Andocides弁論集・目次
[解説]紀元前399年、アテナイの民衆法廷は、ソクラテスに有罪判決を下し、彼は処刑された。その同じ年(あるいは前年という学者もいる)、アンドキデスなる男が、アテナイで裁判にかけられている。ソクラテスと同じく不敬涜神の罪状であること、しかも、ソクラテス裁判にかかわったアニュトスが、この裁判にもかかわっている点で、注目される。以下は、これに対するアンドキデスの弁明である。 本裁判に至る経緯については、 Lysias弁論集 第6弁論の解説を参照。 なお、 トゥキュディデス『戦史』 プルタルコス「アルキビアデス伝」 被告発者名簿 も参照。 [本弁論の構成]【導入】裁判官たちへの要望と弁明の方針(1-10) I裁判官たちへの要望 A 被告に好意を寄せること [1] B 予断を持って弁明を聞くべからず [7] II 弁明の方針 [8] 【本論】 I 遠因たる過去の出来事(11-109) A 事件の真相(11-70) 1 秘儀冒涜事件(11-33) a 我は密告者にあらず (1) 密告者たち [11] (a) 第1の密告 [12] (b) 第2の密告 [15] (c) 第3の密告 [16] (d) 第4の密告 [17] (2) 父親を密告したという告発に対する反論 [19] (3) 反対証人がいるかどうかの呼びかけ [25] (4) 賞金を受け取った者たち [27] b 宣誓に遵った判決の呼びかけ [29] 2 ヘルメス神像毀損事件(34-70) a 我は密告者にあらず (1) テウクロスの密告 [34] (2) ディオクレイデスの密告と評議会の盲動 (a) 当時の状況 [36] (b) ディオクレイデスの密告内容 [37] (c) 評議会の盲動 [43] b 煩悶ついに…… (1) 一族壊滅か (a) 投獄された一族 [47] (b) 同族者の説得 [48] (2) 正義と救国のために (a) 煩悶と考量 [52] (b) 人間的立場 [54] (c) 救国のために [57] c 真相の告白 [61] B 告発の法的根拠と宣誓、資格(71-100) 1 法的根拠 a イソティミデス決議は無効 [71] (1) 制定の経緯と内容 [73] (2) パトロクレイデスの決議 [77] (3) 亡命者の扱い 和解協定 [80] b 成文法にのみ遵うべし [85] c 適用すべき法とは [87] d 宣誓の内容 [90] 2 告発者たちの法的資格(92-100) a ケピシオス [92] b メレトス [94] c エピカレス [95] C 本裁判の政治的意味(101-109) 1 両派にとっての影響 [103] 2 歴史的位置づけ [106] II 近因たる嘆願の小枝事件(110-136) A 事件の経緯 [110] B 告発者を難ず 1 カリアスの動機と人物(117-131) a カリアスの動機 [117] b カリアスの人物 [124] 2 共謀者たちの動機 [132] III 神意についての論駁 [137] 【結び】 I 裁判官たちの心得 [140] II 裁判官たちへの懇願 A 祖先の奉仕 [141] B 国の利益 [144] C 名門の存在意味 [146] III 懇願の繰り返しと弁護人たちへの登壇要請 [149] |