アグリツーリズムを好きなのは日本人とか、外国人なんじゃないかと思っていましたが、外国人は27%だというお話でした。
では、どんなイタリア人がアグリツーリズムを好んでいるのですか。
宗田:
15年ぐらい前にアグリツーリズムを紹介したときは、階層別にわけて説明しました。
簡単にいえば大学卒の中高年が圧倒的に多く、男女は半々ぐらいで、都会の人が中心でした。
それが10年ぐらい前から、そういう議論の意味がなくなりました。所得階層もバラバラです。プールができた頃から、かなり大衆化したのです。
日本人は0.2%ぐらいで、アメリカ人が8%ぐらいです。
「踊るトスカーナ」とか「トスカーナの休日」という映画かありました。アメリカ人の女性が失恋してイタリアにいって、恋人を見つけて、振られてといった話はいっぱいあるんです。
その前がドイツ人、イギリス人もいます。
全部を足して27%です。
話を戻しますとイタリア人は誰でもゆくって感じです。お兄ちゃんお姉ちゃんは、彼らなりの楽しみ方をします。ちょっと静かにしろよ、と言われながら。
中高年は静かに木陰で半日過ごすとかね。ともかくすごく大衆化しています。
質問:
滞在日数はどうですか。
宗田:
12、13年前は2週間以上でなければ泊めないというところが圧倒的でした。
今は、一泊からでも泊まれます。
随分、変わって、そこら中にあります。
農村に若い女の子が来ているとアグリツーリズム、農村に外国人がいるとアグリツーリズムって感じです。そのぐらいそこら中に溢れています。
ほんとに変わりました。その感動をつたえられなかったのは残念です。
そう、15年前は農家の納屋を改造した汚い部屋に泊まらされたのですよ、我われも。結構、辛いときありました。今はピンキリですが、インターネットで良く選んで行かれたら、一泊2000、3000円で、ほんとにお洒落なところに泊まれるところから、2万円、3万円のところもあります。そのかわりそこではブルネッロ・モンタルジーノ(赤ワイン)が出てきますから。
ですからどう楽しむかによります。そのぐらい多様化しています。
農村部での景観計画は、どういうことができるのでしょうか。
宗田:
基本的には土地利用ですね。都市部が建物に対するデザイン規制であるのに対して、農村部では耕作地の種類、作物の種類を含めて規制していくことです。
それから森林とか並木の伐採への規制です。
道路や公共事業でできることは限られています。
基本的にはゾーニングによって土地利用規制をするということです。
補助金はオリーブの木一本についていくらといった形で決まっていますから、何がどこに植わっているかが分かっているわけです。それと連動して景観計画の規制が決まっていますので、かなり細かいことを丁寧にやっています。
そのほかに文化遺産の小さな教会とか、建物とか、モニュメントの凄く豊かなリストがあります。
イタリアでは事業者が個人的な信頼関係を大切にして協力しあっている、地域が支え合っていると思います。そのへんをもう少しお聞かせいただけませんか。
宗田:
今日はアグリツーリストという組織の話をしたのですが、これは昔の共産党系の農協です。
当然、キリスト教民主党系の農協も別にあります。社会党系も別にありました。
ちょうど京都商工会議所と民商のような関係ですね。それぞれがアグリツーリズムに取り組んでいます。
その連中の組織力がイタリアですから強いんです。
一番大きくなったのがご紹介したアグリツーリストで、全体の三分の一ぐらいの会員を抱えています。あと四つ五つあります。また北と南で政治的バランスが違い、アグリツーリストのなかでもスローフードと仲が良い奴と悪い奴とがあります。
そういうのがいっぱいあって、地域社会の活動であり、政治活動であり、文化活動でありってのがイタリアですね。
そういう組織がかなり大きな役割を果たしています。スローフードはそれに比べるとまだ小さいですね。
司会:
有り難うございました。
質疑応答
■アグリツーリズムを好きなのはどんな人
質問:
■農村部での景観計画は何ができるのか
質問:
■アグリツーリズムを支えた社会組織は
質問:
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