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アトラース(!AtlaV)

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 へレニック以前のティーターンのことで、大地の神、プロメーテウスPrometheusの兄弟である。オリュムポスの神々に巨人たちが反逆したときに、アトラースも加わり、その罰として天空を双肩にになうことになった。このことはアトラースが、昔は、大地をになう役割を持っていたことを再解釈したものであった。西欧においてプロメーテウスがコーカサス山脈と、ヘーラクレースが「ヘーラクレースの柱」(ジブラルタル海峡東端の両岸の2つの岬。もともとくっついていたものをヘーラクレースが引き離したと伝えられている)と関連づけられたのと同じように、アトラースもアフリカのアトラース山脈と関連があるとされた。このことから、ティーターン族Titansとは、本来、天界の聖柱で、世界を支えていた、ということがわかる。アトラースはヴェーダの神ヴィシュヌにたとえられよう。ヴィシュヌはカメ(ギリシアのタルタロスTartarusと語源的に関連)の姿をして、その背中に全世界を載せていた。



 後代の神話学者たちは、アトラースというのは、アフリカの西北端にある、その峯が天空をささえているように見えるアトラース山脈を擬人化したものだとしか考えなかったが、ホメーロスにとっては、アトラースが天空をささえていた例の柱は、のちにヘーロドトスがアトラースの名にちなんで「アトラースの大洋」と名づけた大西洋のはるか沖合に立っていたのである。アトラースのもともとの素姓は、おそらく天空 の水を地上の水からわけた週の第二日のティーターンだった。ギリシアに降る雨の大部分は、大西洋から、それもとくにアトラースの娘たちとされているヒュアデス星団が太陽とともに昇る時節にはこばれてくる。アトラースの住まいが西にあるひとつの理由は、それである。(グレイブズ、p.213-214)


[画像出典]
THEOI PROJECT
T20.1B ATLAS
Museum Collection: Musei Vaticani, Vatican City
Catalogue Number: TBA
Beazley Archive Number: N/A
Ware: Laconian Black Figure
Shape: Amphoriskos
Date: ca 530 BC
Period: Archaic

SUMMARY
Detail of the Titan Atlas holding the rocky dome of heaven upon his shoulders. He is tormented by the Hesperian Drakon.

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Atlas, Drakon Hesperios