で日本経済も生まれ変わり、繁栄に向かって歩み出すのではないでしょうか。その時こそ個人にとっても国民全体としても、人口減少の日本への布石をする最後の機会ではないでしょうか。立派な理念を持ち、産業的には高度の製品を生みだし、世界の人々、アジアの人々にアピールし、相応の利潤も頂いて国の内外に蓄積し,人口の減少に備えるべきでしょう。そうすれば住宅をはじめ「ゆとりが生まれる」かも知れません。しかし社会現象としては、現在と同様の深刻な社会変革を経験することになるでしょう。反面、人口の減少はかっての日本のように植民地を求めて、対外膨張の軍国路線を歩む危険を犯さないで済むしょう。現在自由党を中心に、一部に見られる軍事強化路線はこの点からもおかしいと思います。私は平和路線を踏襲し、共感される理想を掲げて、世界の人々と平和の内に交流していくことしか道はないと思うのです。

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