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HR合宿




☆「野次馬通信」No.11で、HR合宿の感想文のいくつかを紹介したが、提出期限後に提出してくれた作品の中にも、なかなか捨てがたいものがあるので、特にここに紹介しておきたい。

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HR合宿から帰って 古川了次

 ホーム・ルーム合宿は、一日目、出た日は雨は降っていなくて野球はできたが、その野球も、広い広いと話で聞いていたほどグランドは広くはなかった。ぼくは、ここじゃないだろうと思い、ひとりで上へ上へと登っていったが、道は細くなってゆくばかりだった。
 野球はどうでもよかったが、その時、見晴らしのいい所でみんながいろいろ話をしていた。行ってみると、みんな自分の本当のことらしいことをうちとけて話していたので、この合宿は成功するんじゃないかと、ふと思った。

 次の日は雨で、バレーだった。トクしたのはぼくひとりだったような気がする。
 自由時間はすることがなくて、学校のミスだなぁと思ったけれども、何もなければ友達としゃべるくらいしかないので、みんな集まっていた。集まって、話をして、うちとけるというのが、へんな行事よりもよっぽどいいと思うし、三日目も雨で、ずっと雨だったけれども、ぼくは、晴れで行事をするよりも、ある面ではよかったと思っている。

 今は6月9日の5限目の途中で、いろいろ考えながら書いている暇がない今、スリルとサスペンスの連続だ。
 先生が来たので終わり!


感想文 ○○○○〔あまりに正直な作文なので、名前は伏せておく〕

 HR合宿に行って、楽しいと思ったことはなかった。先生方に言わせれば、HR合宿の目的は、クラスや班の友達のことを、同じ生活を送るなかで、より深く知る、ということです。
 でも、勝手ながら、ぼくはこれからも親友をつくらないつもりです。はっきり言って、友達どうしのうらぎりがこわいからです。

 もし、友達をつくったとしても、休み時間にべちゃくちゃしゃべったり、いっしょに食堂へ行ったりするだけ。それも、高校卒業で終わり。ひどいやつになれば、1年が終わって2年のクラス替えになると、もう知らんふり。
 そんな友達なら、いっそつくらないほうがましだと*ぼくは*思います。でも、ぼくにはたったひとりの「心友」がいます。

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☆「トクメイ君」の作文を読んでいて、ぼくも君たちの年齢の時を思い出した。くだらないおしゃべりをしたり、いっしょに便所についてきてもらったりするのではない、本当の友だちを激しく求めていた。だが、激しく求めれば求めるほど、自分が親友だと思っている相手が、自分から離れてゆくのではないかという不安にかりたてられる。しかし、そういう不安を持つということは、自分が相手を信用していないことになる。友だちづらをしながら、実はその友だちを信じていないというのは、これは明らかに裏切りだ。(「友達どうしのうらぎりがこわいから」友だちをつくらないと言うトクメイ君、君は友だちになる前から友だちを信用していないことになるのと違うか?)――そういう思いに苦しみ傷つきながら、ぼくも、自分からは決して友だちをつくるまい、「去る者は追わず、来る者は拒まず」と心に決めたものだ。

☆確か、高校2年か3年生の時だったと思う。学校の図書館で何の気なしに読んでいた本に、「本当の友だちとは、東の神と西の神とが、1年にいっぺん会って、昨日別れて今日会った者どうしのように親しく、1年間の出来事を愉快げに報告しあえる間柄をいうのだ」というような内容のことが書いてあった。これを読んで、ぼくは眼のさめるような思いがした。

 ぼくたちは、表面的ではない本当の親友がほしいと思う。そして、本当の親友というものは、「何でも話せる人」「何でも相談にのってくれる人」「自分の悩みを親身になって聞いてくれる人」……と思っている。
 だが、ちょっと待て。君はそれで気が晴れて満足かもしれないが、相手はどうなのだろうか? 別に頼んだわけもないのに、君から親友だの心の友だのといった役割を押しつけられ、君の泣き言をくどくどと聞かされ、これでは誰だってウンザリさせられるのではないか?

 君が親友をほしいと思ったら、まず、君自身が相手にとって親友であるにふさわしい人間にならなくてはならないはずだ! 友だちというものは対等でなくてはならない。ちょうど、東の神と西の神のように。そして、神さまは、泣きごとを言ったりはしないものだ!

☆〈偽りの友より公然たる敵の方がいい〉俚諺
 確かに、友だちに裏切られることはこわい。しかし、偽りの友かどうかを見抜けないなら、それが見抜けない己の無能をこそ恥ずべきではないのか。

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